海外の農業専門誌では、ヒルトン枠(Hilton beef Quota)という用語を目にする機会が多いが、これは、EUにおける高級牛肉の低関税輸入枠(従価税率:20%※)の俗称である。1979年に当時の東京ヒルトンホテルで開催されたGATT東京ラウンドにおいて、EUと牛肉輸出国との交渉の結果この低関税輸入枠を設けることが合意されたことから、関係者間でヒルトン枠と呼ばれている。
※:EUの牛肉輸入関税は、従価税(ad valorem duty)と従量税(specific duty)が組み合わせられたもので、現在の税率はそれぞれ12.8%、1,768ユーロ/トン(約20万円/トン:1ユーロ=113円)となっている。これらの関税に加え、輸入量の急増や輸入価格の下落を契機として輸入関税が引き上げられるセーフガード条項が設けられているが、これまでのところ発動実績はない。