豪州:洪水被害地域と農産物生産について(2011年1月6日)
最終更新日:2011年1月6日
1.降水量の状況について
豪州クイーンズランド(QLD)州では、記録的な大雨により大規模な洪水が発生している。
9月1日〜11月30日までの降水量を見ると、増加している州は、QLD州、ニューサウスウェールズ(NSW)州を中心にビクトリア(VIC)州、南オーストラリア(SA)州まで広がりをみせている(図1)。
特に、QLD州では、昨年から本年にかけてサイクロンが通過したしたことで、洪水被害は深刻化。報道によると、首都ブリスベンの12月の降水量は、過去150年間で最多を記録しているとのこと。
2.農産物生産への影響について
豪州の農産物生産を冬作物と夏作物に分けると、主要な冬作物は小麦、大麦などで、ナタネとの組み合わせにより作付けされ、また、夏作物はソルガムなどで、冬作物との組み合わせにより作付けされることが多い。
豪州の小麦生産量は、世界の国・地域の中で第7位。日本は、豪州からラーメン用小麦(プライム・ハード)とうどん用小麦(スタンダード・ホワイト)を輸入しており、前者の主産地はQLD州、NSW州、後者はWA州である(図2)。
豪州全体の2010/11年度(7〜6月)の穀物などの生産量は、例年を上回る降水量により豊作とされる中、QLD州の農産物生産割合は高くないが(表1)、QLD州やNSW州では小麦の収穫期と重なったため、多雨による品質低下(タンパク含有量低下など)により飼料用向けの増加が見込まれている。また、西オーストラリア(WA)州では乾燥気候から著しく生産量が減少していることもあり、日本向け(食用)小麦への影響が懸念される。なお、現時点では、洪水被害の状況は公表されていない。
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