干ばつは、小麦生産地帯の約4割に影響
国連食糧農業機関(FAO、2月8日付)によると、中国の冬小麦の主要な生産地帯である北部平原では、昨年の10月から降雨量が例年を下回るため、収穫時期は6月後半にずれ込むことが見通されており、生産量への影響が指摘されている。
耕作地は、降雨不足に加え降雪不足から雪で十分に覆われていない。このため、冬小麦は、休眠期となる12月から2月までの間、十分な水分が供給されず、また、厳しい冬の気温と風に対する保護が不十分であるとしている。土壌水分の不足による影響は、休眠期に続く生育期についても懸念されている。
北部平原で干ばつの影響を著しく受けたのは、山東省、江蘇省、河南省、河北省、山西省の5省としている。なお、この5省は、中国全体の小麦作付面積の約6割、生産量の3分の2を占めている。
中国国家統計局によると、この5省の干ばつ被害は、冬小麦が作付けられた1,400万ヘクタールのうち516万ヘクタールとされ、36.9%が影響を受けたことになる。また、飲料水も不足しており、住民257万人と家畜279万頭が影響を受けたと報告されている。
FAOによると、2月に入り穏やかな天候が続き、また、干ばつ対策として補助的なかんがいが行われており、ある程度単収の減少は避けられるとの見方を示している。なお、中国政府は、農家収入の確保のため、ディーゼル燃料、肥料、農薬などに150億米ドルを支出したとしている。
中国国内の小麦粉価格は値上がり
中国では、干ばつにより小麦価格は押し上げられ、特にこの数カ月間、急激に上昇している。このことで、小麦粉の平均小売価格は値上がりしており、上昇幅は、2011年1月では2カ月前の8%、また、前年同月では16%としている。
USDAも中国の小麦生産量の減少を指摘
FAOによると、冬小麦生産量の減少は、これまでのところ懸念に止まっているとしているが、干ばつが長引き、例年の気温を下回る天候が継続した場合、生産量への影響は深刻さを増すとしている。なお、米国農務省(USDA)は本年1月14日付けの報告で、中国の冬小麦生産量は、干ばつ被害で減少する可能性があると指摘している。