韓国:7月の消費者物価指数、大雨の影響で前年同月から4.7%上昇
最終更新日:2011年8月9日
食品類は全品目中最大の上昇
韓国統計局によると、7月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、前年同月比4.7%上昇の121.4と、今年1月から7カ月連続で上昇率が4%を超えることとなった。これは、7月の大雨による野菜・果実類などの農産物価格の上昇や石油価格の上昇が要因とみられる。
食品類については、全品目の中で最大の上昇率となる前年同月比10.0%上昇の133.7となり、今年1月から上昇率は9〜10%台で推移している。中でも、大雨の影響を受けたレタスやほうれんそうなどの野菜類は前月比21.5%の上昇率を記録した。一方、豚肉は、無税枠輸入の拡大に伴う供給増などにより、前月比0.5%の下落となった。
前年同月比で見ると、牛肉17.0%、白菜29.9%の下落となった一方で、豚肉41.2%、卵25.8%、スイカ31.5%の上昇となるなど、主要品目では依然として前年を大きく上回っている。
企画財政部は、今後の見通しについて、今回の大雨による供給不足に加え、9月中旬の秋夕(チョソク:韓国のお盆)を前にした需要の高まりから、8月も野菜・果実類の価格上昇が続くと見ている。このため、同部は、これらの短期的な上昇に対応するとともに、流通の合理化や寡占状態となっている市場構造の改善など、物価安定に向けた中・長期的な取り組みを積極的に展開していくとしている。
価格安定に向けた新たな対策
こうした中、韓国政府は8月4日、価格安定会議(毎週開催)において、農産物の安定供給および最近の大雨の影響による価格の急騰などへの短期的な対応を協議した。
政府は、7月の大雨による流通の混乱および価格の上昇は避けられないと見ており、関税割当措置による輸入の拡大を通じて需給と価格の安定を図っていくとしている。
さらにそのほかの対策として、主要品目の価格動向を毎週発表するとともに、インターネットなどにおいて価格予測情報を提供し、消費者が手頃な価格で商品を購入できるよう支援するとしている。
また、政策や価格に対する幅広い理解を得るため、今月5〜26日には、一般市民からの価格安定に対する意見を募集し、優秀者には賞金を授与するなどの対応を行っている。
【藤井 麻衣子 平成23年8月9日発】
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