欧州委員会、2013年以降のCAP改革案を公表
最終更新日:2011年10月20日
欧州委員会が10月12日に、2013年以降のCAP改革案を公表した。
CAP改革案の主な変更点は、加盟国間の生産者受給額の是正、緑化の促進などで、「2020年までの新たな経済成長戦略:EUROPE2020」の内容を盛り込んだ案となっている。
2013年から基本支払制度に統一
直接支払制度は、2013年以降、現行の単一支払制度(Single Payment Scheme)及び単一面積制度(Simplified Payment Scheme)を基本支払制度(Basic Payment System)に統一することとしている。基本支払制度は、基本的補償と環境対策で構成され、それに付加的な支払いとして、条件不利地域支援や新規就農者支援などが追加される。
現行の単一支払制度を採用している国の多くは過去の生産実績に基づいて支払基準を設定しているが、今回の改革案は、国ごとに農地面積を基準として統一支払基準を採用とすることとしている。
2019年には域内共通単価採用へ
これは、「2020年までの新たな経済成長戦略:EUROPE2020」を視野入れ、2019年から全EU加盟国で統一の「ヘクタール当たりの支払制度(uniform payment per hectare)」につなげるためである。先ず、加盟国の直接支払制度の予算額の是正を図ることとしている。EU全体の平均受給額の90%未満の地域あるいは国が、平均との差の3分の1を段階的に引き上げることとしている。
更なる環境を重視した政策へ
「緑化」(Greening)は、環境対策として直接支払の中に位置づけられ、気候と環境保全を重視した農業を行った場合、農家は支払いを受けることができる。この支払いの資金は、CAP予算の3割を充てる。農家に対し緑化を義務付けたものの、支払上限からは除外さた。なお、支払上限は、企業などで雇用しているなどの場合を除き、本制度から受領できる上限金額は、年間300,000ユーロ(約3億1800万円:1ユーロ=106円)とすることとした。
また、直接支払は引き続き受領要件(クロスコンプライアンス)に該当しなければ受給することはできない。クロスコンプライアンスとは、環境保全、動物福祉及び動植物衛生などの規則を順守することである。ただし、今回の改革案では、受領要件については、簡素化されており、項目が減らされている。
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