アフリカ豚コレラ、ウクライナで初発(ウクライナ)
ウクライナ政府は7月31日、アフリカ豚コレラが確認されたことを国際獣疫事務局(OIE)に届け出た。英国、ドイツなどでは、ロシアからウクライナへ感染が拡大したことに、危機感を募らせている。
発生状況
英国環境・食料・農村地域省によると、ウクライナ政府は、遺伝子検査結果などに基づいて、アフリカ豚コレラの初発を確認した。今回の発生は飼養頭数5頭の零細農家で、発生場所はロシア国境から170km離れた地域(ザポロジー、Zaporozhye)である。感染源は不明であるが、汚染地域からの感染豚や豚肉製品の輸送やその車両が疑われている。
これまでの防疫措置
これまでのウクライナ政府の防疫措置としては、(1)輸入禁止措置、(2)国境措置の強化、(3)自家と畜された食肉の移動の制限などを実施してきた。
(1) 輸入禁止措置
ロシア産とベラルーシア産のいかなる畜種の食肉・肉製品等に対し輸入を禁止。
(2) 国境措置の強化
ロシアとの国境に検疫所を設置し、国境を超える車両の消毒などを実施。
従来、認めてきた個人消費の範囲(50ユーロが上限)の食肉・肉製品等の輸入も禁止。
また、ロシア国境付近に存在する零細養豚農家の豚はすべて処分。
(3) 自家と畜された食肉の制限
零細養豚で生産された豚は自家消費のため、許可されたと畜場以外でと畜されることがある。
このような食肉のバスなどへの持ち込みを制限。
EUは危機感
EUは感染国からの豚肉などの輸入を禁止している。ウクライナへの感染が人的要因も疑われていることから、車両消毒などの強化が考えられる。
ロシアでの感染が抑制していない状況で、ウクライナへ侵入したことは、今後のEUの防疫措置の強化が注目される。
【矢野 麻未子 平成24年8月17日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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