欧州委員会は8月28日、EU産乳製品に対するロシアの輸入禁止措置によるEU域内市場への影響を最小限に食い止めるため、共通農業政策(CAP)の民間在庫補助制度(PSA)を使ってバター、脱脂粉乳、そしていくつかのチーズの市場隔離を行うこととし、さらにバターと脱脂粉乳に対する市場介入は年末まで続けると表明した。
欧州委員会のチオロシュ農業・農村開発担当委員によると、ロシアの輸入禁止は欧州の乳製品市場に影響を及ぼしており、生産者はロシア市場が消えると同時に代替市場を探さなければならないという不遇な状況にある。欧州の脱脂粉乳、バター、輸出向けチーズについては、今まさに、政府の支援を必要としているとした。
チオロシュ委員はさらに、近々このロシアの輸入禁止による主なEU産農産物の短期的・中期的な影響分析と政策的見通しを公表すると言明した。
そして、欧州の農業従事者に対する欧州委員会の方針は明確で、市場を脅かす影響があるならば、率先して新しいCAPの制度を使って市場を安定させると繰り返した。
PSAでは、民間部門が保管するバターと脱脂粉乳の保管費用3〜7カ月分が補助される。この実施規則は、来週、欧州委員会に諮られる。
ロシアへのチーズ輸出額は、2013年には約10億ユーロ(1380億円:1ユーロ=138円)に達しており、欧州委員会は、CAPの緊急支援制度をチーズにも適用させようとしている。