2016年の農水産物および加工品の輸出計画は前年比33%増の81億米ドル(韓国)
最終更新日:2016年3月1日
農林畜産食品部(注1)が公表した「2016年農食品輸出推進計画」によると、2016年の農産物および加工品輸出額の目標は、前年実績61億730万米ドル(1米ドル=113円:6901億2490万円)を33%上回る81億米ドル(9153億円)に設定された。輸出先国・地域別では、中国が14億米ドル(1582億円)、日本が13億米ドル(1469億円)、GCC(注2)が5億米ドル(565億円)などとなっている。
また、同計画では、この目標を達成するため、(1)生産から販売までの一貫した支援、(2)中国、日本、GCCなど重点市場向けの積極的な輸出などへの支援を行うとされている。
(1)については、主要輸出品目であるパプリカ、トマトおよび花き類において、先進的な加温栽培施設を新たに206ヘクタール整備(2015年の施設面積は394ヘクタール)するなど、施設園芸品目の生産力向上を目指す事業が盛り込まれている。
(2)については、中国向けにはコールドチェーン配送支援事業、GCC向けにはハラール食品産業育成事業といった輸出先における円滑な流通を促す新規事業が計画されている。日本向けには、展示会などを通じた積極的な販売促進が計画されている。これらの輸出支援を効果的に実施するため、地方自治体なども独自に産地レベルの販売促進を積極的に実施するとしている。
注1:日本の農林水産省に相当(水産分野を除く)。
注2:湾岸協力会議。加盟国はアラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国。
参考 日本と輸出先が競合する韓国のいちご輸出
韓国では、2014年のいちごの栽培面積は6875ヘクタールと微減傾向にあるものの(参考表1)、韓国農水産食品流通公社(aT)によると、輸出品目として注力されている施設園芸品目のため、輸出向けは増加傾向にあるとしている。
2015年の輸出量は前年比7.5%増の3293トンで、輸出先はアジア諸国が中心となっている(参考表2)。日本向けは、加工・業務用を中心に輸入されているが、日本産が品薄になる夏期が中心に主に加工・業務用として輸出され、輸出量は減少傾向にある。一方、香港向けは増加傾向にある。
輸出先のうち、香港およびシンガポールは、いちごは消費者に人気のある果実的野菜として輸入量は増加傾向にあり、日本からも輸出されている。
両地域では、韓国産は、価格の安さから普段使いとして一般消費者に普及したことで輸入量が大きく伸びてきた。一方、日本産は、高級品として主に贈答用などで利用されていることから、富裕層を中心に人気が高いものの、輸入量の伸びが鈍い(参考図1、2、3、4)。
価格の安さから普及した韓国産だが、近年は量販店などから品質も評価されるようになってきた。現在、輸出量の9割以上は農業振興庁(注3)が2005年に育成した、果皮が硬く輸送性の高い品種である「ソルヒャン」となっていることと、炭酸ガスを充てんした輸出用密閉容器による流通により、10日程度の日持ちが可能となったことも両市場での普及の大きな要因となっている。
注3:農林畜産食品部の外庁。
【伊澤 昌栄 平成28年3月1日発】
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