欧州委員会、野菜・果物生産者への支援措置の延長を決定
最終更新日:2016年6月16日
欧州委員会は6月10日、6月末で期限を迎える予定であった、ロシアの禁輸措置に伴う野菜・果物生産者に対する支援措置について、1年間の延長を発表した。すでに、3月時点で、ホーガン農業農村開発担当欧州委員は、支援措置延長の意思を表明しており、今般、正式に決定されたことになる。同委員は、今般の延長について、「ロシアの禁輸措置により深刻な影響を受けている野菜・果物生産者に向けた欧州委員会の結束を表すものである。」としている。この結果、支援措置は、ロシアの禁輸措置を受けて、2014年8月に1年間の予定で開始されたものであるが、すでに1年間延長されており、さらに1年間延長されることになる。
なお、現地では、2016年8月末で期限を迎えるロシアの禁輸措置は、2017年末まで延長されると報道されている中での発表であるが、同委員は、そうしたロシアの動きには、言及していない。
本支援措置は、農産物の市場隔離および商品作物の収穫放棄に対する支援金を交付するものであり、適用品目は、トマト、にんじん、キャベツ、ピーマン、カリフラワー、ブロッコリー、きゅうり、ガーキン(きゅうりの一種)、きのこ、りんご、なし、プラム、ソフトフルーツ(いちごなどベリー類)、ぶどう、キウイ、オレンジ、クレメンティン(みかんの一種)、マンダリン(みかんの一種)、レモン、もも、ネクタリン(ももの一種)、さくらんぼ、かきとなっている。
このうち、市場隔離への支援金は、生産者が野菜・果物を慈善団体などへの無償援助や、飼料・肥料などに仕向ける場合に適用されるものであり、品目別の支援金単価の上限は、表のとおりとなっている。
一方、収穫放棄への支援金は、商品作物となる野菜・果物の収穫放棄や青田刈り(商品作物として成熟する前に収穫)に対して、相当する農地面積に応じた支払いを受けられるというものである。本措置における支援額は明示されていないが、通常、市場隔離による支援水準の9割を上限とすることとなっている。
なお、EUは、2016年6月末に期限を迎える現行の支援措置において、すでに合計32万3000トン超を市場から隔離しており、支出総額は1億1200万ユーロ(134億4000万円:1ユーロ=120円)に達している。
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