カナダ政府、主産地からの日本向けピーマン輸出解禁を発表
最終更新日:2016年10月6日
カナダ農務・農産食品省は9月30日、ブリティッシュ・コロンビア州産の施設栽培(green house)ピーマン類(pepper:トウガラシ属植物の生果実)について、日本の植物検疫上輸入が禁止されていたが、日本との間で輸出条件に関して合意したと発表した。この結果を受けて、ブリティッシュ・コロンビア州施設栽培生産者協会は、施設栽培ピーマンの日本向け輸出額は、年間2000万カナダドル(16億円:1カナダドル=80円)に達する見込みと期待を示している。
ただし、カナダ農務・農産食品省の発表では詳細に言及していないが、日本側の発表によると、輸入解禁地域は、ブリティッシュ・コロンビア州のうち、大バンクーバー地域およびフレーザー・バレー地域に限るとしている。
病害のおそれが無視できるとして、輸出解禁
カナダ産ピーマンについては、これまで日本の植物検疫上、「タバコべと病」発症の可能性から輸入が禁止されていた。同病は、タバコ属、トウガラシ属等のナス科植物の生茎葉・生果実で発症するカビの一種で、葉の変形から始まり、深刻な場合、葉全体が枯死する。風の影響で広範囲に拡散するとされているが、カナダ側の管理徹底と日本側の現地確認調査の結果、「カナダで適切な管理を行えば、同病が日本に侵入するおそれは無視できる」との判断に至った。
初出荷は、大規模家族経営農場によるもの
現地報道によると、本合意に基づく初出荷は、家族経営ながら大規模施設栽培農場である「ウィンド・ファーム」によるものとみられている。同農場は、本部を構えるブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのみならず、米国西海岸にも農場を有している。すでに日本向けにトマトを輸出しており、今回のピーマンの初出荷も既存の顧客向けとされている。ただし、同農場は、日本市場に期待を示しているものの、すでに今年の収穫期は終了しつつあり、翌年以降の本格輸出に向けた足がかりにするものとみられている。
ブリティッシュ・コロンビア州のピーマン栽培は主要部門の一つ
ブリティッシュ・コロンビア州は、カナダの施設栽培野菜の生産において、最大のオンタリオ州に次ぐ第2位の州となっている(図1、2)。また、カナダの施設栽培野菜の生産のうち、ピーマンは、トマト、きゅうりに次ぐ主力品目である(図3)。
なお、日本は、カナダの施設栽培野菜の輸出において、圧倒的な数量である米国に次ぐ第2位の輸出先であり、その輸出量のほぼ全てがトマトである(表)。
図2 カナダの州別施設栽培野菜生産量(2014年)
表 カナダの品目別国別施設野菜輸出量(2015年)
資料:Statistics Canada
【根本 悠 平成28年10月6日発】
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