北海道では現在、でん粉原料用専用品種としては約18,000ヘクタールが作付けされています。このうち85%を占める「コナフブキ」は、でん粉価が高く、安定多収であることから、それまでの「紅丸」に換わり主力品種となりました。しかし、「コナフブキ」のでん粉はリン含量や離水率が高いなど、「紅丸」とは特性が異なっており、実需の要望を十分に満たしているとは言えません。
一方、でん粉原料用の主産地では、年々シストセンチュウの発生地域が拡大し安定生産の脅威となっているため、シストセンチュウ抵抗性のない「コナフブキ」に換わる抵抗性品種の育成が強く望まれています。これまでにも抵抗性品種は開発・導入されてきましたが、収穫時期が遅かったり、収量性が十分でなかったため、栽培面積はそれほど増加していません。
このため、前述の3つの育種目標に合致した品種「北育13号」を育成しました。「北育13号」はシストセンチュウ抵抗性で、生育期間は「コナフブキ」と同程度です。収量性は「コナフブキ」と概ね同等で、でん粉品質(リン含量、離水率)は「紅丸」並に優れます。塊茎に紫色の斑が入りますが、でん粉の白度は全く問題ありません。
本品種は平成22年1月に北海道の優良品種に認定され、3年後の平成25年から一般栽培が開始される見込みです。ただし、小粒塊茎の割合が高く掘り残しによる雑草化が増える懸念があり、また多湿条件では収量が変動する試験事例も見られたため、普及あたっては産地での栽培特性を考慮しながら進めることが肝要です。
シストセンチュウ発生地域及びその周辺の「コナフブキ」の一部に置き換わることを期待しています。