(イ)米国の異性化糖需給
〜国内消費は減少もメキシコ向け輸出でカバー〜
米国の異性化糖消費は、「natural」志向の高まりによる消費者の砂糖回帰などから減少傾向で推移してきており、2009年の消費量は前年比4.0%減の728万トンと見込まれ、5年前と比べて11.4%減少している。また、生産量も前年比3.5%減の777万トン(内訳は、HFCS42が286万トン、HFCS55が491万トン)と見込まれている。しかしながら2010年の生産量については、砂糖価格の上昇に伴う異性化糖の価格優位性から、上半期(1〜6月)で前年同期比6.7%増の410万トンと回復を見せている。
また、北米自由貿易協定(NAFTA)の下、メキシコ向け輸出が増加しており、国内市場が縮小する中、需要の下支えとなっている。
米国の2009年における異性化糖輸出量は、前年比0.8%減の61万7000トンと、前年から減少したが、2004年の4倍以上の水準に増加している。内訳は、約50万トンがメキシコ向け、残りのほぼ全量がカナダ向けとなっている。メキシコ向け輸出はほとんどがHFCS55となっている。HFCS42については、メキシコが同国内の製造業者2社(Arancia社およびAlmex社)の生産によって需要をほぼ満たしているため、米国からの輸出はごく少量である。
メキシコの異性化糖需要は、砂糖価格の高騰による価格優位性から急激に拡大しており、特に飲料部門での使用が目立っている。米国農務省は、メキシコにおける異性化糖消費量は、2008/09年度(10月〜翌9月)に76万7000トンであったが、2009/10年度には128万2000トンまで大幅に増加すると見込んでいる。
今後の需要の増加は砂糖価格にも左右されると思われるが、2010/11年度についても、前年度並みかやや増加すると見込まれている。メキシコの消費増に伴って米国からの輸出量も増加しており、2009/10年度には約83万トンに達すると見込まれ、2010/11年度はさらに1割程度増加し90万トンと予測されている。これまでのところ、需要増はほぼ米国からの輸出で賄われており、メキシコ国内の生産規模拡大は進んでいない状況にある。