鹿児島県薩摩半島に大型かんしょでん粉製造工場完成
最終更新日:2011年10月7日
鹿児島県薩摩半島に大型かんしょでん粉製造工場完成
2011年10月
1.新工場の完成
鹿児島県の薩摩半島を拠点とする3つの農業協同組合(南さつま農業協同組合、いぶすき農業協同組合およびさつま日置農業協同組合、以下、「3JA」)が南九州市に建設していた新しいかんしょでん粉製造工場が完成した。新工場の名称は「JA南薩拠点霜出澱粉製造施設」(以下、「JA南薩工場」)という。9月17日から試験的にかんしょの摺込みを開始し同月25日から本格的に製造が開始される。JA南薩工場は薩摩半島南部に所在し、国の国内産糖・いもでん粉供給円滑化事業を活用し経費の半額が補助されている。これまで3JAのかんしょでん粉は、それぞれの工場で製造されていたが、工場設備の老朽化に対応し、食品製造用途への拡大などを図るため1つの工場に集約された。
2.集約化の背景
鹿児島県内におけるJA系新規新工場の建設は平成19年10月から施行された新たなでん粉及びでん粉原料用いも政策が契機となっている。従来の抱き合わせ制度が廃止され、新たな販路の確保とともに、より付加価値の高いかんしょでん粉を製造する必要性に迫られたこと、また、原料処理量に見合ったかんしょでん粉工場の再編などが求められたためである。
JA南薩工場は、JA系新規のかんしょでん粉製造工場としては2番目に建設された。1番目は、大隅半島南部で平成21年10月から稼働している「JA鹿児島きもつき新西南澱粉製造施設(JA新西南工場)」であり、JA南薩工場は、この工場の製造設備などを参考に建設された。それまでJA系かんしょでん粉工場は県内に8工場あったが、商品力を向上し食品工場としての機能充実を図るため工場の再編が行われ、現在のところJA系では3工場に集約されている。
3.新工場の取組み
JA系新工場におけるかんしょでん粉の製造工程は、原料の摺込みから乾燥・袋詰まで外気に触れない構造であり、集中管理による衛生管理と品質管理が徹底されている。
JA南薩工場の原料処理能力は2万トン/年、でん粉製造数量6000トン/年。1日あたり264tの原料摺込みが可能である。同工場の運営は、3JAが組織するJA南薩甘しょでん粉協同事業体が行い、従業員数は27名の予定で、その多くはこれまでのJA系工場の従業員である。食品製造工場として生まれ変わり品質管理意識を高め技術を習得するため、外部企業の品質管理研修に参加するなど積極的に取り組んでいる。また、同工場の製品は「薩摩甘伝」というブランド名を冠し、基本は食品製造用(はるさめ、乾麺、さつまあげなど)として鹿児島県経済連および全農が販売を担うこととなっている。
4.当面の課題と今後の期待
今年産の製造は、9月25日から12月10日までの間で76日間24時間フル稼働し、農家戸数約1400戸・収穫予定面積約1000haで今後収穫される原料用かんしょの搬入を予定している。9月15日には本格稼働を前に、かんしょ生産農家やJA関係者など80名が参集し今年産の操業安全祈願祭と視察研修会が開催された。その研修会の際に、17日からのテスト摺込み(100トン×3回)に向け、原料用かんしょの搬入も行われた。工場の安定的な稼働のため、関係者間の連携による計画的な原料集荷が当面の課題であるという。
今後は、より品質の高い商品製造と食品用途として幅広い販売を目指し、薩摩半島におけるかんしょ生産基盤の拡充と地域農業の振興が期待される。
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