鹿児島事務所
平成24年度の鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会の総会が平成24年5月15日(火)に鹿児島県の自治会館にて開催された。
同協議会は、昭和40年に設立され、鹿児島県の原料用さつまいもおよびさつまいもでん粉の生産・流通等に係る基本方針を一体的に推進し、さつまいも生産農家の所得向上と関連産業の経営安定を図ることを目的に、鹿児島県知事をはじめ12名の会員で構成されている。今回の総会では、鹿児島県農業協同組合中央会会長や鹿児島県澱粉協同組合連合会会長をはじめ9名が出席し、平成23年度の事業実績及び平成24年度の事業計画などが審議され承認された。
平成23年度事業実績
平成23年度のさつまいも生産は、春先の低温、梅雨時の長雨による初期生育の遅れにより、2年連続の不作となった。
作付面積は、前年比300ha減の1万4000haとなり、単収については、前年の2430kgを上回る2500kgとなったものの、平年の2,870kgの1割減であった。この結果、生産量は、前年よりわずかに増加し35万トンとなった。このうち、でん粉原料用の生産量は前年より約2500トン増の14万8,800トン、焼酎原料用は約6700トン減の14万1700トン、その他は約6700トン増の5万9500トンとなった。
需給調整対策として、でん粉原料用さつまいもは、でん粉関係団体の策定した「国内産いもでん粉生産計画」を基本に作成される原料売渡契約に基づいた安定的な取引の実施、焼酎原料用さつまいもは、契約栽培・契約取引の実践による安定的な取引の実施を推進した。
生産対策として、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場と連携し、さつまいもの生育概況について関係者に情報提供を行い、また、でん粉原料用新品種「こなみずき」の普及に向けて、生産者に対する情報提供や製造事業者、実需者との交流会で意見交換を行った。さらに、日本たばこ産業(JT)が行った葉たばこの廃作募集に対して約300戸が応じ、うち約半数がさつまいもの生産を計画していることから、でん粉原料用いもの交付金制度や原料売渡契約の必要性を周知するリーフレットを配布した。
担い手等の育成対策として、認定農業者の育成、経営規模拡大の推進、農作業受託組織の育成等の取組を支援するとともに、TPPに関しては、生産者や製造事業者が大きな打撃を受けることが懸念されることから、国民的合意がないままの交渉には参加しないよう国や関係国会議員に対し要請を行った。
でん粉工場の体質強化対策として、国の産地活性化総合対策事業(地域作物支援地区推進事業)を活用し、高品質でん粉の製造技術等の確立に向けた取組、でん粉等の品質管理に必要な機器の整備等の導入を推進するとともに、公害防止対策として、排水処理施設の適切な管理について指導を行った。
平成24年度事業計画
平成24年度の事業計画では、需給調整、生産、担い手等育成、でん粉工場の体質強化及び公害防止の各対策を引き続き実施するとともに、「こなみずき」について、関係機関との連携を図りながら普及に向けて生産、製造、販売などの各課題解決に取り組むこと、また、平成24年度が品目別経営安定対策の特例措置の最終年となっていることから、地域のさつまいも・でん粉対策協議会等に対し情報提供を行うとともに、引き続き、共同利用や農作業受委託を推進していくこととしている。
出席者からは、「こなみずき」の具体的な普及計画について質問があった。これに対し事務局から、現在、農研機構を中心とした共同研究が実施中(H23〜25年)であり,今年度は農協系のでん粉工場において「こなみずき」を原料としたでん粉を約100トン製造する計画があることや、単収確保のためには栽培日数が従来品種に比べ長期間必要であること、低温糊化性品種であるため従来品種とは生産・流通の分離が必要であることなど現状や課題について回答があった。
機構としては、今後もさつまいも生産計画などについて同協議会と情報交換を行いつつ、交付金交付業務を円滑にすすめていきたい。