さとうきび及びでん粉原料用かんしょに係る
生産者交付金交付対象者要件の見直しについて
最終更新日:2010年5月10日
さとうきび及びでん粉原料用かんしょに係る
生産者交付金交付対象者要件の見直しについて
2010年3月
農林水産省生産局 生産流通振興課
法令係長 近藤 謙介
平成22年1月26日付けで、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成22年農林水産省令第5号)」及び「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律施行規則第19条第2号イ(3)及び第43条第2号イ(3)の農林水産大臣が定める基幹的な作業を定める件(平成22年農林水産省告示第217号)」が公布されました。
これらの内容は、砂糖及びでん粉の原料作物生産者に対する交付金の交付要件について、平成18年の制度改正の際に設けられた特例が平成22年産以降は終了することなどを踏まえ、所要の見直しを行ったものです。その概略について、以下のとおり簡単に御紹介したいと思います。
1 今回の見直しの背景及び趣旨
砂糖及びでん粉の原料作物であるさとうきび及びでん粉原料用かんしょの生産者に対しては、政策支援として、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律に基づき、(独)農畜産業振興機構より交付金が交付されています。 この交付金の交付を受けるためには、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律施行規則(以下「省令」)に定める要件を満たす必要があります。この要件は、平成18年に現行制度への改正が行われた際に、さとうきび・でん粉原料用かんしょの産地の高齢化が進む中、WTO体制の下での国際規律の厳格化への対応も踏まえ、作業集約による生産コストの低減を図り、産地の生産構造を強化し、国内産糖及び国内産いもでん粉の安定供給を確保するという観点から設けられたものです。 平成21年産までの原料作物に関係する生産者交付金の対象者要件は、(1) 認定農業者等(A−1、B−1。Aはさとうきび、Bはかんしょ。以下同じ。) (2) 一定の収穫面積(さとうきび:個人1ha/団体4.5ha、かんしょ:個人0.5ha/団体3.5ha)を有する者(A−2、B−2) (3) 収穫作業を共同して行う団体(収穫作業に係る作付面積の合計が4.5ha(かんしょ3.5ha)以上のもの)の構成員(A−3、B−3) (4) (1)若しくは(2)の者又は委託を受けて農作業を行う者(収穫作業に係る作付面積の合計が4.5ha(かんしょ3.5ha)以上のもの)に対し、基幹的な作業を委託している者(A−4、B−4)となっています。 上記に加え、平成18年の制度改正に際して、平成19年産から平成21年産までの3年間に限り、上記要件を満たさない者であっても、さとうきび又はでん粉原料用かんしょの安定的な生産を行う者の育成を主たる目的とする団体(当該地域における当該作物の生産者の2分の1以上が構成員になっているもの)の構成員であれば、生産者交付金の交付対象者とする特例が措置されていました(A−5、B−5)。 この特例の趣旨としては、沖縄県及び南九州地方においては、作業集約による生産コストの低減を図ろうにも、作業受委託が十分に定着しておらず、実際に本則の対象者要件を満たすには至らない地域が相当数あった中で、一定の期間を設け、共同利用組織や受託組織を育成し、作業集約化を支援するという観点から措置したものです。この特例は平成21年産までで終了しますが、特例に基づき交付金の申請をしている生産者は、年々着実に減少しているものの、なお一定程度の割合を占めている状況にあります(表1参照)。 このような状況も踏まえつつ、22年産以降の対象者要件については、産地が将来にわたって安定的に生産ができるよう、共同利用組織の活用や、作業受委託を促進していくために、以下の所要の見直しを行うこととしました。
表1 生産者交付金申請者の区分
○さとうきび (人)
※平成21年12月25日現在。 資料:農畜産業振興機構
2 改正の概要
今回の見直しの重要な点は以下の2点です。
(1) 「基幹的な作業」に中耕・培土(さとうきびのみ)及び防除作業を追加
(2) 共同利用組織の範囲を、「収穫作業を共同して行う団体」から「基幹作業を共同して行う団体」に拡大するとともに、共同利用組織及びサービス事業体が満たすべき面積要件についても、「収穫面積が4.5ヘクタール(かんしょ3.5ヘクタール)以上であるもの」から「基幹作業面積が4.5ヘクタール(かんしょ3.5ヘクタール)以上であるもの」に見直し表で簡単に示すと表2のようになります。
(1)につきましては、産地との意見交換の中で出された「現行の基幹作業は時期が集中するため、受託側も自己のほ場の作業があるため、受託してもらえない。このため、この期間以外の作業(中耕培土、防除等)を基幹作業に加えて欲しい」、「組織作りを進めるため、委託料が比較的安価な防除作業を基幹作業に位置付けてほしい」といった意見を踏まえ、産地における基幹作業の委託や共同利用による経営の効率化を推進することをねらいとして措置したものです。
(2)につきましては、同じく産地との意見交換における「収穫作業機械が高価であり、各人の負担感が高いことから、作業機の導入について地域の意見がまとまらない」、「ほ場が小さく、点在している地域にとっては収穫機による作業効率が悪く、収穫作業の共同化が進みにくいため、一定の収穫作業面積という要件は厳しい」といった意見を踏まえ、受け手である共同利用組織、サービス事業体が満たすべき要件を「収穫作業面積」から「基幹作業面積」に見直すことで、地域における基幹作業の受け手を増やすことをねらいとして措置したものです。
今回の改正省令の施行時期につきましては、平成22年産以降の生産者交付金の対象者要件についての改正であるため、平成22年産の作物に係る生産者交付金の交付申請の申請期間のはじまりに合わせ、さとうきびの交付対象者要件の改正については平成22年10月1日から、でん粉原料用かんしょの生産者要件の改正については平成22年8月1日から、それぞれ施行されます。しかしながら、22年産に係る交付金の事前審査については、改正後の規定に基づいて行われることとなります。
なお、21年産に係る交付金の審査については、20年産と同様に、改正前のルールに基づいて行われることとなりますので、ご注意下さい。
ここまで述べてきました内容は、あくまで大まかなものでございますので、詳しい情報をお知りになりたい方は、農林水産省HPをご覧いただくか、農林水産省生産局生産流通振興課、(独)農畜産業振興機構にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ先等
農林水産省HP
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/k_antei_taisaku/index.html
農林水産省生産流通振興課 加工第1班 03−3502−8111(内線4844)
農畜産業振興機構 特産業務部
砂糖原料課 03−3583−9174
でん粉原料課 03−3583−9461
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713