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平成21年産甘味資源作物(さとうきび)要件審査状況について

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最終更新日:2010年5月10日

平成21年産甘味資源作物(さとうきび)要件審査状況について

2010年3月

特産業務部

はじめに

 平成21年産さとうきびの収穫が最盛期を迎えて、さとうきびを栽培する島々は、一年で最も活気に溢れている時期であると思われます。  今般、平成21年度の対象要件別生産者申請状況を取りまとめたので、報告します。

1.概況

 平成21年産のさとうきび生産は、少雨傾向であったことや大東島地方で台風の被害が大きかったものの、鹿児島・沖縄両県ともに昨年に引き続き豊作が見込まれており、さとうきびの生産量は、149万8千トン(前年比94%)、県別には、鹿児島で64万9000トン(前年比91%)、沖縄県では84万9000トン(前年比96%)と見込まれている。

 また、さとうきびの価格については、機構から支払われる交付金は、平成21年度も1万6320円/トンと昨年と同じ単価であるが、工場からの原料代は、砂糖の国際価格の高騰をうけて、5,065円/トン(前年比118%)となり、基準糖度(13.7度)でみると農家の手取り額は2万1385円/トンとなった。

 今年産のさとうきびの品質は、例年よりも平均糖度が高く推移していることから、砂糖を産出する場合の歩留りも高くなることが見込まれる。

2.審査申請状況

 平成21年産の審査申請は、2万5692人であった。そのうち鹿児島県が9,179人、沖縄県が1万6513人となっており、平成20年産の実績に比べて117人増加している(鹿児島38人増、沖縄79人増)。

 そのうち、対象要件がA−1、A−4である対象生産者の割合は、平成21年度は、前年に比べA−1が220人(17%)の増、A−4が4,178人(42%)の増となり、A−1からA−4までの本則要件に該当する対象生産者数は、1万7285人(全体に占める割合は67.3%)となった。

 平成19年度から始まった品目別経営安定対策の制度において、平成22年産まで3年間の措置として、本則要件以外に「担い手育成組織」に参加している等の条件を満たせば交付金の交付対象者とする、いわゆるA−5の特例要件が設けられている。

 この特例要件の取り扱いは、今年度で終了になることから、本則要件への移行に向けて地域における関係者の積極的な取り組みが行われてきているものの、平成22年2月1日現在、鹿児島県で19%(1,739人)、沖縄県で40%(6,668人)の生産者がA−5となっている。

(1) 鹿児島県

 対象要件のうち、A−1が13%(124人)増加した。これは、種子島、沖永良部島など複合経営が多い地区において認定農業者が増加したことが影響している。

 A−4の要件においては、ハーベスターの導入が進んだ与論島が39%(288人)の増加、沖永良部島が22%(125人)の増加、と大幅なものがあったことから、県全体でA−4が10%(488人)の増加となっている。

 このため、A−5は前年に比べて24%(557人)減少し、1,739人となっている。

 なお、全対象生産者に占めるA−5の割合は19%であり、中でも与論島についてはA−4への移行がみられるものの、A−5の割合が50%と高い状況にある。

(2) 沖縄県

 対象要件のうち、A−1については、伊是名島、久米島、北大東島等で、担い手育成の積極的な取り組みが行われた。特に、北大東島では認定農業者が87人となり、74%を占めている。

 また、県全体では26%(96人)増加している。

 A−4の要件については、平成20年度に要件認定についての運用改善を行い、「収穫作業」のうち、手刈り収穫におけるさとうきびの搬出作業のみの委託であっても、要件として認めることとしたことから、宮古地区(宮古島、伊良部島)のA−4の作業委託は前年比の3.5倍(3,678人増)となり、A−4の要件の生産者は4,882人(全体に占める割合は98.3%)となった。

 宮古地区においては、これまで相対での受委託を、生産者の理解と関係者の積極的な取り組みが行われた結果、新たな受委託の仕組みを構築することで、契約書等の書類整備ができ、宮古地区の全生産者が本則要件で申請することが出来たと評価されている。

 これらにより、沖縄県におけるA−5の生産者は、前年に比べ31%(3,057人)減少して6,668人となった。

 なお、全対象生産者に占めるA−5の割合は40%を超えて依然高く、特に本島においては、69%(6,069人)となっており、関係者による今後の更なる本則要件への移行の取り組みが必要となっている。

3.本則要件移行への状況

 両県ともに、A−5から本則への移行に取り組んできたが、A−5に区分される生産者の平均的な作付け面積は、鹿児島県で44e、沖縄で30eとなっている。また、両県を併せた平成21年度対象生産者の平均年齢をみると、70才以上が34%となっている。産地での聞き取りによると、これらの生産者は規模拡大に対して消極的であることから、結果として、今後、収穫面積により要件を満たそうとするA−2への移行はあまり期待できないものと思われ、これらの小規模な生産者は、植え付けから収穫まで自己による栽培管理が出来るため、作業委託するという考えが希薄であるものと思われる。  A−4の要件である基幹作業の受委託のうち、耕起、整地の作業単価は安価であり、相対での取り組みは行われているものの、生産者が委託契約書等の書類の作成などに慣れていないといった理由から、A−4要件への取り組みが行われにくい状況となっている。  A−3に区分される共同利用組織の育成は、地域のリーダーの不在、経理等の取りまとめを担当する者やハーベスターなどの機械導入の困難さがあり、現段階では大幅な増加は認められていない。  特に鹿児島県では、奄美大島など一部を除けば遊休地も少ないことから、生産者の希望があっても規模拡大は思うように進んでいない。  沖縄県のうち、宮古島においては、地域の一丸となった取り組みが功を奏して、搬出による受委託手続きの整備を進めた結果、平成20年度に4,890人の生産者のうち、2,718人となっていたA−5の生産者は全て解消され、平成21年度は全生産者(4,966人)が本則要件の対象となった。  一方、農地の流動性という観点からみると、農地の所有者は、遊休地であっても他人に自分の農地を貸すことに抵抗が大きく、生産者当たりの収穫面積の増加が進まない要因となってA−2の割合が減少しており、鹿児島県同様に規模拡大は進んでいない。  このような状況から、本則要件への移行は両県ともにA−4への誘導が基本となって進められているものの、21年度のA−5の生産者割合は鹿児島が19%、沖縄県が40%となっている。

4.今後の取り組みに向けて

 A−5の廃止等、特例措置の終了を踏まえて、各地域において本則要件への移行に向けた更なる取り組みの強化が求められているなかで、地域独自の事情もあり、取り組みに関しては温度差が生じているところである。

 平成22年産からの対象要件について、農林水産省は、関係者の要望を踏まえ、本則要件への移行に向けた課題について検討のうえ見直しを行った結果、共同利用組織の活用や作業受委託を促進していくため、(1)「中耕、培土」「防除」を基幹作業に追加、(2)作業受委託についての作業面積の要件を収穫作業面積から基幹作業面積に変更、(3)共同利用組織の要件の緩和、を行うこととする等の内容を明らかにした(平成22年1月26日 平成22年農林水産省告示第217号)。

 この見直しにより、現在の特例(A−5)生産者の円滑な本則要件生産者への移行が期待されるところである。

おわりに
 機構では、今般の品目別経営安定対策の見直しに対応して、関係者のご協力の下に、引き続き要件審査申請及び交付金交付手続き等の簡素化・効率化に取り組むとともに、業務の円滑な実施に努力して参りたいと考えています。

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713