(1)-1 2010年3月における見通し 〜圧搾順調だが回収糖度は低下〜
さとうきび圧搾動向
さとうきび生産量の80%以上を占める中南部地域の2月前半の圧搾量は286万トンとなり、1月後半の258万トンから10.85%の増加となった。
1月下旬に稼働していた製糖工場は68であったが、2月上旬には49にまで減少した。しかし、天候の回復により2月後半の圧搾は順調となり、最大40の製糖工場が圧搾を継続したとみられる。一部の工場は既に2010/11ブラジル砂糖年度(5―翌4月)へ向けた圧搾を開始している。2009/10ブラジル砂糖年度のこれまでの総圧搾量は前年同期比5.98%増の5億3247万トンとなった。
2009/10年度の圧搾量は前年度より多いものの、砂糖とエタノール生産に使用できる量は少なく、前年同期比1.79%減となった。これは同年度のさとうきび1トン当たりの回収糖分(ATR)が130.62キログラムと、前年度と比べて10.34キログラム少ないためである。さらに、2月前半におけるATRは103.28キログラムと、2009/10年度の平均を下回っている。
砂糖とエタノール生産
2月前半の砂糖生産量は5万9300トン、エタノール生産量は1億3680万リットル(含水エタノール1億920万リットル、無水エタノール2760万リットル)となり、2月前半時点における2009/10年度の砂糖生産量は2848万トン(前年同期比6.73%増)、エタノール生産量は231億8000万リットル(同7.05%減)となった。エタノールの内訳は含水エタノール170億2000万(同3.65%増)、無水エタノール61億6000万リットル(同27.67%減)である。無水エタノールの減少は、ブラジル政府が2月1日から90日間ガソリンへのエタノール混合率を25%から20%に引き下げた影響と考えられる。
2009/10年度における仕向け割合は2月前半時点で砂糖42.97%、エタノール57.03%であったが、2月前半の二週間はエタノール仕向け割合が78.95%であった。
エタノール生産者価格は1月後半から2月前半にかけ生産原価レベルにまで下落、一方、販売価格は下落せず
含水エタノールの生産者価格は下落を続け、2月15日〜19日の平均価格は1リットル当たり1.09レアル(税引き価格)であった。生産者価格の下落にもかかわらず、販売価格は上昇している。これはエタノールの流通過程で発生するマージンが多いためであるとブラジルさとうきび産業協会(UNICA)のAntonio de Padua Rodrigues氏は指摘する。ブラジル石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁によると、生産が最も多いサンパウロ州で生産者価格が1カ月間で9.5%下落する一方、販売価格は1.32%上昇した。
販売価格が上昇する中、2月前半の中南部地域での含水エタノール販売量は4億3685万リットルとなり、1月後半の4億700万リットルから増加した。このことから、消費者が再び、エタノールは持続的な燃料であり、環境や経済発展に役立つものとして選択していることがうかがえる。
2月前半のエタノール販売量は7億1708万リットルとなり、そのうち7億789万リットルは国内で消費され、残りの919万リットルが輸出された。
UNICA“Brazilian Sugarcane Industry Association”2010年2月25日、3月1日記事
(1)-2 粗糖・白糖貿易状況
2010年1月の輸出量は、インド向けが前年同月比230%の41万5000トン、アルジェリア向けが同228%の9万8000トン、アラブ首長国連邦向けが同154%の8万6000トンと大幅に増加したが、ロシア向けが同54%の17万5000トン、バングラデシュ向けが同74%の10万6000トンと大幅に減少し、全体で同92%の178万3000トンと減少した。