砂糖に関するFAQ
最終更新日:2010年5月14日
砂糖に関するFAQ
2010年4月
昨今、いわゆる「無糖」、「糖質ゼロ」などと謳った商品が数多く発売され、砂糖は控えるべき、というイメージが定着しつつあるように思います。また、一方で、砂糖がどのような食品なのか、特に若い方を中心に全く無関心な人も少なくありません。
そこで、今回、改めて、砂糖についてよくあるご質問についてお話させて頂きたいと思います。
1.砂糖の原料、製造方法について
Q:砂糖の原料って何ですか?さとうきびは聞いたことあるけど…。
A:砂糖の主たる原料は「さとうきび」と「てん菜」という作物です。さとうきびは「甘蔗(かんしょ、かんしゃ)」とも呼ばれる暑い地域で生育する植物で、高さは3mにもなり、茎に砂糖分を蓄えています。一方、「てん菜」は「ビート」、「さとうだいこん」とも呼ばれ、涼しい地域で生育する植物で、外見は大根やカブに似ており、重さは700g〜1kgで根に砂糖分を蓄えています。その他、砂糖カエデ(メープルシロップの原料)や砂糖ヤシなども原料になります。
甘蔗写真
てん菜写真
Q:砂糖はどうやって白くしているのですか?何か薬品を使っているのですか?
A:砂糖の結晶は白ではなく無色透明です。雪や氷の細かい結晶が白く見えるのと同じ原理で、光を反射しているので白く見えるのです。漂白剤も使用していませんし、白く染めているわけでもありません
砂糖の結晶
砂糖は、さとうきびやてん菜などが光合成によりつくりだし蓄えているものです。ですから、まさに「自然の恵み」と言うことができます。「砂糖をつくる」ことは、蓄えているものを取り出すことであり、精製することは、砂糖分をできるだけ純粋な形にすることです。決して化学的につくられているものではありません。
また、「白砂糖より三温糖の方が色が付いているので体に良い」という人がいますが、どちらも製造方法は同じです。三温糖は、白砂糖を取り出した残りの糖液を再び煮詰めてつくるため、加熱によりカラメル色がつくのです。ミネラル分を含むのは事実ですがごく微量であり、栄養面での大きな差はありません。
砂糖の製造工程
2.砂糖の種類について
Q:砂糖はたくさん種類がありますが、どのように使い分ければ良いのでしょうか?
A:純度の高いグラニュー糖などは甘さとしてはむしろ淡白で、風味や香りはほとんどありません。ですから、使用する食材の風味や香りなどを生かしたいときによく使われます。コーヒーなどに入れるスティックシュガーはグラニュー糖ですし、果物を材料にしたケーキなどにもグラニュー糖が多く使われます。
一方、三温糖のように色のついた砂糖は、砂糖自身にカラメルの甘い香りがあり、舌に感じる甘さも強いのです。ですから、逆に食材の苦みや酸味を和らげたいときや、甘さにコクを出したいときなどにお勧めします。ちなみに、家庭用として最も一般的な上白糖は、どちらの用途にも対応できる万能選手です。
また、果実酒をつくるときは、結晶が大きく、ゆっくり溶けて果実のエキスを引き出す氷砂糖やざらめ糖が適しています。
砂糖のいろいろ
3.砂糖の栄養・健康面について
Q:やっぱり砂糖のカロリーって高いんですか?
A:砂糖についての最も大きな誤解は、「極端な高カロリー食品である」ということです。砂糖は、食品分類上はご飯、パン、うどん、そばなどと同じ「糖質(炭水化物)」に属します。ここで、これらの食品の100gあたりのカロリーをみてみましょう。
砂糖(上白糖)…384kcal
小麦粉(薄力粉・1等)…368kcal
そば粉(全層粉)…361kcal
精白米…356kcal
(五訂日本食品標準成分表より抜粋)
このように、砂糖、小麦粉、そば粉、お米のカロリーはほとんど同じであり、一般的に糖質は1gあたり4kcalとされています。
一方、タンパク質のカロリーは糖質と同じ4kcal/g、脂質のカロリーは9kcal/gですから、砂糖は極端な高カロリー食品ではありません。肥満は総摂取カロリーが総消費カロリーを上回ることが原因ですから、食生活全体を見直すとともに、積極的に体を動かすことも大切です。
Q:糖尿病を予防するには、やはり砂糖は控えるべきですか?
A:糖尿病とは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む働きをするホルモン「インシュリン」の分泌異常の病気です。その結果、血液中のブドウ糖値(血糖値)が高くなり、場合によっては尿にまであふれ出てしまうのです。
糖尿病は、遺伝的素因に肥満、運動不足、過食、ストレスなど後天的要因が重なって起こると言われていますが、少なくとも砂糖の摂取との直接的関係はありません。健康な方であれば、もちろん食事全体の栄養やカロリーバランスに留意する必要はありますが、その範囲内で砂糖を控える必要はありません。
Q:虫歯になるのではと、子どもに甘いものを食べさせていいのか心配です。
A:虫歯になる要素としては(1)歯の質(2)虫歯菌の存在(3)虫歯菌のえさになる糖分の存在(4)糖分が口内に滞留する時間−の4点が挙げられます。
これを防ぐには、これらの要素をできるだけ取り除く必要がありますが、中でも、虫歯菌の増殖を抑えるため、糖分が口内に滞留しないようにすることが大切です。そのためには、食べた後には出来るだけ早く歯を磨き口腔衛生に努めること、また、おやつを与える際には時間と量を決め、ダラダラ食いをさせないことです。ダラダラ食いをさせないことは、3度のバランス良い食事をきちんと摂らせる上でも重要です。
4.砂糖の取り扱いについて
Q:砂糖はどのように保存したら良いですか?賞味期限はないと聞きましたが…。
A:砂糖は、品質が安定した食品として法的に賞味期限の表示義務はありませんが、湿度の変化が激しい所に置きますと、湿度が低い場合、砂糖中の水分が蒸発してカチカチに固まる可能性があります。また、砂糖は周りのにおいを吸着しやすいため、においの強いもの(洗剤、漬物など)のそばに置くと、においが移る場合があります。
これらを防ぐため、スーパー等で売られているポリ袋入りの砂糖は、フタの閉まる密閉できる容器に保存することをお勧めします。
なお、固まった砂糖は食べても害はありませんが、固まった砂糖をビニール袋に入れ、霧吹きで水をかけて(1kg小袋で数回程度)輪ゴムなどで密封すれば、数時間で元に戻ります。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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