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平成21年度甘味料の需要実態調査の概要

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最終更新日:2010年6月3日

平成21年度甘味料の需要実態調査の概要

2010年6月

調査情報部調査課

■はじめに
 
 農林水産省によると、平成20砂糖年度(10月〜9月)における砂糖の需要量は、前年度を2.8%下回る213万6000トンとなった。また、異性化糖についても、同4.9%減の78万4000トンと前年度を下回った。一方、加糖調製品(含糖量ベース)の需要量は、31万5000トンと前年度から1.9%の増加を見せ、アスパムテールやスクラロースなどの代替甘味料も低カロリー嗜好の広まりに伴って、その需要量が増加しているところである。
 
 こうした状況を踏まえ、当機構では、甘味料の需要動向を把握するため、砂糖、異性化糖、加糖調製品および代替甘味料を調査対象として、平成21年度甘味料需要実態調査を行ったので、その概要を報告する。
 
 
 
 
■1.調査概要
 
 甘味料使用企業34社に対して、2009年(1〜12月)における砂糖、異性化糖(ぶどう糖加糖液糖、果糖ぶどう糖液糖)、加糖調製品(ソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あん)、代替甘味料(果糖(フラクトース)、アスパルテーム、マルチトール、スクラロース、アセスルファムK(カリウム))の使用状況について調査を行った。調査項目は、使用している甘味料の種類ごとに、(1)使用動機(2)調査対象年およびその前年の仕入量と今後の増減見込み(3)仕入価格(4)評価(5)使用甘味料の変更の状況(6)使用商品例−とし、聞き取りにより調査した。
 
 また、製品分野では、菓子、清涼飲料、乳製品、洋生菓子、パン、調味料類、漬物、佃煮・煮豆、水産練物・珍味、飼料を調査の対象とした。
 
 
 
 
■2.調査結果
 
(1)砂糖
〜価格高騰時に使用減を見込む企業が目立つ〜
 
 
 
 
2009年の状況
 
 砂糖は、32社で使用され、この32社の2009年の仕入量の合計は、22万4707トンと前年並みとなった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は8社、前年並みだった企業は13社、減少した企業は11社であった。増減理由としては、主として「使用している商品の売れ行きによる」ということであったが、このほか、減少した理由として、砂糖の価格高騰により、「加糖調製品に切り替えた(乳製品メーカー)」、「砂糖を使用する商品を絞り込んだ(清涼飲料メーカー)」、「商品価格は据え置いて内容量を減らしたことにより、仕入量が減少した(菓子メーカー)」などが挙げられた。
 
 砂糖は、味覚面で「自然な甘味」が出せるという点でユーザーから高い評価を得ている一方で、価格がほかの甘味料と比較して高い水準にあるとみなされている。仕入価格に関しては、対象企業のほとんどで上昇しているとの回答が得られた。2009年に砂糖から他の甘味料へ原料を切り替えた企業(7社)には、コストメリットを求めて加糖調製品へ切り替えたものと、カロリーオフを図るため代替甘味料へ切り替えたものが見られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が11社、減少を見込む企業が15社、予測できないとする企業が4社と、価格の先行き不透明感から横ばいから減少を見込んでいる企業がほとんどとなっている。
 
 また、砂糖価格次第では、ほかの甘味料に切り替える可能性を示唆する企業があることから、今後も砂糖価格が高水準で推移した場合、仕入量の減少が見込まれる。しかしながら、味覚、風味の面で砂糖は必需品、と考えている企業が数多く見られ、一部の製品についてほかの甘味料に切り替えることはあっても、全面的に切り替える可能性については、各社とも否定的な意見であった。
 
 
 
 
(2)異性化糖
 
(2)−1ぶどう糖果糖液糖
〜とうもろこし価格の下落で価格が安定〜
 
 
 
2009年の状況
 
 ぶどう糖果糖液糖を使用していたのは、菓子、清涼飲料、乳製品、パン、調味料類、漬物、佃煮・煮豆の製品分野の15社であった。使用理由としては、「砂糖に比べて安価である」ことや、「低温のデザート類には必要不可欠(乳製品メーカー)」、「製品に清涼感を持たせることができる(清涼飲料メーカー)」、「液状なので加工作業が軽減される」ことなどが挙げられた。
 
 これら15社における2009年の仕入量の合計は5万5287トンで、前年比1.2%増となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業は10社、減少した企業は2社であった。増減理由は、主として、使用商品の売れ行きによるものであるが、仕入量が増加した企業のなかには、「砂糖価格の高騰により、安価なぶどう糖果糖液糖を使った製品の比率を増やした」という事例も見られた。また、より甘味度の高い果糖ぶどう糖液糖に切り替えたため、仕入量が減少した企業も見られた。
 
 仕入価格に関しては、2009年から原料であるとうもろこし価格が下落傾向にあるため、安定してきたとの回答が多くの企業から得られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が7社、減少を見込む企業が3社、予測できないとする企業が3社となっている。増加を見込む理由としては、「砂糖価格の高騰により、ぶどう糖果糖液糖を使う製品の比率を上げる可能性がある」などの回答が得られた。
 
 
(2)−2果糖ぶどう糖液糖
〜清涼飲料分野から品質面で高い評価〜
 
 
 
2009年の状況
 
 果糖ぶどう糖液糖を使用していたのは14社であった。ぶどう糖果糖液糖と同様、菓子、清涼飲料、乳製品、パン、調味料類、漬物、佃煮・煮豆の製品分野で使用されている。使用理由としては、「砂糖に比べて安価である」ことのほか、「砂糖よりも後味にしつこさがない」、「液状なので加工しやすい」、「製品に清涼感を持たせることができる(清涼飲料メーカー)」、「ぶどう糖果糖液糖並みの価格で、より甘みが出る」などが挙げられた。
 
 これら14社における2009年の仕入量の合計は20万640トンで、前年比3.8%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は4社、前年並みだった企業は5社、減少した企業は5社であった。増減理由は、主に商品の売れ行きによるものであり、清涼飲料分野からは、減少の理由として「果糖ぶどう糖液糖を使用する低果汁飲料の人気が落ち、果汁100%飲料の人気が高まった。さらに冷夏によって清涼飲料全体の売上が落ち込んだ」との意見が得られた。
 
 仕入価格に関しては、ぶどう糖果糖液糖と同様に、安定しているとの回答が多くの企業から得られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が8社、減少を見込む企業が1社、予測できないとする企業が3社となっている。増加を見込む理由としては、「砂糖価格の高騰により、果糖ぶどう糖液糖を原料とした製品の比率を上げる可能性がある」、「ぶどう糖果糖液糖から、より甘みが出る果糖ぶどう糖液糖へ切り替える可能性がある」などの回答が得られた。
 
 
 
 
(3)加糖調製品
 
(3)−1ソルビトール調製品
〜需要はコストメリットに影響される〜
 
 
 
 
2009年の状況
 
 ソルビトール調製品を使用していたのは、菓子、洋生菓子、パン、調味料類、漬物、水産練製品の製品分野の11社であった。使用理由としては、「砂糖と比較して安価である」との意見が最も多く、砂糖から切り替えた企業も見られた。そのほかには、「水分活性が抑えられ、保存性が良い(菓子メーカー)」、「砂糖だけでは調達量の確保に不安があった」、「しっとり感を与えられ、商品の特性にマッチしていた」などの理由が挙げられた。また、ソルビトール単体の仕入れに加え、調製品をソルビトールの数量確保のために調達する企業もあった。
 
 これら11社における2009年の仕入量の合計は2万8836トンで、前年比0.6%の減少となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業は6社、減少した企業は3社であった。増減理由は、主に商品の売れ行きによるものとの回答であった。
 
 砂糖の価格上昇により、ソルビトール調製品のコストメリットが高まったという意見が多くの企業から得られた。しかしながら、年間のソルビトール調製品仕入量が数十トン程度のユーザーの中には、ソルビトール調製品の価格も上昇傾向にあるため、砂糖と比較したコストメリットが薄らいでいるとの声も聞かれた。このため、砂糖からソルビトール調製品への切り替えを検討しているユーザーは1社のみであった。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が1社、横ばいを見込む企業が7社、減少を見込む企業が1社、予測できないとする企業が2社となっている。増加を見込む企業からは、「商品の売れ行きが好調であり、今後も期待できる」との回答が得られた。一方、減少を見込む企業は、「近年ソルビトール調製品の価格が上昇してきたことから、今後は調達を砂糖にシフトさせる意向である(本来、砂糖の方が特性の面で対象製品との相性が良いため)」との理由を挙げた。
 
 
 
(3)−2ココア調製品
〜仕入価格は2009年を通じて安定〜
 
 
 
2009年の状況
 
 ココア調製品を使用していたのは、菓子、洋生菓子、パンといった製品分野の4社であった。使用理由としては「製品の特性にあっており、必需品」、「砂糖価格が高騰した」、「甘味料というより、ココアの確保を行いたい」、「甘みを与えながら、味わいに厚みが出る」などが挙げられた。
 
 これら4社における2009年の仕入量の合計は1万8500トンで、前年比3.4%の減少となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業は1社、減少した企業は1社であった。増加理由としては、「砂糖価格の高騰により今年から試験的にココア調製品の調達を始めた」であったのに対し、仕入量が減少した企業からは、「商品の売れ行きが不調であった」、「仕入価格の高騰により、在庫管理を徹底して調達量の減少に努めた」などの要因が挙げられた。
 
 仕入価格に関しては、2008年に比べ概ね落ち着いたとする声が多く、中には1割程度安くなったとする企業もあった。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業はなく、横ばいを見込む企業が3社、予測できないとしている企業が1社となっている。また、各社とも先行きの不透明感から、現時点での増減は予測できず、ココア調製品を使用する製品の売れ行き次第と回答している。なお、今回の調査では、ほかの甘味料への切り替えを検討している企業は見られなかった。
 
 
(3)−3ミルク調製品
〜分離調達から調製品へ切り替えが進展〜
 
 
 
2009年の状況
 
 ミルク調製品を使用していたのは、菓子、清涼飲料、乳製品、洋生菓子、パン、調味料類、飼料の製品分野の12社であった。使用理由としては「脱脂粉乳の調達に不安があるため、調達リスクを軽減したかった」との意見が多く挙げられた。
 
 これら12社における2009年の仕入量の合計は4万540トンで、前年比7.0%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は6社、前年並みだった企業は4社、減少した企業は2社であった。主な増加理由は、「2008年までは、脱脂粉乳、砂糖、ミルク調製品の価格を総合的に勘案した結果、国内産の脱脂粉乳および砂糖を使用した方が割安になったためミルク調製品の調達を行わなかったが、2009年に入ってミルク調製品に価格優位性が出てきたので脱脂粉乳・砂糖の分離調達から一部切り替えを行った」であった。そのほか「製品の売れ行きが好調であった」との理由も挙げられた。仕入量が減少した企業からは、「商品の売れ行きが不調であった」ことが要因として挙げられた。
 
 仕入価格については、ミルク調製品は変動幅が大きい、と企業は感じているようである。このため、定期的に国内の脱脂粉乳や砂糖の価格と比較し、価格面で優位性のあるものを仕入れるようにしている様子が見受けられた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が1社、横ばいを見込む企業が7社、減少を見込む企業が2社、予測できないとする企業が2社となっている。
 
 「砂糖および脱脂粉乳の今後の価格動向が読みにくいため、価格や数量面で国内脱脂粉乳よりも安定している海外のミルク調製品にシフトする可能性が高い」、「脱脂粉乳と砂糖を同時に調達できる点で利便性を感じているため、今後も出来る限り増やしたい」との理由が、増加を見込む企業の意見であった。
 
 
 
 
(3)−4加糖あん
〜中国産の品質が向上〜
 
 
 
2009年の状況
 
 加糖あんを使用していたのは8社で、菓子、乳製品、洋生菓子、パン、水産練製品の製品分野で主にアイスクリーム、あん製品、菓子パンなどに使われている。使用理由としては「製品の特性に合っており、必需品と考えている」などの理由が挙げられた。
 
 これら8社における2009年の仕入量の合計は1万9002トンで、前年比0.1%の減少となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、前年並みだった企業は5社、減少した企業は2社であった。増減理由としては、「商品の売れ行きによる」ものであった。
 
 仕入価格については、変動幅が大きいが、2009年は比較的落ち着いた値動きをしていたとする回答が多かった。割高な国産あんは、特定の高価格商品にのみ使用され、それ以外は価格的に優位な中国産が使用されていた。
 
 このほか、供給量が安定していることや最近は品質が向上し国産との差が小さくなってきたことなども中国産の使用理由に挙げられた。一方、国産あんを仕入れている企業からは、「中国産の品質は向上したものの、まだまだ国産には及ばない。国産と異なり、あんの配合率、固さなどをカスタマイズできない。国産あんがもう少し安価であれば、全量国産に切り替えたい」との回答を得た。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が6社となっており、減少を見込む企業は見られなかった。
 
 その理由としては、「加糖あんはあん製品にとって必需品であり、ほかの甘味料に切り替えることはできないため、今後大きな増減はない」、「加糖あんを使った商品を今後リニューアルするため、数量が増加する」などの回答が得られた。
 
 
 
 
(4)代替甘味料
 
(4)−1果糖(フラクトース)
〜仕入量が大きく減少〜
 
 
 
2009年の状況
 
 果糖(フラクトース)を使用していたのは、菓子、清涼飲料、乳製品などの製品分野の11社であった。使用理由としては「製品への風味付けに最適」、「さっぱりとした後味が製品に合っている」との意見が多くを占めた。そのほかに「エネルギーとしての吸収が速い」などの意見も聞かれた。
 
 これら11社における2009年の仕入量の合計は9,239トンで、大口ユーザーが仕入数量確保の不安から、製品の生産量を縮小したことにより、前年比22.3%の大幅減となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業は4社、減少した企業は4社であった。先に述べた要因以外では、「商品の売れ行きによるもの」との回答が多くを占めた。また、「2009年の夏は冷夏であったため、清涼飲料の売上が減少し果糖(フラクトース)の仕入量も減少した」との理由も聞かれた。
 
 仕入価格についてはユーザーのほとんどが、2009年は大きな価格変動はなく、比較的安定していたとの印象を持っていた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業はなく、横ばいを見込む企業が8社、減少を見込む企業が1社、予測できないとする企業が2社となった。
 
 果糖(フラクトース)を使用する商品が限定されるため、仕入量は砂糖などに比べて圧倒的に少ないという企業が大半を占めた。このため、その商品の売上を見込めない段階では、仕入量の見通しは横ばいとせざるを得ない、とする企業が多かった。
 
 
(4)−2アスパルテーム
〜仕入量が大幅に増加、今後も増加の見込み〜
 
 
 
2009年の状況
 
 アスパルテームを使用していたのは6社で、菓子および清涼飲料の製品分野、特にカロリーオフやシュガーレスなどの特徴を持つ製品に使用されている。使用理由としては「シュガーレス・カロリーオフの製品に必需品である」との回答が大半を占めたが、そのほかにも、「砂糖に比べ単価は高いが、少ない使用量で十分に甘みが出せるので、砂糖よりも割安になる」、「味に持続性があり、製品の品質向上に役立つ」などの理由が挙げられた。
 
 これら6社における2009年の仕入量の合計は52.5トンで、カロリーオフ・シュガーレス製品の売り上げが好調であったことから、前年比40.4%の大幅増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は4社、前年並みだった企業は2社、減少した企業はなかった。先に述べた要因以外では、「砂糖や果糖ぶどう糖液糖を使った製品の一部をアスパルテームに切り替えた」、「成分調整により、アスパルテームの含有量を増やした」などが増加理由として挙げられた。
 
 仕入価格については、変動はほとんどみられず、アセスルファムKなどの他の甘味料と組み合わせて使用する企業が多く見られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が1社、予測できないとする企業が1社となっており、減少を見込む企業は見られなかった。
 
 増加の理由としては、「今後もカロリーオフ・シュガーレス製品の需要は増え続けると予測している」との意見がほとんどであった。また、今後砂糖などほかの甘味料からの切り替えを示唆する企業も見られた。
 
 
(4)−3マルチトール
〜仕入価格に大きな変動なし〜
 
 
 
2009年の状況
 
 マルチトールを使用していたのは7社であった。アスパルテームと同様、菓子および清涼飲料で、カロリーオフやシュガーレスなどの特徴を持った製品に、主にアスパルテームやアセスルファムKなどの代替甘味料とあわせて使用されている。使用理由としては「シュガーレス・カロリーオフの製品に必需品である」との回答が大半を占めた。そのほかにも、「甘みが少ないが味に厚みが出るため、特定の製品に必須」、「風味が出る」などの理由が挙げられた。
 
 これら7社における2009年の仕入量の合計は7,093トンで、前年比6.8%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、前年並みだった企業は4社、減少した企業は1社となった。増減要因は商品の売れ行きによるものであり、カロリーオフ・シュガーレス製品の売れ行きが好調であったことが前年を上回った要因と考えられる。
 
 仕入価格については、2008年並みの水準であった。アスパルテームと同様、アセスルファムKなどのほかの甘味料と組み合わせて使用する企業が多く見られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が3社、予測できないとする企業が1社となった。増加の理由としては、「今後もカロリーオフ・シュガーレス製品の需要は増え続けると予測している」との意見であった。
 
 
(4)−4アセスルファムK(カリウム)
〜仕入量が増加傾向〜
 
 
 
2009年の状況
 
 アセスルファムKを使用していたのは9社であった。菓子、清涼飲料、乳製品、漬物の製品分野で、アスパルテームと同様、カロリーオフやシュガーレスなどの特徴を持った製品向けである。アスパルテームやマルチトールなどの代替甘味料と併せて使われるケースが多い。使用理由としては「シュガーレス・カロリーオフの製品に必需品である」との回答が大半を占めた。そのほかにも、「乳製品に風味を持たせられる」、「試験的に採用した」、「アスパルテームだけでは出せない甘さを加えられる」などが挙げられた。
 
 これら9社における2009年の仕入量の合計は83.56トンで、前年比17.4%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は4社、前年並みだった企業は4社、減少した企業は1社となった。増減理由としては、「商品の売れ行きによるもの」、「一部の製品について、砂糖や果糖ぶどう糖液糖から切り替えた」などが挙げられた。また、低カロリーを謳うデザートに採用したものの、デザートでは低カロリー性商品の需要が少なく、売れ行きが思わしくなかったというメーカーの声も聞かれた。
 
 仕入価格については前年並みの水準であった。
 
 アセスルファムKは、人工甘味料ということで消費者にマイナスの印象を持たれた時期もあったが、今では多くの商品に使われ、抵抗感が薄れてきているようである。また、味覚面でも向上していると評価するユーザーもあった。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が5社、減少を見込む企業が2社、予測できないとする企業が2社となった。増加を見込む理由としては、アスパルテームやマルチトール同様、「今後もカロリーオフ・シュガーレス製品の需要は増え続けると予測している」との意見が大半であった。一方、試験的に採用した企業では、製品の特性と合わなかったためか、売れ行きが思わしくなく、今後取扱いを中止する可能性を示唆していた。
 
 
(4)−5スクラロース
〜低カロリー商品向け代替甘味料と同様に仕入量が増加〜
 
 
 
2009年の状況
 
 スクラロースを使用していたのは14社であった。菓子、清涼飲料、乳製品、調味料類、漬物の製品分野で、カロリーオフやシュガーレスなどの特徴を持たせるために使用されている。アセスルファムKなどの代替甘味料とあわせて使われるケースが多い。
 
 使用理由としては、「シュガーレス・カロリーオフの製品に必需品である」との回答のほか、「味の持続性がある」、「味覚・浸透圧・歩留まりなどを勘案した結果、最適と判断した」などの理由が挙げられた。また、調味料類や漬物などの分野でも、消費者ニーズを踏まえた製品ラインナップの拡充のため、低カロリー商品の開発が進んでいる。このため、アスパルテームやマルチトール同様、低カロリー商品に必須な甘味料として、その使用割合は近年飛躍的に高まっている。
 
 これら14社における2009年の仕入量の合計は38.66トンで、カロリーオフ・シュガーレス製品の売上が好調であったことから、前年比24.8%の大幅増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は7社、前年並みだった企業は6社、減少した企業は1社となった。先に述べた要因以外では、「一部の製品について砂糖や果糖ぶどう糖液糖から切り替えた」、「製品ラインナップを増やすためにスクラロースを使用した低カロリー商品の発売を始めた」などが増加の理由に挙げられた。
 
 仕入価格については、ほかの甘味料と比較して高価格帯であることから割高感を持つ企業が多かったが、仕入量が少ないため、価格の変動にさほど敏感に反応していなかった。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が6社、横ばいを見込む企業が4社、減少を見込む企業が1社、予測できないとする企業が3社となった。
 
 増加の理由としては、「今後もカロリーオフ・シュガーレス製品の需要は増え続けると予測している」、「注力商品(低糖商品)に使っているため増えると見込んでいる」との意見が聞かれた。
 
 
 
 
■まとめ
 
 2009年を調査対象とした本調査において、前年から仕入量が大きく伸びたのは、アスパルテームなどの、カロリーオフ・シュガーレスといった低カロリー製品に利用される代替甘味料であった。低カロリー製品は近年、消費者のニーズを反映して、ヒット商品が数多く生み出されているため、代替甘味料の使用量も年々増加傾向で推移している。
 
 その一方で、各社とも代替甘味料について、あくまで砂糖とは違った効果(カロリーオフ・シュガーレス)を期待して使用しているため、味覚面で高く評価する砂糖から完全に切り替えることはないとする声が多数であった。
 
 砂糖にとってネックであるのは価格面である。特に2009年には、砂糖の国際価格が29年ぶりの高水準を記録し、国内価格も上昇したことから、コスト削減を目的としたほかの甘味料への切り替えが見られた。調査対象企業からは、今後も価格動向次第で、切り替えの可能性を示唆する声が聞かれている。こうしたことを踏まえ、国際需給など砂糖国際価格に影響を与える要因について、引き続き注視する必要があろう。
 
 最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、この場を借りて厚くお礼を申し上げたい。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713