2009年の状況
スクラロースを使用していたのは14社であった。菓子、清涼飲料、乳製品、調味料類、漬物の製品分野で、カロリーオフやシュガーレスなどの特徴を持たせるために使用されている。アセスルファムKなどの代替甘味料とあわせて使われるケースが多い。
使用理由としては、「シュガーレス・カロリーオフの製品に必需品である」との回答のほか、「味の持続性がある」、「味覚・浸透圧・歩留まりなどを勘案した結果、最適と判断した」などの理由が挙げられた。また、調味料類や漬物などの分野でも、消費者ニーズを踏まえた製品ラインナップの拡充のため、低カロリー商品の開発が進んでいる。このため、アスパルテームやマルチトール同様、低カロリー商品に必須な甘味料として、その使用割合は近年飛躍的に高まっている。
これら14社における2009年の仕入量の合計は38.66トンで、カロリーオフ・シュガーレス製品の売上が好調であったことから、前年比24.8%の大幅増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は7社、前年並みだった企業は6社、減少した企業は1社となった。先に述べた要因以外では、「一部の製品について砂糖や果糖ぶどう糖液糖から切り替えた」、「製品ラインナップを増やすためにスクラロースを使用した低カロリー商品の発売を始めた」などが増加の理由に挙げられた。
仕入価格については、ほかの甘味料と比較して高価格帯であることから割高感を持つ企業が多かったが、仕入量が少ないため、価格の変動にさほど敏感に反応していなかった。
今後の見通し
今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が6社、横ばいを見込む企業が4社、減少を見込む企業が1社、予測できないとする企業が3社となった。
増加の理由としては、「今後もカロリーオフ・シュガーレス製品の需要は増え続けると予測している」、「注力商品(低糖商品)に使っているため増えると見込んでいる」との意見が聞かれた。
■まとめ
2009年を調査対象とした本調査において、前年から仕入量が大きく伸びたのは、アスパルテームなどの、カロリーオフ・シュガーレスといった低カロリー製品に利用される代替甘味料であった。低カロリー製品は近年、消費者のニーズを反映して、ヒット商品が数多く生み出されているため、代替甘味料の使用量も年々増加傾向で推移している。
その一方で、各社とも代替甘味料について、あくまで砂糖とは違った効果(カロリーオフ・シュガーレス)を期待して使用しているため、味覚面で高く評価する砂糖から完全に切り替えることはないとする声が多数であった。
砂糖にとってネックであるのは価格面である。特に2009年には、砂糖の国際価格が29年ぶりの高水準を記録し、国内価格も上昇したことから、コスト削減を目的としたほかの甘味料への切り替えが見られた。調査対象企業からは、今後も価格動向次第で、切り替えの可能性を示唆する声が聞かれている。こうしたことを踏まえ、国際需給など砂糖国際価格に影響を与える要因について、引き続き注視する必要があろう。
最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、この場を借りて厚くお礼を申し上げたい。