アイスクリームには甘味を付与するために砂糖が広く使われる。また、コストと低温での甘味質を評価して、果糖・ぶどう糖を主成分とする異性化糖もよく用いられている。また、固形分を補うため、でん粉を酵素分解して作られるマルトースを主体とする水あめも使われる。
砂糖の役割は大きく分けて二つある。一つは甘さの付与であり、もう一つは氷点降下作用によるアイスクリーム中の凍結状態のコントロールである。
アイスクリーム中の水分は完全に凍結しているわけではなく、氷結点降下により未凍結の部分が存在する。この未凍結の部分を作るのが砂糖などの糖類と乳原料に由来する塩類などである。未凍結の部分があるため、アイスクリームには柔らかさがあり、口に含んだとき、温度が上昇するとともに速やかに微細な氷が融け、滑らかな口どけが生まれる。
一般に砂糖の含有量が多くなると氷結点降下により、氷結率が下がり、アイスクリームは柔らかくなる。また、砂糖の半分の分子量である果糖やぶどう糖を使用すれば、より氷結点が下がり、アイスクリームは柔らかくなる。従って、加える糖類の種類や量はアイスクリームの硬さやスプーンでのすくいやすさなどの物性に影響するため、アイスクリームショップやレストランなどで売られるディッピング(大型スプーンやディッシャーで皿やコーンに盛る)用のアイスクリームには特に重要である。