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平成24年度甘味料の需要実態調査の概要

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最終更新日:2013年7月10日

平成24年度甘味料の需要実態調査の概要
〜各種甘味料の仕入量は、おおむね増加〜

2013年7月

調査情報部

【要約】

 食品の原料として使用される甘味料には、さまざまな種類がある。各種甘味料について、平成24年の需要実態を調査した。砂糖および異性化糖の仕入量は、前年を上回った。加糖調製品は、その種類により仕入動向が異なっており、代替甘味料は、低カロリー製品に利用される高甘味度甘味料の仕入量の伸びが大きかった。また、異性化糖や加糖調製品は、コスト低減を図るため砂糖の代替として使用されるなど、砂糖価格の動向が各種甘味料の仕入量に影響を与える状況が明らかになった。

1.はじめに

 甘味料は大きく(1)砂糖(2)異性化糖(3)加糖調製品(4)代替甘味料に分類される。農林水産省によると、平成23砂糖年度(10月〜翌9月)における砂糖の需要量は、前年度を2.7パーセント下回る203万9000トン、異性化糖の需要量は、同0.7パーセント増の81万2000トンとなった。一方、加糖調製品(含糖量ベース)の需要量は、36万3000トンと前年度から6.4パーセントとかなりの程度増加した。

 こうした状況を踏まえ、当機構は、甘味料の需要動向を把握するため、砂糖、異性化糖、加糖調製品および代替甘味料を対象に需要実態調査を実施したので、その概要を報告する。

2.調査概要

 甘味料使用企業34社に対して、平成24年(1〜12月)における砂糖、異性化糖(ぶどう糖果糖液糖(注1)、果糖ぶどう糖液糖(注2))、加糖調製品(ソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あん)、代替甘味料(果糖(フラクトース)、アスパルテーム、マルチトール、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース)の使用状況などについて調査を行った。調査項目は、使用している甘味料の種類ごとに、(1)使用開始時期および使用動機(2)仕入量および今後の見込み(3)仕入価格(4)評価(5)他の種類の甘味料への切り替えの可能性(6)使用商品例−などとした。

 なお、製品分野では、菓子、清涼飲料、乳製品、洋生菓子、パン、調味料類、漬物、佃煮・煮豆、水産練物・珍味を調査の対象とした。

 (注1)JAS(日本農林規格)による異性化糖で、果糖含有率50パーセント未満のもの
 (注2)JAS(日本農林規格)による異性化糖で、果糖含有率50パーセント以上のもの

3.調査結果

(1)砂糖
 〜仕入価格は高値推移も、仕入量は増加〜
 
ア.平成24年の状況

 砂糖を使用していたのは33社であった。使用理由としては、「商品の風味を出すため」「商品の日持ちや品質維持のため」という製造上の理由の他、「自然(ナチュラル)である」など、砂糖の特徴を重視する声が挙げられた。

 仕入量について回答のあった31社における平成24年の仕入量の合計は19万6884トンで、前年比5.6パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は7社、前年並みとした企業は12社、減少とした企業は12社であった。主な増加理由は、清涼飲料を中心に「商品の好調な販売」や「商品アイテムの増加」の他、「他の材料の値下がり分を充て、加糖調製品や液糖から砂糖に切り替えたため」などであった。一方、減少理由は、「商品販売量の減少」や「より安価な加糖調製品を増やしたため」であった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は3社、横ばいとした企業が14社、下落とした企業は9社であった。なお、横ばいとした回答の多くは、「安定していたものの高値で推移した」というものであった。

 砂糖の品質・供給安定性に関しては、多くの企業が高い評価を示し、問題ないとのことであった。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。その理由は、「商品の特性に合わせて使っているため」や「商品製造の基本的な仕様を厳守し、かつ、品質を重視し製造しているため、簡単に切り替えができない」というものであった。しかしながら、一部で、コスト削減や生産工程でのハンドリングの優位性を求め、加糖調製品や異性化糖に移行している企業や、液糖や加糖調製品の仕入価格次第で、他の原料への切り替えを行う可能性があるとする企業も複数みられた。

イ.今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が19社、減少を見込む企業が4社、非回答ないしは不明が6社となっている。横ばいを見込む企業からは、「砂糖を使用する飲料や菓子などは成熟商品となっているため、今後大きな拡大は見込めない」との回答があった。

 増加もしくは減少を見込む企業は同数で、「消費者の甘さ離れや低カロリー志向により、砂糖使用量は減少し、高甘味度甘味料などの使用比率が高まっていく」とする見方がある一方、「高甘味度甘味料から砂糖など自然の甘味料への回帰が進んでいる」とみる企業もあり、今後の見通しとして両極端の見方が挙がった。

(2)異性化糖

ア.ぶどう糖果糖液糖
 〜ゼリーの好調な販売などにより、仕入量は増加〜
(ア)平成24年の状況

 ぶどう糖果糖液糖を使用していたのは16社であった。使用理由としては、「保湿性が良く、もちもちとしたビスケットの特性を出せる」と、異性化糖液糖の機能を重視する声の他、「砂糖の代替として」「コスト的なメリットがあるため」というものであった。

 仕入量について回答のあった14社における平成24年の仕入量の合計は4万7077トンで、前年比4.5パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は8社、減少とした企業は3社であった。増加理由は、「東日本大震災の影響で不振だった販売の回復」「震災後、消費者のゼリーに対する嗜好が変わり、ゼロカロリーの商品より、果肉が入ったカロリーのある商品の販売が伸びたため」というものであった。一方、減少理由は、「一部の商品の製造を、国内から海外に移したため」というものであった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は6社、横ばいとした企業が3社、下落とした企業は2社であった。上昇の理由は、「原料であるトウモロコシ価格の上昇による」というものであった。なお、「さまざまな付加価値を付けることで、同じぶどう糖果糖液糖であっても、その価格は千差万別である」という回答もあった。

 ぶどう糖果糖液糖の品質・供給安定性に関しては、多くの企業が問題ないとするも、「各社品質保証期限にバラツキがある」「ぶどう糖果糖液糖は飲料メーカーも使うため、夏場の確保に苦労する」との声も挙げられた。また、仕入先を一つに絞っている企業がある一方、供給の安定性を確保するため、複数の調達先を有している企業が多くみられた。

 原料の変更については、他の原料への切り替えは行われていなかった。その理由は、「工業用のため安価であり、規格がぶれない」「液糖については、生産ラインにおける配管の都合上、同一商品を製造している限り、切り替えることはない」というものであった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が1社、非回答ないしは不明が3社となっている。横ばいを見込む企業からは、「ぶどう糖果糖液糖を使用している商品は、成熟商品となっているため、今後大きな拡大は見込めない」とする回答があった。

イ.果糖ぶどう糖液
 〜猛暑の影響で清涼飲料販売が伸び、仕入量も増加〜
 
(ア)平成24年の状況

 果糖ぶどう糖液糖を使用していたのは16社であった。使用理由としては、「清涼飲料水に使用する場合、砂糖を溶かすより使いやすい」「液状であるため、ハンドリングしやすい」「熱劣化に耐えられる」など、果糖ぶどう糖液糖の特性を重視する声の他、「飲料で、味のボディ感を出すために使用」「甘味づくりのベースとなる」というものもあった。

 仕入量について回答のあった15社における平成24年の仕入量の合計は6万564トンで、前年比13.1パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は4社、減少とした企業は8社であった。増加理由は、「猛暑の影響による炭酸飲料販売量の増加」や「熱中症対策として十分な水分補給が推奨されたことなどによる飲料販売量の増加」、一方の減少理由は、「商品販売が不調」というものであった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は5社、横ばいとした企業が4社、下落とした企業は1社であった。

 果糖ぶどう糖液糖の品質・供給安定性に関しては、多くの企業が問題ないとした。なお、「仕入先メーカーを絞ることはしない」「工場ごとに、複数のメーカーから仕入れるようにしている」など、供給安定性を高める策を講じている企業が複数みられた。また、飲料系以外の企業では、「猛暑により需給がひっ迫し、ビールや飲料会社への納品を優先されたこともあった」というケースもみられた。

 原料の変更については、他の原料への切り替えを行っていなかった。その理由は、「コスト的にも作業性的にも最適」「液糖については、生産ラインにおける配管の都合上、同一商品を製造している限り、切り替えることはない」というものであった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が3社、非回答ないしは不明が1社となっている。横ばいを見込む企業からは、「果糖ぶどう糖液糖を使用している商品は、成熟商品となっているため、今後大きな拡大は見込めない」とする回答の他、「低カロリー志向というトレンドの中にあって、長期的に見れば、高甘味度甘味料の使用が増え、果糖ぶどう糖液糖の使用量は減少するだろう」という見方もあった。

(3)加糖調製品

ア.ソルビトール調製品
 〜供給の安定確保のため、供給先多角化の動き〜
 
(ア)平成24年の状況

 ソルビトール調製品を使用していたのは13社であった。使用理由としては、「価格メリットがあるため」「砂糖代替品として使用」の他、「甘味の付与と保存性を高めるために使用」など、ソルビトール調製品の特性が挙げられた。

 13社の、平成24年の仕入量の合計は3万6153トンで、前年比1.7パーセントの減少となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は4社、減少とした企業は6社であった。主な増減理由は、商品販売量の増減であった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は4社、横ばいとした企業が5社、下落とした企業は1社であった。

 ソルビトール調製品の品質・供給安定性に関しては、多くの企業が高い評価を示し、問題ないとのことであった。震災をきっかけに、調達先を複数にするなど供給安定性を確保するための対策を講じた企業もあり、「震災以降は、同じ規格のものであっても複数のメーカーに分けて発注することにしている。製造工場を複数有している大手メーカーから仕入れるようにしている」「仕入先が一つではリスクが高い。現時点では、原産国や他の種類の甘味への切り替えは行っていないが、研究所では代替品の研究を行っている」など、供給の安定確保に向けた対応が講じられている。

 原料の変更については、ソルビトールから他の原料への切り替えは行っていなかったが、砂糖からの切り替えはみられた。切り替えの理由としては、「価格的に優位である。味に限界はあるものの、コストダウンのために、砂糖から液糖やソルビトール調製品に切り替えていく傾向にある」というものであり、ソルビトール調製品を使い勝手が良いと考えている企業は少なくない。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が4社、減少を見込む企業が3社、非回答ないしは不明が3社となっている。既存商品では原料の切り替えを行わないにしても、「新商品では使用が増える」と見込む企業もみられた。
 
イ.ココア調製品
 〜在庫調整のため、仕入量は減少〜
 
(ア)平成24年の状況

 ココア調製品を使用していたのは2社と、使用分野も限定的であった。「チョコレート生地の材料として使用」と、他の材料では代替ができないためという使用理由の他、「コスト削減に欠かせない」とする声も挙げられた。

 2社の、平成24年の仕入量の合計は1万5712トンで、前年比7.6パーセントの減少となった。減少の理由としては、「在庫調整のため」とするものであった。

 仕入価格に関しては、2社とも横ばいであった。

 ココア調製品の品質・供給安定性に関しては、両企業とも問題ないとのことであったが、「調達先のリスクヘッジを行っており、同じ規格のものであっても複数のメーカーに分けて発注することにしている」とのことであった。

 原料の変更については、2社とも切り替えの動きはみられなかった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、横ばいを見込む企業が1社、減少を見込む企業が1社となっている。
 
ウ.ミルク調製品
 〜仕入量は、乳製品の需給にも影響を受ける〜
 
(ア)平成24年の状況

  ミルク調製品を使用していたのは13社であった。使用理由としては、「コスト削減のため」「ミルク調製品は種類が多く、使用目的に沿って開発されていることから使い勝手が良い」というものであった。この他、「国内の脱脂粉乳の供給が不安であるため」や「脱脂粉乳の代替品」と、乳製品確保への不安も使用理由となっており、「過去、全粉や脱脂粉乳の供給に不安があった経験があることから、乳製品単品での供給量や価格変動に対応するためのバッファとして利用している」という声も聞かれた。

 仕入量について回答のあった12社における平成24年の仕入量の合計は3万7290トンで、前年比2.4パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は4社、前年並みとした企業は6社、減少とした企業は2社であった。主な増加理由は、「商品アイテムの増加」の他、「砂糖単品、国産脱脂粉乳単品からの置き換え」などであった。一方、減少理由は、「在庫調整のため」であった。また、「商品の原料の一部である乳製品需給と、商品そのものの国内需給により、ミルク調製品の使用量は大きく変動する」という回答もあった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は無く、横ばいとした企業が4社、下落とした企業は3社であった。

 ミルク調製品の品質・供給安定性に関しては、問題ないとのことであったが、「砂糖は賞味期限が無いが、脱脂は賞味期限が短く、半年以内に使用しなくてはならない。うまく使うことができれば、コスト削減につながる」との声も挙げられた。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。しかしながら、「適宜見直しは行っている」という企業もあった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が2社、減少を見込む企業が1社、非回答ないしは不明が7社となっている。輸入品と国産品の両方を使用している企業の中には、国内の数社と取引を行い、安定的な調達を図っているところもあり、「現在のところ仕入先の変更などは考えていないが、今後は、海外品に目を向けていくことになる」とのことであった。
 
エ.加糖あん
 〜仕入価格の上昇により収益に影響〜
 
(ア)平成24年の状況

 加糖あんを使用していたのは7社であった。使用理由としては、「あんパン」の材料として使用されるなど、他の材料では代替ができないことによるものであった。

 7社の、平成24年の仕入量の合計は1万6800トンで、前年比3.7パーセントの減少となった。前年に比べて増加とした企業は無く、前年並みとした企業は4社、減少とした企業は3社であった。主な減少理由は「商品販売の不振」や「収益確保のために商品の特売向けを絞っていることで、販売量が減少」というものだった。

 仕入価格に関しては、上昇または下落とした企業は無く、横ばいとした企業が2社であった。しかしながら、「中国産も国内産も、今後は価格が上がっていく」との見方はあった。

 加糖あんの品質・供給安定性に関しては、「中国産は、リードタイム(発注から納品までに必要な時間)を確保し発注すれば問題ない」「中国産も国産も品質は変らない」など、ほとんどの企業が問題ないとのことであった。しかしながら、一部では「袋が破れているなどの問題がある。これは流通上の問題でもあることから、メーカーだけでの対応で解決できるものではない」との指摘もあった。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は無く、横ばいを見込む企業が3社、減少を見込む企業が1社、非回答ないしは不明が3社となっている。
 
(4)代替甘味料

ア.果糖(フラクトース)
 〜主な使用理由は、独特の風味づけを行うため〜
 
ア)平成24年の状況

 果糖(フラクトース)を使用していたのは11社であった。最も多い使用理由としては、「爽やかな食感や喉ごしが出る」「果汁の風味感が出る」「甘味がすっきりしている」など、フラクトースの特性を利用し風味づけを行うためとするものであった。その他、「甘味度が砂糖の3倍と、高い」や「甘味のバランスを整える」「“ベースとなる甘味”と“付加価値となる魅力づくりの甘味”という、両方の効果が得られる」など、機能性が重視され使用されていた。

 11社の、平成24年の仕入量の合計は8,113トンで、前年比7.6パーセントの増加となった。企業別では、前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は6社、減少とした企業は2社であった。主な増加理由としては「商品の好調な販売」が挙げられた。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は2社、横ばいとした企業が3社、下落とした企業は1社であった。

 果糖(フラクトース)の品質・供給安定性に関しては、多くの企業で問題ないとのことであった。各企業とも、国内と海外という両方の調達ルートを確保する傾向が強く、現時点では仕入先が特定の一社である企業からも、「事業継続計画(BCP)の観点から、仕入ルートの複線化を模索している」との声が聞かれた。

 原料の変更については、他の原料への切り替えの動きはみられなかった。切り替えを行わない理由としては、「代替品が無い」が挙げられた。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が8社、減少を見込む企業は無く、非回答ないしは不明が1社となっている。

イ.アスパルテーム
 〜主な使用理由は、商品のカロリー抑制のため〜
 
(ア)平成24年の状況

 アスパルテームを使用していたのは10社であった。使用理由としては、「カロリー抑制のため」が多く、「低カロリー」や「ゼロカロリー」商品に使用されていた。この他、「コスト削減のために、砂糖の代替品として使用する」というものもあった。

 10社の、平成24年の仕入量の合計は990トンで、前年比0.1パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は7社、減少とした企業は1社であった。

 仕入価格に関しては、上昇とした企業は1社、横ばいとした企業が4社、下落とした企業は無かった。

 アスパルテームの品質・供給安定性に関しては、ほとんどの企業が問題ないとのことであった。国産を利用している企業の中には、「輸入品の方が安いが、安全性を考慮し国産を使用している」ところもあった。その他、「国産と韓国産は、甘味の質が異なる」という声も聞かれた。

 原料の変更については、多くの企業が切り替えを行っていなかった。一部、切り替えを行った企業については、「価格が高いので、コスト削減のため、一部についてアセスルファムKに切り替えた」というところもあった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が2社、減少を見込む企業が4社、非回答ないしは不明が1社となっている。ゼロカロリー商品で使用している企業の中には、「ゼロカロリー商品は人気のピークが過ぎ、ある程度の市場を確保したことから、今後、販売量は落ち着く」「砂糖本来のおいしさがカギとなるため、ゼロカロリー商品は、今後、頭打ちになる」と見ているところもあった。

ウ.マルチトール
 〜特性を活かし、クッキーやガムにも使用〜
 
(ア)平成24年の状況

 マルチトールを使用していたのは4社であった。マルチトールは、「甘味料」として使用されるのはもちろん、使用理由として、「保湿性を持つことから、クッキーに使用」「粒ガムの表面のコーティングに必要」というものもあった。

 4社の、平成24年の仕入量の合計は7,760トンで、前年比0.1パーセントの減少となった。前年に比べて増加とした企業は1社、前年並みとした企業は2社、減少とした企業は1社であった。

 仕入価格に関しては、4社とも、横ばいとのことであった。しかしながら、価格はかなり高い水準で推移しているとのことである。

 マルチトールの品質・供給安定性に関しては、問題ないとのことであった。

 原料の変更については、他の原料への切り替えを行っている企業はなかった。

(イ)今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は1社、横ばいを見込む企業が3社となっている。増加を見込む企業は、「砂糖の使用が減っていく分、マルチトールの使用が増加することが予想される」と見ている。

エ.アセスルファムK(カリウム)
 〜低カロリーの新商品増加などにより、仕入量は増加〜

 
(ア)平成24年の状況

 
 アセスルファムKを使用していたのは13社であった。カロリーを抑制するため、「低カロリー」や「ゼロカロリー」商品に使用されていた。この他、「これまではスポット的な使い方をしていたが、アスパムテールやスクラロースの代替品として使用を増やした」という声も挙げられた。
 
 13社の、平成24年の仕入量の合計は154トンで、前年比6.2パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は5社、減少とした企業は5社であった。主な増加の原因は、「商品の好調な売り上げ」「新商品の増加」「低カロリー商品の増加」であり、減少理由は「商品販売の不振」が挙げられた。この他、「最近は、販売が増えている糖質ゼロの飲料に使っている。糖質ゼロ飲料の市場は伸びているが、元々大きな市場ではなかったため、これから本格化すると見込まれる」との見方もある。
 
 仕入価格に関しては、上昇とした企業はなく、横ばいとした企業が9社、下落とした企業は2社であった。横ばいとした企業のうち複数社が、価格がかなり高いと評価しており、「価格が高いため、今後増やすとしたら、アセスルファムKではなくアスパルテームだろう」と見込む企業もあった。この他、「粒度によって価格差がある」とのコメントもあった。
 
 アセスルファムKの品質・供給安定性に関しては、多くの企業が問題ないとのことであった。輸入品を使用している企業には、「中国産に質の問題が無いことが判明し、リスクヘッジのためにドイツ産の他、今後、中国産も使用し始める」というところもあった。
 
 原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。しかしながら、仕入先を多角化する動きはみられ、「BCPの観点から、中国産の調達など仕入れ先の多角化を検討している。また、大きな方向性として、自然甘味への切り替えを検討している」との回答があった。容易に他の原料への切り替えを行わない理由としては、「切り替えのためには、品質を検討しなくてはならないので、時間を要する。安全に供給されるか、毎回同じ甘味度であるかなど、検査項目が多いため」という声が聞かれた。
 
(イ)今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は2社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が2社となっている。
 
 今後の使用量については、「ゼロカロリー商品の人気がピークを過ぎ、ある程度の市場を確保したことから、販売量は落ち着いていく」「砂糖への自然回帰により、使用量は増えない」と、横ばいもしくは減少を見込む声が挙げられた。その一方、トレンドに合わせ、「食品全般のエネルギーを減らすためには、脂を減らすか、糖を減らすかである。今後、高甘味度甘味料が増えていく」と見込む企業もあり、今後の見通しとして両極端の見方が挙がった。
 
オ.スクラロース
  〜カロリー抑制の他、さっぱり感が出るなどの特徴も使用理由に〜

 
 
(ア)平成24年の状況
 
 スクラロースを使用していたのは11社であった。砂糖の代替として「ゼロカロリー商品」や「糖質ゼロの清涼飲料」「低糖・低脂肪の乳製品」で使用されている他、使用理由として、「スクラロースならではの甘味が出せる」「さっぱり感が出る」というスクラロースの特徴が挙げられた。この他、「サネットとスクラロースを一緒に使用する。サネットで口に含んだ最初の甘味、スクラロースで後のじわっとした甘味を出せる。前味と後味という使い方をしている」というものもあった。
 
 11社の平成24年の仕入量の合計は61トンで、前年比7.0パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は4社、前年並みとした企業は6社、減少とした企業は1社であった。主な増加の原因は、「低カロリー商品の増加に伴う使用量の増加」が挙げられた。
 
 仕入価格に関しては、上昇とした企業はなく、横ばいとした企業が5社、下落とした企業は2社であった。
 
 スクラロースの品質・供給安定性に関しては、ほとんどの企業が問題ないとのことであったが、「良質で安価なものが供給されれば、仕入先の変更も検討する」という企業もみられた。
 
 原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。しかしながら、「エリスリトール、ステビアへの切り替えを検討している」「自然回帰の傾向があるので、ゼロカロリー商品を縮小し、自然甘味への切り替えを検討している」などの声が挙げられた。
 
(イ)今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は1社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が1社となっている。多く企業が横ばいを見込む中、「自然回帰により使用量は増えない」と減少を見込む企業と、「食品全般のエネルギーを減らすためには、脂を減らすか、糖を減らすかである。今後、高甘味度甘味料が増えていく」と減少を見込む企業があった。
 

4.まとめ

 本調査における各種甘味料の動向をみると、砂糖および異性化糖の仕入量は、いずれも前年を上回った。これは、東日本大震災の影響による製品需要の低迷からの回復や、猛暑による清涼飲料の消費量の増加などに伴うものであった。

 加糖調製品は、コスト低減を図るため砂糖の代替として使用されており、種類によって使用分野が異なる。このため、仕入動向は基本的に、商品売れ行きによりまちまちであるが、ミルク調製品については、商品の原料の一部である乳製品そのものの需給にも影響を受けていた。

 代替甘味料については、種類によりばらつきはあるものの、フラクトース、アセスルファムK、スクラロースなどの低カロリー製品に利用される高甘味度甘味料の仕入量の伸びが目立った。

 今後の動向については、多くの甘味料について、仕入量は横ばいで推移すると見込まれる一方、「高甘味度甘味料から、自然の甘味料への回帰が進んでいるため、砂糖や異性化糖の仕入量が増える」や「消費者の甘さ離れや低カロリー志向により、今後も高甘味度甘味料の使用比率が高まる」との両極端な見方も挙がった。これは、ターゲットとする消費者の年齢や性別などが異なることから、商品ごと、また使用分野ごとで見方が異なるのではないか、と考えられる。

 しかしながら、東日本大震災が一つのきっかけとなったと考えられる消費者の自然の甘味料への回帰は事実としてみられ、砂糖や異性化糖の消費の底上げにつながることが期待される。砂糖を他の甘味料と比較した場合、ネックとなるのは価格面である。国際砂糖価格は、供給構造および消費構造の変化を背景に、主要砂糖生産国における天候不順による作柄変動の影響を受ける。調査対象企業からは、今後の価格動向次第で、砂糖から他の甘味料への切り替えを示唆する声も聞かれた。こうしたことを踏まえ、砂糖の国際価格の動向について、引き続き注視する必要があり、併せて、国産糖や異性化糖の安定的な供給の実現が求められる。

 最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、厚くお礼を申し上げたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713