(ア)平成24年の状況
マルチトールを使用していたのは4社であった。マルチトールは、「甘味料」として使用されるのはもちろん、使用理由として、「保湿性を持つことから、クッキーに使用」「粒ガムの表面のコーティングに必要」というものもあった。
4社の、平成24年の仕入量の合計は7,760トンで、前年比0.1パーセントの減少となった。前年に比べて増加とした企業は1社、前年並みとした企業は2社、減少とした企業は1社であった。
仕入価格に関しては、4社とも、横ばいとのことであった。しかしながら、価格はかなり高い水準で推移しているとのことである。
マルチトールの品質・供給安定性に関しては、問題ないとのことであった。
原料の変更については、他の原料への切り替えを行っている企業はなかった。
(イ)今後の見通し
今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は1社、横ばいを見込む企業が3社となっている。増加を見込む企業は、「砂糖の使用が減っていく分、マルチトールの使用が増加することが予想される」と見ている。
エ.アセスルファムK(カリウム)
〜低カロリーの新商品増加などにより、仕入量は増加〜
(ア)平成24年の状況
アセスルファムKを使用していたのは13社であった。カロリーを抑制するため、「低カロリー」や「ゼロカロリー」商品に使用されていた。この他、「これまではスポット的な使い方をしていたが、アスパムテールやスクラロースの代替品として使用を増やした」という声も挙げられた。
13社の、平成24年の仕入量の合計は154トンで、前年比6.2パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は3社、前年並みとした企業は5社、減少とした企業は5社であった。主な増加の原因は、「商品の好調な売り上げ」「新商品の増加」「低カロリー商品の増加」であり、減少理由は「商品販売の不振」が挙げられた。この他、「最近は、販売が増えている糖質ゼロの飲料に使っている。糖質ゼロ飲料の市場は伸びているが、元々大きな市場ではなかったため、これから本格化すると見込まれる」との見方もある。
仕入価格に関しては、上昇とした企業はなく、横ばいとした企業が9社、下落とした企業は2社であった。横ばいとした企業のうち複数社が、価格がかなり高いと評価しており、「価格が高いため、今後増やすとしたら、アセスルファムKではなくアスパルテームだろう」と見込む企業もあった。この他、「粒度によって価格差がある」とのコメントもあった。
アセスルファムKの品質・供給安定性に関しては、多くの企業が問題ないとのことであった。輸入品を使用している企業には、「中国産に質の問題が無いことが判明し、リスクヘッジのためにドイツ産の他、今後、中国産も使用し始める」というところもあった。
原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。しかしながら、仕入先を多角化する動きはみられ、「BCPの観点から、中国産の調達など仕入れ先の多角化を検討している。また、大きな方向性として、自然甘味への切り替えを検討している」との回答があった。容易に他の原料への切り替えを行わない理由としては、「切り替えのためには、品質を検討しなくてはならないので、時間を要する。安全に供給されるか、毎回同じ甘味度であるかなど、検査項目が多いため」という声が聞かれた。
(イ)今後の見通し
今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は2社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が2社となっている。
今後の使用量については、「ゼロカロリー商品の人気がピークを過ぎ、ある程度の市場を確保したことから、販売量は落ち着いていく」「砂糖への自然回帰により、使用量は増えない」と、横ばいもしくは減少を見込む声が挙げられた。その一方、トレンドに合わせ、「食品全般のエネルギーを減らすためには、脂を減らすか、糖を減らすかである。今後、高甘味度甘味料が増えていく」と見込む企業もあり、今後の見通しとして両極端の見方が挙がった。
オ.スクラロース
〜カロリー抑制の他、さっぱり感が出るなどの特徴も使用理由に〜
(ア)平成24年の状況
スクラロースを使用していたのは11社であった。砂糖の代替として「ゼロカロリー商品」や「糖質ゼロの清涼飲料」「低糖・低脂肪の乳製品」で使用されている他、使用理由として、「スクラロースならではの甘味が出せる」「さっぱり感が出る」というスクラロースの特徴が挙げられた。この他、「サネットとスクラロースを一緒に使用する。サネットで口に含んだ最初の甘味、スクラロースで後のじわっとした甘味を出せる。前味と後味という使い方をしている」というものもあった。
11社の平成24年の仕入量の合計は61トンで、前年比7.0パーセントの増加となった。前年に比べて増加とした企業は4社、前年並みとした企業は6社、減少とした企業は1社であった。主な増加の原因は、「低カロリー商品の増加に伴う使用量の増加」が挙げられた。
仕入価格に関しては、上昇とした企業はなく、横ばいとした企業が5社、下落とした企業は2社であった。
スクラロースの品質・供給安定性に関しては、ほとんどの企業が問題ないとのことであったが、「良質で安価なものが供給されれば、仕入先の変更も検討する」という企業もみられた。
原料の変更については、多くの企業が他の原料への切り替えを行っていなかった。しかしながら、「エリスリトール、ステビアへの切り替えを検討している」「自然回帰の傾向があるので、ゼロカロリー商品を縮小し、自然甘味への切り替えを検討している」などの声が挙げられた。
(イ)今後の見通し
今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は1社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が1社となっている。多く企業が横ばいを見込む中、「自然回帰により使用量は増えない」と減少を見込む企業と、「食品全般のエネルギーを減らすためには、脂を減らすか、糖を減らすかである。今後、高甘味度甘味料が増えていく」と減少を見込む企業があった。