メキシコ経済省の統計によれば、砂糖産業は15の州で、47万人の直接雇用(うちサトウキビ生産者18万5000人)を含む220万人以上の雇用を生み出しており、非常に重要な地位を占めている(2013/14年度)。
このため、砂糖については、施策方針を示した国家プログラムが策定されるとともに、生産者への経営支援措置、法律に基づくサトウキビの適切な取引価格の設定などが行われている。
ア. 目標と振興方針の決定
2014年にSAGARPAはCONADESUCAと連携し、「サトウキビの維持可能な発展に関する法律(LDSCA)」に基づき、砂糖産業全体の発展に向けた目標戦略・方針となる「2014−2018年サトウキビ産業国家プログラム(PRONAC)」
(注)を策定した。このプログラムでは、世界的な供給過剰や人工甘味料の台頭、健康意識の高まりによる消費量の減少などの砂糖産業が直面する諸課題への対応として、
1) 安定的な国内砂糖供給の保障と秩序ある貿易の促進
2)砂糖産業の収益性向上
3)砂糖産業の生産性向上
4)持続可能な砂糖生産の推進
5)砂糖産業のための研究開発、技術革新および技術移転の促進
に重点が置かれている。
また、2018年までの具体的な目標として、
1)1ヘクタール当たりの産糖量を8.96トンにする
2) 現在の工場の処理能力を最大限発揮して700万トンの砂糖を生産する
3)サトウキビ生産量を7315万トンまで拡大するとともに、用途の多様化を図り、エタノール生産への仕向け割合を16%にする
などの項目が盛り込まれている。
その実現のため、かんがい整備などインフラへの投資拡大やサトウキビ生産の近代化などが政策目標として挙げられている。
イ. 価格下落時の経営支援措置
政府は、サトウキビが記録的な生産量となった2012/13年度および2013/14年度において、砂糖価格下落に伴う緊急支援措置を発動した。これにより、2012/13年度には、収穫面積1ヘクタール当たり1903ペソ(1万7279円)、2013/14年度には、同1544ペソ(1万4019円)が、肥料などの資材購入費としてサトウキビ生産者に支払われた。
ウ. サトウキビ取引参考価格の設定
2005年以降、LDSCAに基づき、製糖企業が生産者に支払うサトウキビ代金の支払単価となるサトウキビ取引参考価格が算定されており、その算定は、CONADESUCAが行っている。
サトウキビ代金は、
表1の通り「精算前」「最終精算」「最終調整」の3段階で支払われ、基準となるサトウキビ取引参考価格を算出した上で、最終的にその57%が生産者に支払われることとなっている。
(注)CONADESUCAが設立された2005年から、LDSCAに基づき随時策定。2014年に策定されたPRONACは、2012年に承認された「2013−2018年国家開発計画(NDP)」および2013年に承認された「2013−2018年農林水産食品産業開発計画」の方針を踏襲。