日本の砂糖を支える仕組み
最終更新日:2012年9月11日
砂糖は、お料理やパン・菓子作りなど、とても幅広い用途に使用されており、私たちの暮らしに不可欠な食品です。
昨年の3月に起きた東日本大震災では、津波で周囲から遮断された宮城県石巻市の小学校で、数少ないお菓子を子供たちに配り、大人たちはスティック袋に入った砂糖をなめて、飢えをしのいだという報道がありました。
私たちが毎日摂取している砂糖は、どのようにして安定供給が図られているのか紹介します。
地域経済を支える重要な砂糖
砂糖は、その供給量の約4割が国産糖で賄われています。
さとうきび畑
さとうきびは、沖縄県や鹿児島県南西諸島の島々で栽培され、台風の被害に強いので、台風の常襲地帯である島々の農家にとって重要な基幹作物です。
てん菜
また、北海道で栽培されるてん菜は、小麦、じゃがいも、豆類とともに連作障害を防ぐ輪作作物であり欠くことができない重要な作物です。
これらの地域には、国内産の砂糖の工場があり、地域経済や雇用確保に大きな役割を果たしています。
また、原料作物の栽培地域は広大な200海里水域を形成し、人々が暮らし、砂糖産業が成り立っているからこそ国土が守られているともいえます。
砂糖の価格調整制度
海外から輸入される原料糖は、国内産の砂糖に比べてかなり安いので、このままでは国内産の砂糖は売れません。そこで、国の政策として、海外から安い砂糖が輸入される際に当機構が、輸入者(精製糖企業など)から一定の調整金を徴収し、その調整金を主な財源として国内の農家と国内産の砂糖の工場へ交付金として支援しています。
この仕組みにより、輸入品は調整金の分だけ高く、国内品は交付金の分だけ低くなり、両者の間の価格のバランスがとられ、国内の価格は同じ水準となるようになっています。これが砂糖の価格調整制度です。
また、この制度では、砂糖の国際価格が高騰すると、輸入品からの調整金の徴収額は少なくなり、その結果、砂糖の国内価格への影響が緩和される仕組みともなっています。
消費者とともに支える日本の砂糖
このように、砂糖の国際価格の高騰は、その一部が消費者に届く間に制度の仕組みや様々な企業努力によって緩和されることとなりますが、残りの部分は最終的には小売価格に転嫁され消費者が負担することとなります。
私たちがお砂糖を買うと、まわりまわって沖縄のさとうきび畑や北海道のてん菜畑が守られることになるのです。あま〜いお砂糖が入った袋には、消費者に安定的にお砂糖を届けるための、さまざまな仕組みも詰まっているのです。
(全国地域婦人団体連絡協議会「全地婦連」(平成24年8月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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