全国に先駆けて導入した菌床しいたけ栽培の先進地〜徳島市農協 眉山支所椎茸部会〜
最終更新日:2015年1月5日
徳島県は、生しいたけの生産量日本一を誇っています。
その中でも徳島市上八万町、一宮町、佐那河内村をエリアとする徳島市農協眉山支所の椎茸部会は、施設の面積3.6ha、年間の生産量約800t、販売額は約8億円で県内トップクラスの産地となっており、平成22年に日本農業賞大賞を集団組織の部(部会)で受賞しています。
◆原木栽培から菌床栽培へ
部会では、昭和26年頃からしいたけの原木栽培を始めて、順調に生産を拡大し、部会員は、昭和49年に70名まで増加しましたが、その後しいたけの原木供給不足や生産者の高齢化等から減少しはじめました。
この状況の中で部会は、昭和50年から研究機関と協力して原木を使用しない菌床しいたけ栽培の研究に取り組み、種菌の選定、ハウスの気温・湿度等を試行錯誤しながら全国に先駆けて栽培技術を確立し、昭和62年から部会員全員が原木栽培から菌床栽培へ本格移行を進めました。
この技術は、軽作業で大規模な生産(周年栽培)が可能となる新しい生産スタイルとして、しいたけ種菌業者等を通じて、全国に普及し、現在のしいたけ栽培の主流となっています。
◆生産から出荷に至る一体的な整備
熟練したしいたけの選別・袋詰め作業
同部会は、農協に働きかけて平成9年からレンタルハウス制度を導入し、34名の生産者がこの制度を利用して0.7haのハウス施設を整備しました。
さらに同年には「しいたけ菌床供給センター」、平成11年には「椎茸パックセンター」を整備し、菌床ブロックの製造・供給からしいたけのパック詰め、袋詰め調製作業までの一貫体制を確立しました。
このことで、生産者の労力が大幅に軽減され、品質の維持、経営規模の拡大、安定した所得の確保、さらには担い手の育成に繋がりました。
◆高品質維持への徹底
上面栽培方式の菌床ブロック
しいたけの栽培方法は、菌床袋の上面を開けて菌床上面にしいたけを発生させる上面栽培方式を採用しています。菌床袋の側面からも発生させる方式に比べ、作業効率が高く、高品質なしいたけが栽培できると言われています。
また、品質を維持するため、年4回程度、パックセンターの全従業員と生産者が参加して「目慣らし会」を行い、選別基準などの規格統一の徹底に取り組むことで、秀品率は約7割を維持し、「眉山ブランド」として市場等から高い評価を受けています。
「眉山ブランド」のしいたけ
さらに徳島県が進めている「とくしま安2(あんあん:2は2乗の意味)GAP農産物」認証制度の認証を取得し、安全で
安心できるしいたけを消費者に届けるために生産者が一丸となって生産・品質管理の徹底を図っています。
同部会の川人泰博部会長は、「眉山しいたけは、肉厚で香りが高いのが特徴で、そのまま焼いてスダチを絞って食べるのが一番おいしい」と話されていました。
◆ 菌床しいたけで地域に密着した食農教育
部会員の作ったしいたけ料理を食べる子供たち
部会では、毎年、地域の小、中学校の子供を対象に、将来の担い手候補になってもらいたい、しいたけが苦手な子供にも食べてもらいたいという想いから、菌床しいたけ栽培についての学習や体験、しいたけ料理の試食提供等にも積極的に取り組んでいます。
川人部会長は、「試食会を行うと、しいたけ嫌いだった子供も喜んで食べてくれる」と取り組みの効果
を実感しています。
◆価格の低落をカバー
部会で生産される生しいたけは、alicの特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の対象となっています。
この事業は、都道府県の野菜価格安定法人が事業主体となって、平均販売価額が一定の水準より下がったときに、その差額の一部を交付することで、生産者の経営安定に貢献しています。
交付金の財源は、国と県と生産者が拠出し、生産者の負担は1/3ですので、生産者のメリットは大きいものがあります。
徳島県では、徳島市、佐那河内村の他に三好市、東みよし町の生しいたけも事業の対象となっています。
(野菜需給部)
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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