乳雄(にゅうおす)牛肉需要の高まりに対応した生産者の取組み
最終更新日:2017年4月25日
赤身肉ニーズの高まり
私たちが食べている国産牛肉のうち約5分の1は、白黒模様のホルスタイン種など乳牛の雄牛(通称:乳雄)の牛肉です。肉質は赤身が多く、弾力があり食べごたえのあるのが特徴です。
これまで、牛肉のおいしさは、肉の脂肪の質と量に比例的に関係すると考えられてきましたが、近年では、消費者嗜好の多様化や健康志向の高まりなどにより、脂肪交雑(霜降り)の少ない赤身牛肉のニーズが高まっていると言われています。
預託方式により生産者の負担を軽減
ゆうあいファームのホルスタイン雄牛
酪農家で生まれたホルスタインの雌子牛はミルクを搾るために育てられます。一方、雄子牛は肉となるための肥育素牛(ひいくもとうし)として、肉牛の生産を行う肥育農家などへ販売されます。
肥育農家の経営は、肥育素牛やエサとなる配合飼料の購入費などが必要ですが、その費用は肥育素牛の導入から約20カ月かかる牛の出荷後でなければ回収できないため、その期間の資金の確保が課題です。
特に、近年は、高齢化などによる酪農家戸数の減少で肥育素牛の頭数が減少していることから、その価格は高騰していて、肥育農家の経営は厳しい状況にあります。
チクレン(名称:北海道チクレン農業協同組合連合会)では、この生産者の負担を軽減するため、会員の農協から集荷した肥育素牛を肥育農家へ預け、出荷できるまで育ててもらう預託生産方式により、北海道の乳雄生産を支えています。
紋別郡湧別町の挙牛工房ゆうあいファームでは、チクレンから預託を受けて年間約千頭の牛を出荷しています。同ファームの伊藤代表取締役は、チクレンの預託方式について、「肥育素牛導入の労力や導入時に必要な資金の確保に悩むことなく、飼育に専念できることがメリット」と高く評価しています。
生産から加工・製造・流通までの一貫管理
消費者ニーズにきめ細かく対応している竃k海道チクレンミート
チクレンの乳雄牛肉生産の特徴は、生産から加工、製造、流通までをグループ内で一貫して行っていることです。預託農家で肥育された牛は、チクレンの関連会社で、と畜・解体後、部分肉加工処理され、大手食肉加工メーカーや生活クラブ生協などへ販売されています。
酪農家で生まれる乳雄を赤身牛肉の生産に利用する取り組みは、北海道の酪農・畜産の安定的な発展に欠かせません。また、乳雄牛肉は、国産赤身牛肉として根強いニーズがあります。
このように、チクレンによる再生産可能なサプライチェーンの構築を目指した取り組みは、今後ますます重要になっていくものと期待されています。
なお、当機構の畜産業振興事業では、こうした多様化する消費者ニーズに対応した国産食肉の需要拡大を図るため、食肉の新たな商品価値に着目した取組を支援しています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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