消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 業務などに関する解説・紹介記事 > 「北海道ゆうべつ産」の牛肉をみんなに届けたい〜北海道湧別(ゆうべつ)町肉牛生産者の取り組み〜

「北海道ゆうべつ産」の牛肉をみんなに届けたい〜北海道湧別(ゆうべつ)町肉牛生産者の取り組み〜

印刷ページ

最終更新日:2018年4月17日

 皆さんは、ものを購入するとき、どのような基準で選びますか?「ブランド」を基準とされる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 ブランド化は、マーケティングの戦略の一つです。他と差別化することで、需要の確保や価格優位性につなげることができるため、農業でも、生産者にとって農畜産物を安定的に生産していくための一助となります。牛肉では「神戸ビーフ」などのように産地名を冠したものなどさまざまなブランドがあります。
 平成29年3月、北海道 湧別町の生産者が、和牛や交雑牛(和牛と乳牛を掛け合わせた牛)を「北海道ゆうべつ産」牛として共同出荷を開始しました。まずは統一名称での共同出荷で、マーケットでの自分たちの牛肉の認知度をあげようとするものです。湧別町の生産者たちの取組のこれまでの経過を紹介します。
 
北海道地図

湧別町産として届けたい

  湧別町はオホーツク海に面したサロマ湖西部に位置し、豊かな草資源を利用した酪農が盛んな地域です。一方で和牛や交雑牛を生産する生産者は9戸と多くはなく、共同出荷を始めるまでは、生産者はそれぞれの商標や独自の販売先を持ち、生産してきました。
 共同出荷の中心人物の1人が、町内で最も長く和牛を生産する鈴木敬次さんです。88頭の黒毛和牛の母牛を飼養して、生まれた子牛を肥育・出荷しています。15年前から東京食肉市場に出荷しており、今では全体の9割が東京向けです。
  鈴木さんが常々感じてきたのは、湧別町で育てた自分の牛が「北海道産」としてしか認知されていない、ということです。「湧別町産」として認知してもらうには、より多く恒常的に出荷する必要がありました。
 平成29年3月、町内の生産者が東京市場に湧別町産として出荷することを聞き、鈴木さんは、町内の生産者全員での共同出荷を提案しました。名称を統一して出荷頭数を増やし、自分たちの町や牛肉を認知してもらいたいという鈴木さんの強い思いに生産者全員が賛同してくれました。
  こうして、町内の生産者全員での「北海道ゆうべつ産」牛の出荷が始まりました。
 
出荷される和牛枝肉に刻印される「北海道ゆうべつ産 黒毛和牛」の文字
出荷される和牛枝肉に刻印される「北海道ゆうべつ産 黒毛和牛」の文字
 現在、東京をメインに、横浜、京都の食肉市場に、トラックで月に4〜6回、合計60頭前後出荷しています。道内出荷より輸送費はかかるものの、大消費地ではそれをまかなえる価格で販売できます。また、出荷の機会が増えるため、仕上がりのいい牛を適期に出荷できること、相場変動のリスク低減になることなど、さまざまなメリットがあるとのことです。
 スタートしたばかりの「北海道ゆうべつ産」にはまだ、血統や飼育方法、枝肉格付けなどの統一規格はありませんが、ゆくゆくは、町や地元の団体と連携して出荷体制を整えたいと生産者の皆さんは考えています。

alicが生産面を支援

北海道ゆうべつ産の和牛たち
北海道ゆうべつ産の和牛たち
 生産者たちのこうした取り組みを、alicは畜産業振興事業などのさまざまな取組を通して経営安定の面などから支えています。
 今後も、これらの事業を通じて、消費者の皆さんにおいしい牛肉を安定供給できるよう努めていきます。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196