ALIC/駐在員トピックス
平成16年(2004年)9月分
◎ マレーシア産家きん肉などの輸入停止一部解除(シンガポール) 【シンガポール駐在員事務所 平成16年9月30日発】 ◎ EU産農産物の域外販売促進計画を承認(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年9月29日発】 ◎ ブラジル産豚肉、ロシアの輸入停止措置により価格下落 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成16年9月28日発】 ◎ 鳥インフルエンザワクチン使用方針固まる(タイ) 【シンガポール駐在員事務所 平成16年9月17日発】 ◎ EU、アジア、カナダ、南アの鳥インフルエンザの状況を再評価 【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年9月16日発】 ◎ ブラジル北部アマゾナス州で口蹄疫発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成16年9月13日発】
◎ マレーシア産家きん肉などの輸入停止一部解除(シンガポール) 【シンガポール駐在員事務所 平成16年9月30日発】 シンガポール食品・獣医局(AVA)は9月28日付けプレスリリースで、マレーシアのうちシンガ ポールに隣接し、鳥インフルエンザの発生が確認されていないジョホール州およびマラッカ州産の家き ん肉および卵について、9月30日以降条件付きでシンガポールへの輸入停止措置を解除すると発表し た。AVAは、マレーシアの農業省獣医局との協力により過去4週間特定地域からのこれら産品につい て輸入停止措置を解除するため検討を続け、9月7日から25日の間に3回にわたり検査チームを派遣 し輸入再開のための方法について検討を行っていた。現地大手スーパーなどでは豪州産鶏卵などが1パ ック(12個)5シンガポールドル(325円:1シンガポールドル=65円)以上で取引され、常に 品薄状態であった。
◎ EU産農産物の域外販売促進計画を承認(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年9月29日発】 欧州委員会は9月28日、EU域外でのEU産農産物の情報提供・販売促進計画を承認した。今回承認 されたのは、加盟国から申請された10事業のうちの8事業で、総事業費の見込みは、1,009万4,649ユー ロ(約13億6,278万円:1ユーロ=135円)に上る。このうちの約半分に相当する501万7,325ユーロ(約 6億7,869万円)がEUから補助される。承認された8事業がターゲットとする地域は、日本のほか、米 国、カナダ、ロシア、中国、豪州、ノルウェー、スイスなどで、対象品目は豚肉、ワイン、果物、野菜、 オリーブオイルなどである。 EUでは1999年12月に、域外市場でのEU産農産物の情報提供・販売促進に関するEU規則(理事会 規則EC/2702/1999)を定め、EUの品質・表示に関する情報提供や市場調査や販売促進キャンペーンな どに補助をしている。 今回承認された8事業のうち、日本市場をターゲットにしたデンマークおよびフランス産豚肉の3カ 年にわたる販売促進活動の事業費が410万ユーロ(約5億5,350万円)ともっとも大きく、全体の約40% を占めている。この事業はデンマーク豚肉機構連合(DS)およびフランスの養豚産業団体INAPO RKが事業主体となっている。 次いで、米国、カナダ、スイス、ノルウェー、中国、日本市場において実施されるポルトガル産ワイ ンの3カ年に渡る販売促進活動が171万597ユーロ(約2億3,093万円)となっている。
◎ ブラジル産豚肉、ロシアの輸入停止措置により価格下落 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成16年9月28日発】 9月17日ロシアは、ブラジル北部のアマゾナス州マナウス市に近いカレイロ・ダ・バルゼア郡におい て口蹄疫が発生したことにより、ブラジル産食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)の輸入停止を決定した。これに 対してブラジル農務省(MAPA)はミッションを派遣し輸入停止措置を解除するように求めたが、解禁に は至らなかった。MAPAなどによれば、食肉全体で1日400万ドル分が輸出できない状況にあると推計さ れている。 このような状況の中、豚肉主要生産州であるサンタカタリナ州の食肉パッカーの傘下にない独立生産 者への支払い価格が急落しているとサンタカタリナ州養豚協会(ACCS)では話している。ACCSによれば ある生体取引例として、同24日まではキログラム当たり3.00レアルであったが、同27日から2.30レアル と23.3%下落している。 なお、ロシアは6月17日にやはり同じ北部畜産圏に属するパラ州で口蹄疫が確認された際にも牛肉な どの輸入停止措置を実施しており、その折は6月末には輸入が解禁されている。 (畜産の情報海外編8月号 トピックスを参照)
◎ 鳥インフルエンザワクチン使用方針固まる(タイ) 【シンガポール駐在員事務所 平成16年9月17日発】 先頃より国内で検討が続けられていた家きんに対する鳥インフルエンザワクチンの接種方針について 9月15日、保健省・農業省・商業省のワクチン使用の可否を決める三省合同評議会において、当面は家 きんに対するワクチン接種を行わないこととされた。ワクチン使用の是非を巡っては国内で輸出仕向け のブロイラー生産者と闘鶏飼養者の間で意見が対立していた。鶏肉輸出に関係する業者からはワクチン の使用によって輸入国からの輸入停止措置が延長されるなどの対抗措置を恐れ使用反対の立場であるの に対し、使用羽数規模が小さく個体毎の付加価値が高い闘鶏業者からはピンポイントでの使用許可に対 する要望が上げられていた。一方同国保健省は8日に国内9人目のインフルエンザによる死亡患者が確認 されたことなどの背景から、特定危険地域の医療要員や養鶏業者らに対し人への感染予防のためのワク チン接種を行う方針であると発表している。 なお15日付で、主な輸入相手の一つであるEU委員会はアジア10カ国からの家きん及び家きん肉の輸入 停止措置を2005年3月31日まで延長すると発表した。それまでの発表では輸入停止措置は少なくとも12 月15日まで継続するとされていた。対象国はタイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレー シア、パキスタン、中国、韓国、ベトナムとされる。
◎ EU、アジア・カナダ・南アの鳥インフルエンザの状況を再評価 【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年9月16日発】 EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は9月14、15日、アジア、カナダ、南アフリカ共和国で 発生した鳥インフルエンザの状況について議論を行い、現在EUが実施している対策について見直しを 行った。同委員会における議論の結果は以下の通り。 カナダ−カナダのブリティッシュ・コロンビア州における鳥インフルエンザの発生による、同州から EUへの生きた家きん、家きん肉、卵などの輸入一時停止措置については、欧州委員会が本 年4月6日に決定した当該措置(委員会決定2004/364/EC)が、10月1日をもって期限とな るが、これについては、延長せず同日をもって終了する(予定)。 アジア−本年初めから鳥インフルエンザの発生が確認されているアジア諸国(タイ、カンボジア、イ ンドネシア、日本、ラオス、パキスタン、中国、韓国、ベトナム、マレーシア)からの家き ん、野生鳥などの肉および家きん肉製品、鳥類由来のペットフードの原料および加工されて いない飼料の原料、食用向け卵、生きた鳥、加工されていない羽、ペット用の鳥家きん肉製 品などの輸入の一時停止措置については、欧州委員会が決定した当該措置(2004/122/EC) が12月15日までの期限となっている。しかし、これらの国の中にまだ鳥インフルエンザの発 生が見られたり、また、同地域での状況が明らかでないこともあるため、当該措置を2005年 3月31日まで延長する。 南アフリカ共和国−本年8月に南アフリカ共和国における鳥インフルエンザの発生による、同国から のきた走鳥類(ratite)、同種のふ卵、同種の肉および肉製品ならびにペット用鳥に係る輸入 の一時停止措置については、欧州委員会が8月24日に決定した当該措置(2004/614/EC)が、 2005年1月1日までとしているものを、当面、予定通り実施する。
◎ ブラジル北部アマゾナス州で口蹄疫発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成16年9月13日発】 9月10日ブラジル農務省は、ブラジル北部のアマゾナス州マナウス市に近いカレイロ・ダ・バルゼア 郡において口蹄疫が発生したことを発表した。農務省家畜試験場における検査結果、12〜24月齢のうち 4頭で確認された。 発生農場はアマゾン川の中にある島にあり、牛34頭、羊15頭、豚1頭を飼養している。2003年および 2004年と口蹄疫のワクチン接種を行なっていないため隔離されており、近隣農家の牛の血液も採取され 試験場で検査中である。なお口蹄疫発生の疑いは、8月25日に農場主から連絡されていた。 発生地区は北部畜産圏に属し、国際獣疫事務局(OIE)において承認された口蹄疫ワクチン接種清浄地 域から500キロメートル離れており、また自然の障壁として、アマゾンの森林、川、湖、道路によるア クセス方法がない、かつ生産される牛肉はすべて地元で消費されているため、前述の清浄地域への感染 拡大リスクは低いと見られている。