最終更新日:2023年1月6日
EPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)
Economic Partnership Agreement/Free Trade Agreementの略。2以上の国が関税の撤廃や制度の調整等による相互の貿易促進を目的として他の国を排除する形で締結されるもので、物やサービスの貿易を自由にする協定をFTAという。
FTAの内容を含みつつ、市場制度や経済活動等、幅広く経済的な関係を強化する協定をEPAという。
これらは本来、WTOの最恵国待遇に反するものとされている。しかしながら、その貿易自由化効果ゆえに、一定の要件(〔1〕「実質上のすべての貿易」について「関税その他の制限的通商規則を廃止」すること、〔2〕廃止は、妥当な期間内(原則10年以内)に行うこと、〔3〕域外国に対して関税その他の通商障壁を高めないこと等)のもとに認められている(貿易及び関税に関する一般協定(ガット)第24条他)。
イソフラボン
大豆胚芽に含まれる成分の一つで動物の体内でつくられる女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用を持ち骨の溶解を抑える働きがある。
粗鬆症や更年期障害、乳がん等の女性疾患に対する有効素材として1991年に米国立がん研究所(NCI)が290万ドルの予算を計上して抗がん効果の研究を行った。
ウイルスフリー
生物がウイルスに汚染されていない状態のことをいう。一般的にウイルスフリーの植物では個体の成育が旺盛になる。
永年性作物
多年生の作物のことで、果樹に代表される。多年生植物とは、個体として複数年の間、生存を続ける植物のことで、木本植物、多年生草本(多年草)がこれにあたる。多年草のなかには、いったん地上部の茎や葉が枯れても、時期が来ると再び地中に残った地下茎、根などから茎葉が再生してくるもの(宿根性)もある。しかし、永年性作物といった場合、これらの作物よりもっと長い期間にわたり植替えの必要がなく、栽培、収穫が続けられる作物を指している。わが国において永年性作物として代表的なものは、果樹、チャ、クワである。
営農指導員
農協の職員で、組合員のために農業の経営及び技術の向上に関する指導を専門に行う者。具体的には、個別作物の技術・経営的な指導から、生産部会の組織化、さらに地域全体の行政と連携した地域農業の振興計画の策定及び実践、あるいは農業の担い手の育成確保、土地利用調整等、地域農業資源の有効利用まで極めて幅広い業務を行う。
エコファーマー
土づくり、化学肥料と化学合成農薬の使用低減技術の導入に一体的に取り組む計画を作成し、都道府県知事から認定を受けた農業者をいう。
通い容器
「通いコンテナ」「リターナブルコンテナ」とも呼ばれる、何度でも利用できるプラスチック製の輸送用容器のこと。
環境保全型農業
農業の持つ物質循環機能を活かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業(「環境保全型農業推進の基本的な考え方」(平成6年4月農林水産省環境保全型農業推進本部)。
慣行栽培(農法)
化学肥料と化学合成農薬の使用について、地域における慣行的な使用量による栽培方法をいう。
GAP(適正農業規範)
(Good agricultural Practice)の略。農産物は生産段階で、大腸菌等の病原微生物、カドミウム等の重金属汚染、残留農薬等の危害が生じる可能性があります。これらの危害要因を分析し、栽培から収穫まででなく、洗浄、選果、保管、出荷、輸送に至るまでの各段階での対策を講じ、管理する手法のこと。
EUREPGAP(EU)JGAP(日本)など地域によって定めている。
教育ファーム
生産者(農林漁業者)の指導を受けながら、作物を育てるところから食べるところまで一貫した「本物体験」の機会を提供する取組み。
耕畜連携
米や野菜などを生産している耕種部門と畜産部門とが地域農業段階で土地利用・飼料生産や堆肥利用などで連携を図ること。
コーティング種子
微細な種子や不整形の種子に、タルクなどの天然素材の粘土鉱物で被覆して粒径を均一化し、発芽性能を落とすことなく取扱いしやすい形状に加工した種子。播種作業の作業性の向上のほか、間引きの省力化、種子品質や収量の向上など省力栽培に貢献している。
コールドチェーン
食品の品質を保持するために、生産、在庫管理、配送、販売、消費の過程で、低温かつ最適な温度管理を途切れないようにする流通のしくみを、低温の鎖(cold chain)にたとえて表現したもの。コールドチェーンシステム、あるいは低温流通機構ともいう。
残留農薬
農薬は農作物の病害虫の防除や雑草を取り除くために使用される。使用後の農薬は日光等により分解されるが、収穫後も残ることがある。これを残留農薬と呼んでいる。
CA貯蔵
貯蔵庫内の大気組成を低酸素・高二酸化炭素に変え、冷蔵と組み合わせて、果実など青果物の呼吸作用を抑え、長期に貯蔵する方法。青果物は収穫後も生理作用を営んでおり、貯蔵中の呼吸により貯蔵養分が失われ品質が低下するが、CA貯蔵を行うことで、品質の劣化が抑制され貯蔵性が増す。
GMO
Genetically Modified Organism(遺伝子組換え作物)の略称。自然な交配や自然な組換えではない方法によって開発された作物(人間を除く)。
資源循環型農業
農業あるいは食品産業など他の産業の一部門における副産物を、地域の有機資源として有効に活用し、環境に対する悪影響を最小限にとどめようとする持続性の高い営農システム。
JAS(日本農林規格)
農林物資(飲食料品、農産物、林産物、畜産物、水産物)の品質を保証するための基準と、品質に関する表示の基準をさし、JAS法に基づいて定められている。この規格を満たす製品にはJASマークを付けることができ、消費者や事業者に対して品質についての情報提供を可能とするものである。
集落営農
集落など地縁的にまとまりのある一定の地域内の農家が農業生産を共同して行う営農活動のことをいう。
食育
様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることである。生きるための基本的な知識であり、知識の教育、道徳教育、体育教育の基礎なるべきもの、と位置づけられている。単なる料理教育ではなく、食に対する心構え、栄養学や伝統的な食文化についての総合的な教育である。
食の外部化
女性の社会進出や単身世帯の増加、高齢化の進行、生活スタイルの多様化等を背景に、家庭内で行われていた調理や食事を家庭外に依存する状況がみられる。これに伴い、食品産業においても、食料消費形態の変化に対応した調理食品やそう菜、弁当といった「中食」の提供や市場の開拓等に進展がみられている。こういった動向を総称して「食の外部化」という。
真空予冷方式
冷気や冷水なので冷却対象物の熱を奪うのではなく、気圧を下げることで水分蒸発によって気化熱を奪って冷却しようとする方式。葉菜類に適している。
水耕栽培
土を全く使わず、植物の生長に必要な養分を溶かした培養液で、植物を育てる栽培方法のこと。培養液の温度や養分の濃度を変えることで、季節に関係なく計画的な栽培ができる点や、土からの病気や害虫を無農薬で防げるというメリットがある。一方で、設備導入に費用がかかるなどのデメリットもある。
WTO
World Trade
Organization(世界貿易機関)の略。ウルグアイ・ラウンド合意を受け、関税及び貿易に関する一般協定(ガット)に代わり、1995年1月に発足した国際機関。本部はジュネーブにあり、貿易障壁の除去による自由貿易推進を目的とし、多角的貿易交渉の場を提供するとともに、国際貿易紛争を処理する。
地産地消
地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結びつける取組。
沖積層
約2万年前の最終氷期最盛期以降に堆積した地層のこと。
低コスト耐久性ハウス
一般的に普及している鉄骨補強パイプハウス等の基礎部分や接合部分を、強風や積雪に耐えられるよう補強・改良することで、ガラス温室や鉄骨ハウス並の耐候性(風速50m/s以上又は耐雪荷重50kg/u以上)を備えるとともに、設置コストが鉄骨ハウスの平均的価格の概ね7割以下であるもの。
適地適作
作物および品種によって、生育に適した気象条件や土壌条件(栽培適地)が存在する。こうした自然的条件や、社会的条件に最も適した作物(または品種)を栽培することにより、品質や収量面で良い結果が得られ、採算上有利になるという現象および概念。
特別栽培
化学肥料と化学合成農薬の使用について、地域における慣行的な使用量に比べ、5割以上低減した栽培方法をいう。
特別栽培農産物
生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された農産物。
ドリフト
農薬の散布粒子が目標物以外に散逸する現象。
トレーサビリティ・システム(流通経路情報把握システム)
食品の流通経路情報(食品の流通した経路及び所在等を記録した情報)を活用して食品の追跡と遡及を可能とする仕組み。これにより、事故発生時の原因究明や食品回収、品質管理の向上や効率化、消費者に伝える各種情報の充実等に資することが期待される。
中食(なかしょく)
外食と内食の中間にあって、市販の弁当やそう菜、家庭外で調理・加工された食品を家庭や職場・学校・屋外等へ持って帰り、そのまま(調理加熱することなく)食事をすること。また、その食品(日持ちをしない食品)の総称。
認定農業者制度
農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村が地域の実情に即して効率的・安定的な農業経営の目標等を内容とする基本構想を策定し、この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する制度。
農業法人
稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産など、農業を営む法人の総称。組織形態としては、会社法に基づく株式会社や合名会社、農業協同組合法に基づく農事組合法人に大別される。また、農業法人が農地を所有するためには、農地法に定める一定の要件を満たす必要があり、その要件を満たした法人を「農地所有適格法人」という。
HACCP(危害分析重要管理点)(ハサップ)
Hazard Analysis Critical Control Pointの略。食品安全上重要な危害要因(有害な微生物や化学物質等)を同定し、評価し、制御するシステム。HA(危害分析)とは、食品安全上重要な危害要因・条件について情報を収集・評価する過程を指し、CCP(重要管理点)とは、危害要因を除去または許容レベルまで低減するのに管理可能かつ不可欠なポイントを指す。
HACCPは、最終製品検査を主に頼るよりはむしろ危害要因の混入を防ぐことに重点を置いている。
ファイブ・ア・デー
「健康のために1日5皿分 (350g) 以上の野菜と200gの果物を食べましょう」をスローガンとする健康増進運動。
普及指導員
農業改良普及員と専門技術員という普及職員の二種類の区分をなくし、2005年4月から統一した普及職員の新たな名称。
普及指導員の役割には、専門化・高度化した技術を指導するスペシャリストとしての役割、産地づくりや地域リーダー育成などの課題を解決するため地域農業をコーディネートする役割がある。
ポジティブリスト
食品衛生法により食品の残留農薬には残留基準が定められている。ポジティブリストとは、残留基準の設定されていない農薬が残留する食品の販売を禁止すること。
有機農業
有機農業は、生物の多様性、生物的循環及び土壌の生物活性等、農業生態系の健全性を促進し強化する全体的な生産管理システムである。
我が国では、平成18年度に策定された「有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)」において、有機農業を「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」と定義されている。
有機農産物
有機農産物とは、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において、
・周辺から使用禁止資材が飛来し又は流入しないように必要な措置を講じていること
・は種又は植付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しないこと
・組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わないこと
など、コーデックス委員会のガイドラインに準拠した「有機農産物の日本農林規格」の基準 に従って生産された農産物のことを指す。
養液栽培
土を使わず、肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を生産する栽培法。土壌病害や連作障害を回避できるだけでなく、耕起、畝立て、土寄せ、施肥、除草などの土耕栽培に必要な作業が省略できる。給液や施肥管理が自動化され、大規模化が容易になること、肥料や水の利用効率の向上、などの利点もある。
養液栽培には、培地を使わずに培養液の中や表面で根が育つ「水耕」と、根に培養液を霧状に噴霧する「噴霧耕」、土の替わりとなるさまざまな培地に作物を定植する「固形培地耕」がある。
緑肥
作物に養分を供給することを目的に、腐らせずに土壌にすき込む植物体のこと。レンゲ、クローバ、ベッチ類、クロタラリアなどのマメ科植物のほか、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、シロガラシ、ヒマワリなどが用いられる。
もともとは窒素肥料の代替えの性質が強く、新たな機能は、土壌の物理性改善、有用微生物の増加、土壌病害や線虫害の抑制、雑草の抑制、施設栽培での余分な養分の除去(クリーニングクロップ)、土壌流亡の防止、景観の美化など多岐にわたる。
リレー出荷
リレー出荷は、複数の農産物産地が連携・協調して、特定市場あるいは実需者(加工業者、生協、レストラン等)に向けて農産物を途切れなくリレーして安定供給する出荷方式である。産地形成されていない小さな産地間でも作付け時期を変えることにより、また南北に点在する産地間あるいは標高のある山間地と平地の産地間では、温度差を利用してリレー出荷が行なわれている。他方、産地形成が達成されている場合でも、露地栽培のスイカのように、市場の集荷機能が産地間の相互調整を行なうことでリレー的出荷が形成される例もある。
リレー出荷は、産地側の計画的生産の確立をもたらすばかりでなく、出荷時期の長期化により、消費者側にとっても、安定して農産物を供給される利点がある。
輪作
一定年の期間、同じほ場において種類の違う作物を一定の順序で栽培することをいう。労働配分の均衡化、土地利用率の向上、危険の分散といった効果があるほか、土壌伝染性病害虫や雑草の発生抑制、肥料の利用効率の向上、土壌養分のバランス維持による地力の維持増進等を図る効果とされている。
連作
同一の耕地に同じ種類の作物が連続して栽培されるような作付順序を連作と呼ぶ。連作の一般的な特徴として、土壌養分バランスの異常や病害虫の増加などによる収量低下(連作障害)を生じるが、イネ科作物は連作に比較的強く、マメ科、ナス科、キク科作物には弱いものが多いとされる。
(参考文献)
・農林水産省webサイト
・農研機構編著『農業技術事典 NAROPEDIA』