米国経済は、2001年3月の鉱工業生産、卸・小売売上高、雇用者数の 3指標から、91年3月に始まり10年間にわたって安定成長を続けた景気 が後退局面に入った。さらに2001年9月11日に発生した同時多発テロが既 に減速をはじめていた景気にも影響を与え、2001年の実質国内総生産(GDP) 成長率は0.3%にとどまった。
しかし、消費者心理の回復、企業の設備投資の促進、失業者支援を目 的とした景気刺激法案の成立や金融当局が利下げの実施などを行ったこ とから年後半には経済は回復した。インフレ率は、引き続き安定的に推 移し、2001年の消費者物価指数は前年比2.8%増、また、生産者物価指 数は2.0%増となった。
2001年の貿易収支は、貿易赤字(国際収支ベース)が前年より5.5%、 金額にして25億ドル減少し、4,272億ドルとなった。
表1 主要経済指標
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
実質 GDP成長率(%) |
4.4 |
4.3 |
4.1 |
3.8 |
0.3 |
消費者物価指数 (1982− 84=100) |
160.5 |
163.0 |
166.6 |
172.2 |
177.1 |
生産者物価指数 (1982=100) |
131.8 |
130.7 |
133.0 |
138.0 |
140.7 |
失業率(%) |
5.0 |
4.5 |
4.2 |
4.0 |
4.8 |
貿易収支( 10億ドル) |
△196.7 |
△246.7 |
△345.4 |
△452.2 |
△427.2 |
資料:US Dept. of Commerce Gross domestic product, percent change from preceding period」他
米国経済における農業の位置付けは、他産業の発展に伴い時代の経過と ともに低下し、2001年においては、GDPのうち農業生産(農産物販売額: 現金収入の暫定値)の占める割合は2.0%にすぎないものとなっている。し かし、世界の農業生産および農産物貿易における米国農業が果たす役割は 大きいと言えよう。
2001年の農業経営体数(農産物の年間販売額1千ドル以上)は215万8千戸 であった。また、1経営体当たりの農用地面積は、436エーカー(176ヘクタ ール)であり、農用地面積全体としては9億4,121万エーカー(3億8,091万ヘ クタール)であった。なお、年間10万ドル以上の農産物販売実績のある経営 体は全体の16.2%で、全農用地面積の57.5%を占めている。 2001年の農産物販売額(現金収入の暫定値)は、2,028億ドルと前年を4.7% 上回った。その内訳を見ると、作物部門は964億ドルで、依然として低水準な がらも、前年を2.4%上回った。一方、畜産部門は堅調な肉牛、肥育豚価格を 反映して、前年を6.8%上回る1,064億ドルとなり、農産物全体に占めるシェア は52.5%へと拡大した。
農産物販売額(2001年度)
畜産部門の品目別の販売額を見ると、肉用牛が404億ドル(農産物全体に占 める割合は19.9%)と第1位であり、次いで酪農が247億ドル(同12.2%)と なっている。6割が家畜飼料となるトウモロコシの販売額が171億ドル(同8.4 %)であることからも、畜産物の重要性がうかがえる。
畜産物販売額(2001年度)
米国は年間約8千万トンの生乳を生産しており、世界最大の酪農国である。 ただし、国内に巨大な消費市場を抱えていることなどから、国際乳製品市 場における米国の地位は比較的低いものとなっている。
ア 主要な政策 酪農の主な制度には、加工原料乳価格支持制度と連邦生乳マーケティング オーダー制度(FMMO)がある。加工原料乳価格支持制度は、米農務省 (USDA)の1機関である商品金融公社(CCC)が、加工原料乳の支持 価格水準に見合う価格でチーズ、バターおよび脱脂粉乳を買い上げることに より、加工原料乳の価格を間接的に支持する制度である。 この制度は96年農業法に基づき、2000年1月1日以降廃止されることとなっ ていたが、生産者の強い反対などを反映して、延長が繰り返された結果、現 在も実施されている。
2002年新農業法では、これまで延長された支持価格を固定したまま、法 律の実施期間と同じく2007年12月まで延長することとされた。
一方、FMMOは、オーダー地域内で取引される飲用規格生乳について、 用途別の最低取引価格を設定するとともに、生乳取扱業者に対して、生産者 へのプール乳価での支払いを義務付けることにより、生産者に対しては安 定的な市場を確保すること、また、消費者に対しては合理的な価格で十分 な量の良質な飲用乳を供給することを目的としたものである。2000年1月 からは紆余(うよ)曲折を経て、@オーダー数の再編統合(31から11へ)、 A生乳の用途区分の再分類(3区分から4区分へ)、B最低取引価格の設 定に用いられる価格について、これまでの基礎公式価格(BFP)に代えて、 多成分価格形成システムに基づく新基礎価格の導入などの変更が加えられ た。なお、2002年新農業法においては、前述の変更後の制度を維持する形 で2007年12月末まで継続されることとなっている。 なお、これらの詳細については、農畜産業振興事業団「畜産の情報」海外 編2000年3月号「特別レポート」、同2002年4、8、9月号「特別レポート」 を参照されたい。
イ 生乳の生産動向
(ア)酪農経営体数 酪農経営体数は、小規模層を中心に一貫して減少傾向で推移しており、 2001年には前年比7.3%減の9万8千戸となった。
表2 酪農経営体数、飼養頭数の推移
(単位:戸、千頭、頭/戸)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
酪農経営体数 |
123,700 |
117,180 |
111,000 |
105,250 |
97,560 |
経産牛頭数 |
9,252 |
9,154 |
9,156 |
9,206 |
9,115 |
1戸当たり飼養頭数 |
75 |
78 |
82 |
87 |
93 |
資料:USDA「Cattle」、「Milk Production」 注1:経産牛頭数は、年間平均の飼養頭数である。 2:1戸当たり飼養頭数は、経産牛頭数を経営体数で除したものである。
酪農経営対数及び飼養規模の推移
(イ)飼養頭数と生産量 経産牛の飼養頭数は、87年以降減少傾向で推移してきたが、99年は前年同、 2000年は前年比0.6%増となったものの2001年は、再び減少に転じ、1.0%減の 912万頭となった。2001年の生乳生産量は、飼養頭数が減少したことなどから 1.38%減の7,500万トンとなった。
表3 生乳・乳製品の生産量
(単位:千トン)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生乳 |
70,801 |
71,371 |
73,806 |
76,048 |
74,995 |
バター |
522 |
530 |
579 |
570 |
561 |
脱脂粉乳 |
552 |
515 |
617 |
658 |
641 |
チーズ |
3,325 |
3,398 |
3,581 |
3,746 |
3,687 |
資料:USDA「Milk Production」、「Dairy Products」 注:チーズはカッテージチーズを除く。
(ウ)経産牛1頭当たり乳量 2001年の経産牛1頭当たり乳量は、前年比0.3%減の8,228kgとなった。
生乳生産量と1頭当たり乳量の推移
(エ)地域別生産動向 生乳は、すべての州において生産されているが、その半分以上は上位5州 (カリフォルニア、ウィスコンシン、ニューヨーク、ペンシルベニア、ミネ ソタ)によって占められており、上位10州(6位以下:アイダホ、ミシガ ン、ニューメキシコ、ワシントン、テキサス)では全体の3分の2に達する。 93年8月にウィスコンシン州を抜いて首位になったカリフォルニア州は、 その後も生産拡大を持続し、2001年の年間生産量は前年比3.1%増の1,508 万トンとなった。ウィスコンシン州は、1,007万トンで前年比4.5%減とな った。カリフォルニア州を代表とする西部の新興生産地域は、冬期でも比 較的温暖で乾燥しているために畜舎などへの投資コストが低く、さらに安 価な労働力も確保しやすいことなどから、大規模化が図りやすいという利 点がある。カリフォルニア州で500頭以上の経営体による生産量の州全体に 占める割合が8割以上であるのに対し、ウィスコンシン州では約1割となって いる。
ウ 牛乳・乳製品の需給動向
(ア)生産動向 2001年のチーズの生産量(カッテージチーズを除く)は、前年比1.6% 減の368万7千トンとなった。チェダーチーズを中心とするアメリカンタイ プの生産は減少したもののモッツァレラチーズなどイタリアンタイプの生 産は増加した。このイタリアンタイプの生産増加は、宅配ピザやファスト フードでの需要の増加によるところが大きい。なお、チーズ生産の内訳は、 アメリカンタイプが43.3%、イタリアンタイプが40.9%となっている。 また、脱脂粉乳の生産量は、生乳生産量の減少から前年比2.6%減の64万 1千トンとなった。一方、バター生産量についても、前年比1.6%減の56万 1千トンとなった。
チーズ生産量の推移
(イ)消費動向 1人1年当たりの飲用乳・クリーム消費量(製品ベース、以下同じ)は、他 の飲料との競合などにより、おおむね減少傾向で推移しているが、2001年も 前年比1.4%減の93.9kgとなった。なお、飲用乳の消費は、全脂牛乳から低脂 肪牛乳、脱脂牛乳へと低脂肪化への移行が進んでいる。 一方、1人1年当たりのチーズ(カッテージチーズを除く)消費量は、近年 一貫して増加傾向で推移してきたものの、2001年は前年比0.3%減の13.5キロ グラムと1988年以降14年ぶりに前年を下回った。また、1人1年当たりのバター 消費量は、98年以降3年ぶりに減少に転じた2000年と同じ2.1キログラムとなった。
エ 牛乳・乳製品の価格動向
(ア)生乳価格 加工原料乳価格(グレードB規格生乳の農家販売価格)の推移を見ると、2001年 は生乳生産が減少したことを反映して、年平均では前年比28.9%高の100ポンド当 たり13.57ドルとなった。 平均生乳販売価格は、加工原料乳価格の値上がりを反映し、前年比21.1%高の 14.98ドルとなった。
表4 生乳の生産者販売価格
(単位:ドル/100ポンド)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
加工原料乳価格 |
12.17 |
14.24 |
12.86 |
10.53 |
13.57 |
生乳平均価格 |
13.40 |
15.50 |
14.43 |
12.37 |
14.98 |
資料:USDA「Agricultural Price」、「Livestock, Dairy and Poultry Situation and Outlook」 注:加工原料乳は、グレードBの加工規格の生乳価格である。
(イ)乳製品の卸売価格 2001年の乳製品の卸売価格は、生乳生産の減少から前年を上回って推移した。 チェダーチーズ価格は供給減により値上がりし、年平均価格は、前年比21.5% 高のポンド当たり141.2セントとなった。また、脱脂粉乳価格は、生産は減少し たものの前年比2.0%安の98.6セント、バターの価格については、前年比41.3% 高の166.3セントとなった。
表5 乳製品の卸売価格の推移
(単位:セント/ポンド)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
バター |
107.1 |
176.9 |
123.7 |
117.7 |
166.3 |
脱脂粉乳 |
107.2 |
105.5 |
101.3 |
100.6 |
98.6 |
チェダ−チーズ |
132.4 |
158.1 |
142.3 |
116.2 |
141.2 |
資料:USDA「Agricultural Price」、「Dairy Market News」 注:バターは98年からシカゴ・マーカンタイル取引所の現物価格(グレードAA)である。
オ 乳製品の政府買い上げ等
2001年の商品金融公社(CCC)による余剰乳製品の買い上げ数量は、 価格の上昇を反映して軒並み減少し、乳脂肪分ベースで81.9%の減少とな った。
表6 乳製品の政府買い上げ数量の推移
(単位:千トン)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
バター |
17 |
3 |
2 |
4 |
0 |
チーズ |
5 |
4 |
2 |
13 |
2 |
脱脂粉乳 |
135 |
148 |
245 |
314 |
224 |
乳脂肪分ベース (生乳換算量 ) |
494 |
166 |
156 |
381 |
69 |
無脂乳固形分ベース(生乳換算量) |
1,670 |
757 |
2,928 |
3,907 |
2,631 |
資料:USDA「Livestock, Dairy, and Poultry Situation and Outlook」
米国は、世界の牛肉生産量の約4分の1を占める最大の生産国であり、 豪州に次ぐ輸出国である。また、同時に世界最大の牛肉の輸入国でも ある。国内的にも、肉牛産業は農産物販売額に占める割合が最大とな っており、米国農業の中でも最も重要な部門の1つとなっている。 子牛生産は、家族経営による粗放的な生産・管理が行われる一方、 育成された肥育素牛は、大規模なフィードロットで効率的な穀物肥育 が行われている。肉牛の流通面では、大手パッカーによる寡占化が顕 著となっている。
ア 肉牛の生産動向
(ア)肉用牛繁殖経営体数 肉用牛繁殖経営体数(年間に1頭以上飼養)は、減少傾向で推移しており、 2001年は前年比2.0%減の81万4千戸となった。
表7 肉用牛繁殖経営体数、飼養頭数の推移
(単位:戸、千頭、頭/戸)
区分 /年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
肉用牛繁殖経営体数 |
872,840 |
855,460 |
844,170 |
830,670 |
814,400 |
- |
繁殖雌牛頭数 |
34,458 |
33,885 |
33,745 |
33,569 |
33,397 |
33,100 |
1戸当たり飼養頭数 |
39 |
40 |
40 |
40 |
41 |
- |
資料:USDA「Cattle」 注1:繁殖雌牛頭数は、各年1月1日現在のものである。
(イ)飼養頭数
米国の牛飼養頭数は、約10年のサイクルで増減を繰り返している。 2002年1月1日現在の牛の総飼養頭数は、前年比0.6%減の9,670万頭と、 前年に引き続き1億頭を下回った。 88年に1億頭を下回り、90年に底を打ったキャトルサイクルは、91 年以降上昇局面に転じていた。96年には、肥育素牛価格の低迷などに より、繁殖経営体の収益性が急速に悪化したことに加えて、テキサス 州などの南西部を襲った干ばつの影響もあり、キャトルサイクルは下 降に転じた。 飼養頭数の内訳を見ると、2001年1月1日の500ポンド以上の肉用種 繁殖雌牛が前年比1.5%増と6年ぶりの増加となり雌牛の保留が開始さ れたと見られたが、2000年夏の干ばつで逼迫した飼料供給の影響が続 いたこと、2001年の冬が92/93年以来最も厳しいものとなったことな どにより2002年1月1日の肉用種繁殖雌牛は引き続き前年比0.9%減の 3,310万頭となった。500ポンド以上の肉用種更新用未経産牛頭数でも、 前年比0.5%減の556万頭となった。 2001年における子牛生産頭数(乳用種を含む)は、繁殖雌牛飼養頭 数の減少により、前年比0.9%減の3,828万頭となった。
イ 牛肉の需給動向
(ア)生産動向
2001年の成牛と畜頭数(コマーシャルベース)は、前年比2.4%減の 3,537万頭となった。 種類別(連邦政府検査ベース)では、去勢牛および未経産牛がそれぞ れ前年比3.7%および3.9%の減少となった一方で、経産牛は前年比4.6% 増と前年水準を上回った。特に、肉用経産牛は、前年を10.6%上回る309 万頭となった。
図6 種類別と畜頭数
一方、2001年の成牛のと畜時平均生体重(連邦政府検査ベース)は、 前年比1キログラム増の555キログラムとなった。また、平均枝肉重量 (連邦政府検査ベース)は、前年比0.5キログラム減の337.5キログラ ムとなり、前年をわずかに下回ったものの高水準を維持している。 この結果、2001年の牛肉生産量(枝肉ベース)は、前年比2.5%減の 1,184万トンとなり、97年以降増加傾向にあった生産量が減少に転じた。
表8 牛肉需給(枝肉換算)の推移
(単位:千トン)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生産量 |
11,514 |
11,636 |
11,968 |
12,145 |
11,841 |
輸入量 |
1,063 |
1,199 |
1,303 |
1,375 |
1,435 |
輸出量 |
969 |
985 |
1,096 |
1,141 |
1,029 |
在庫量 |
211 |
178 |
186 |
177 |
275 |
消費量 |
11,617 |
11,932 |
12,219 |
12,436 |
12,259 |
1人当たり消費量 (年間、kg) |
30 |
31 |
31 |
31 |
30 |
資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」 注:一人当たり消費量は小売重量ベースである。
(イ)輸出入動向
2001年の輸入量(枝肉ベース)は牛肉生産量(枝肉ベース)の減少 などにより、国産加工用牛肉の供給が不足したため、前年比4.4%増 の144万トンとなった。国別に見ると、豪州からの輸入が前年よりも 12.3%増加し、前年に引き続き第1位となった。 また、2001年の生体牛の輸入は、前年比11.4%増の243万7千頭と なった。国別では、メキシコからの輸入が前年比7.6%の減少となっ た一方で、カナダからの輸入が35.4%と大幅に伸び130万6千頭と再 び第1位になった。 2001年の牛肉輸出量(枝肉ベース)は、前年比9.8%減の103万トン であった。国別では、最大の輸出相手国である日本向けが、日本での BSE発生による国内需要減などにより、前年を9.7%下回った。これ に次ぐ、メキシコ向けは、前年を3.0%上回った。
牛肉の輸出相手国(2001年)
(ウ)消費動向
1人1年当たりの牛肉消費量(小売重量ベース)は、健康志向の高まり などから減少傾向が続いたが、小売価格の値下がりや消費拡大キャン ペーンが奏功し、97年にほかの食肉との競合などから一時減少したも のの、94年以降わずかながら増加傾向で推移している。しかしながら、 2001年には米国景気の後退や同時多発テロ発生などによる国内需要の 減退から、前年比2.2%減の30.0キログラムとなった。
ウ 肉牛・牛肉の価格動向
(ア)肥育素牛価格
肥育素牛価格(オクラホマシティー、600〜650ポンド)は、2001年 平均では、100ポンド当たり95.3ドルと前年を1.0%上回った。
(イ)肥育牛価格
肥育主要7州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、アイオワ、 カンザス、ネブラスカ、テキサス州)における肥育素牛導入頭数は、 前年比5.2%減の2,057万頭となった。また、肥育牛出荷頭数も前年比 3.5%減の1,995万頭となった。 チョイス級肥育牛価格(ネブラスカ、1,100〜1,300ポンド、去勢牛) は、2001年平均で100ポンド当たり72.4ドルとなり、前年に比べて4.0% の値上がりとなった。
(ウ)牛肉卸売価格
2001年の卸売価格(チョイス級、550〜700ポンド、カットアウト バリュー)は、前年比4.3%高の100ポンド当たり122.6ドルとなった。
(エ)牛肉小売価格
牛肉の2001年の平均小売価格(チョイス級)は、前年比10.2%高のポンド 当たり337.8セントとなった。
表9 肉牛、牛肉の価格の推移
(単位:ドル/100ポンド)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
肥育素牛 |
81.3 |
78.1 |
82.6 |
94.3 |
95.3 |
肥育牛 |
66.3 |
61.5 |
65.6 |
69.6 |
72.4 |
牛肉卸売価格 (カットアウトバリュー) |
103.3 |
99.9 |
111.1 |
117.5 |
122.6 |
牛肉小売価格 (セント/ポンド) |
279.5 |
277.1 |
287.7 |
306.4 |
337.8 |
資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Situation and Outlook」 注:カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成 した卸売指標価格。枝肉そのものではない。
米国の養豚産業は、アイオワ州やイリノイ州を中心とするコーンベルト地帯に おいて、伝統的に穀物生産や肉牛経営の副業として営まれてきた。一方、ノース カロライナ州を代表とする地域でのインテグレーションの出現が、養豚産業に対 し、生産・流通などの面で大きな変化をもたらしている。 また、豚肉輸出は近年大幅な伸びを示しており、95年には40数年ぶりに純輸出 国に転じた。一方で、大規模経営体による環境問題が顕在化しており、各州にお いて環境規制を強化する動きが見られている。
ア 豚の生産動向
(ア)養豚経営体数
養豚経営体数は、小規模層を中心として減少傾向で推移しており、2001年12月 1日現在では、前年比6.1%減の8万1千戸となった。1経営体当たりの飼養規模別で は、100頭未満の層が全経営体数の56.7%を占めているものの、飼養頭数では全体の 1.0%を占めるに過ぎない。一方、5千頭以上の層は、経営体数全体の2.7%に過ぎな いが、全飼養頭数の52.5%を占めている。
表10 養豚経営体数、飼養頭数の推移
(単位:戸、千頭、頭/戸)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
養豚経営体数 |
122,160 |
113,830 |
98,610 |
86,360 |
81,130 |
総飼養頭数 |
61,158 |
62,206 |
59,342 |
59,138 |
59,804 |
1戸当たり飼養頭数 |
501 |
547 |
602 |
690 |
737 |
資料:USDA「Hogs and Pigs」 注:飼養頭数は、各年の12月1日現在のものである。
(イ)飼養頭数
豚飼養頭数は、87年から増加傾向で推移してきたが、95年以降、飼料価格の値上 がりの影響を受けて減少に転じた。その後、飼料価格の下落や台湾における口蹄疫 の発生による輸出意欲の高まりに伴い、97年後半から増加に転じたが、98年に豚価 が下落し、以降、前年水準を下回って推移した。2001年(12月1日現在)は前年比1.1% 増の5,980万頭とカナダからの生体子豚の輸入が増加していることなどから3年ぶり に増加した。 飼養頭数の内訳を見ると、繁殖豚は前年比1.0%減の621万頭に、また、肥育豚は 前年比2.5%増の5,359万頭となった。 2001年(2000年11月〜2001年10月)の子豚生産頭数は、一腹当たり産子数が前年 比0.3%減の8.80頭となったことに加え、繁殖母豚も前年比0.9%減となったことなど から、9,947万頭と前年より1.3%減少した。
養豚経営対数及び飼養規模の推移
イ 豚肉の需給動向
(ア)生産動向
2001年のと畜頭数(コマーシャルベース)は、前年とほぼ同じ9,796万頭となった ものの、豚肉生産量は、前年比0.1%増の869万トンとなった。 なお、2001年のと畜時平均生体重(連邦政府検査ベース)は、前年比1.2%増の 120.2キログラム、また、平均枝肉重量(連邦政府検査ベース)も、同1.3%増の 89.1キログラムとなった。
表11 豚肉需給(枝肉換算)の推移
(単位:千トン)
区分/年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生産量 |
7,822 |
8,609 |
8,744 |
8,684 |
8,693 |
輸入量 |
288 |
320 |
375 |
439 |
431 |
輸出量 |
473 |
558 |
580 |
592 |
707 |
在庫量 |
185 |
265 |
222 |
216 |
204 |
消費量 |
7,631 |
8,304 |
8,594 |
8,449 |
8,279 |
1人当たり消費量(年間、kg) |
22 |
24 |
24 |
23 |
23 |
資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Situation and Outlook」 注:1人当たり消費量は小売重量ベースである.
(イ)輸出入動向
肉の輸入量(枝肉ベース)は、97年以降毎年前年を上回ってきたものの、2001年は消費量 の減少などから、前年比1.8%減の43万1千トンとなった。国別に見ると、カナダが34万 7千トン(総輸入量に占める割合は80.6%)、デンマークが5万4千トン(同12.6%)と なっている。 また、生体豚の輸入は、ほぼ100%がカナダからのものであり、2001年の同国からの 輸入頭数は、米国内での生産頭数が減少する中、豊富で安価な穀物を有する中西部など から輸入子豚への需要が高まったことにより、前年比22.5%増の533万8千頭となった。
カナダからの生体豚輸入頭数の推移
一方、輸出量(枝肉ベース)も、毎年前年を上回って推移しており、第2位の輸出先で あるメキシコ向けが景気回復に伴う好調な需要を反映して、前年を80.9%上回ったことや ロシア向けが前年比202.0%の大幅増となったことなどから、2001年は前年比19.4%増の 70万7千トンとなった。最大の輸出先である日本向けは、前年比8.6%増と引き続き好調で あった。
豚内の輸出相手国(2001年)
(ウ)消費動向 1人1年当たりの豚肉消費量(小売重量ベース)は、近年ほぼ横ばいで推移している。 しかし、2001年には小売価格の値上がりなどにより、前年比2.0%減の22.8キログラムと なった。
ウ 肥育豚・豚肉の価格動向
(ア)肥育豚価格
肥育豚取引価格(5大市場の平均;オマハ、スーシティー、セントジョセフィン、セント ポール、スーフォールズ)は、20年来の安値となった94年を底に、生産の減少および輸出 需要の増加から好調に推移し、96年には100ポンド当たり53.4ドルとなった。しかし、97年 以降、生産の増加やなどから、価格(97年以降は全米の平均)は下落傾向で推移し、98年 には前年比36.1%安の34.7ドル、99年にはさらに前年比2.0%安の34.0ドルとなった。2000 年は、生産減や、主として年前半におけるバラを中心とした外食での需要増などにより、44.7 ドルまで持ち直し、2001年においても前年比2.5%高の45.8ドルとなった。
表12 肥育豚、豚肉の価格の推移
(単位:ドル/100ポンド)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
肥育豚 |
54.3 |
34.7 |
34.0 |
44.7 |
45.8 |
豚肉卸売価格 (カットアウトバリュー) |
70.9 |
53.1 |
53.5 |
64.1 |
66.8 |
豚肉小売価格 (セント/ポンド) |
245.0 |
242.7 |
241.4 |
258.2 |
269.4 |
資料:USDA「Livestock,Dairy and Poultry Situation and Outlook」 注1:96年以前の肥育豚価格は主要5市場の平均価格。97年以降は全米の平均価格。 注2:カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成し た卸売指標価格。枝肉そのものではない。
(イ)豚肉価格
@部分肉卸売価格
2001年の部分肉卸売価格(カットアウトバリュー)は、前年比5.0%高の100 ポンド当たり66.8ドルとなった。
A豚肉小売価格
2001年の豚肉の平均小売価格は、前年比4.3%高の1ポンド当たり269.4セント となった。
米国の養鶏産業は、飼料穀物の大生産国という利点を生かし、生産から 流通までの一貫したインテグレーションの進展により、極めて効率的な生産が行 われている。また、低需要部位のもも肉を中心として、鶏肉の生産量の20%を輸 出すると同時に、米国内では、消費者の健康志向からむね肉を中心として消費を 大きく伸ばしている。
ア ブロイラーのふ化羽数の動向
2001年のブロイラーふ化羽数は、前年に比べブロイラー価格が持ち直し、生産 者の収益性が改善されたことなどから、ふ化羽数は前年比1.2%増の89億163万羽 であった。
イ 鶏肉の需給動向
(ア)生産動向 2001年のブロイラー生産は、ブロイラーふ化羽数の増加等(ふ化羽数は前年比 1.2%増、1羽当たり重量は0.8%増)により、前年を2.5%上回る1,414万トンと なった。生体ベースでの1羽当たり重量は、骨なしむね肉への需要増に伴うブロイ ラーの大型化を背景に近年増加傾向にあったが、その動きも一段落し、前年同の2. 3キログラムとなっている。
表13 ブロイラー需給(可食処理ベース)の推移
(単位:千トン)
区分/年 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生産量 |
12,370 |
12,638 |
13,490 |
13,780 |
14,135 |
輸出量 |
2,116 |
2,120 |
2,222 |
2,516 |
2,520 |
在庫量 |
275 |
323 |
361 |
386 |
323 |
消費量 |
10,168 |
10,360 |
11,122 |
11,098 |
11,555 |
1人当たり消費量(年間、kg) |
33 |
33 |
35 |
35 |
34 |
資料:USDA「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」 注:1人当たり消費量は小売重量ベースである.
(イ)輸出動向
ブロイラーの輸出量は、85年以降一貫して増加傾向で推移しており、2001年も 前年比0.2%増の252万トンとなった。国別では、99年に2位へ転落したロシア向け が、前年比82.6%増の104万5千トンと大幅に増加し、再び1位となった。これは、 ロシアでEUなどにおける家畜疾病(BSE、口蹄疫など)発生による輸入停止措置に 伴う代替食肉としての鶏肉需要が高まったことなどによるものとみられている。一 方で、最大の輸出先であった香港向けが前年比2.0%減の33万8千トンとなった。
鶏肉の輸出相手国(2001年)
(ウ)消費動向
1人1年当たりの鶏肉消費量(小売重量ベース)は、健康志向の高まりや加工度の 高いアイテムの増加などから、順調な伸びを示してきたが、2001年は他の食肉との 競合が強まったことなどから、前年比1.1%減の33.9キログラムとなった。
ウ ブロイラーの価格動向
(ア)ブロイラー価格
2001年のブロイラー価格(生体ポンド当たりの生産者販売価格)は、前年比15.5% 高の39.6セントとなった。
表14 ブロイラー価格の推移
(単位:セント/ポンド)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生産者販売価格 (生体) |
37.0 |
39.8 |
36.8 |
34.3 |
39.6 |
卸売価格 (丸どり) |
58.8 |
63.1 |
58.1 |
56.2 |
59.1 |
丸どり小売価格 |
100.2 |
104.4 |
105.7 |
107.1 |
110.5 |
資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Situation and Outlook」
(イ)鶏肉価格
@卸売価格
2001年のブロイラーの丸どり卸売価格(中抜き、12都市平均)は、前年比5.2%高の ポンド当たり59.1セントとなった。なお、国内向けが主体となっているむね肉がポンド 当たり136.4セント(前年比0.4%高)であるのに対し、輸出向けが主体であるもも肉は 42.5セント(同21.6%高)となっており、日本と違いむね肉の方がもも肉より3倍程度 高くなっている。
A小売価格
ブロイラーの丸どり小売価格(中抜き)は、前年比3.2%高の1ポンド当たり110.5セント となった。
米国は、世界最大の飼料穀物の生産・輸出国である。代表的な飼料穀物であるトウモロ コシについては、世界の生産量の約4割、輸出量についてはその約6割強を占めており、需給 などに与える影響力は極めて大きい。
ア 主要な政策
飼料穀物については、96年農業法により、政府の定める目標価格と市場価格(またはローン レート)の差を補てんする不足払い制度とこれに関連する減反計画が廃止され、農産物の作 付け(野菜、果物を除く)が自由化された。一方、その代替措置として、市場価格とは切り離 された形で、過去の作付面積などの実績に基づき、一定の漸減する直接支払いを2002年度まで の7年間受給できる農家直接固定支払い制度が導入された。このほかの主なものとしては、生産 者が農産物を担保に商品金融公社(CCC)からローンレート(過去の市場価格を基に算出) での融資を受けるマーケティング・ローン(価格支持融資制度)などがある。なお、飼料穀物 価格が需給緩和の影響で、96年の秋をピークに下落し、生産者所得が減少したことを受け、農 家直接固定支払い制度の単価に上乗せする形で、98年から毎年緊急支援措置が講じられている。 こうした中、紆余曲折を経て成立した2002年新農業法では、価格支持融資や農家直接固定支払 いを存続させるとともに96年農業法で廃止された不足払い制度に類似した直接支払い制度(価 格変動対応型支払い:価格の変動に応じ目標価格との差額を補てん)を新設している。 なお、これらの詳細については、農畜産業振興事業団「畜産の情報」海外編2002年8月号 「特別レポート」を参照されたい。
イ 穀物の生産動向
2001/02年度(9〜8月)のトウモロコシ(サイレージ用を除く)の生産量は、前年度比4.6%減 の95億738万ブッシェル(2億4,150万トン)となった。1エーカー(約0.4ヘクタール)当たりの 収穫量は、前年度と比べて0.9%増の138.2ブッシェル(=8.8トン/ヘクタール)となった。作付 面積については、前年比4.8%減の7,575万エーカー(3,065万ヘクタール)であった。 2002年8月末現在の在庫量は、15億9,600万ブッシェル(4,055万トン)で、前年比15.9%の減少 となった。
表15 トウモロコシ需給の推移
(単位:百万トン)
区分/年 |
97/98 |
98/99 |
99/00 |
00/01 |
01/02 |
生産量 |
234 |
248 |
240 |
252 |
241 |
輸出量 |
38 |
50 |
49 |
49 |
48 |
在庫量 |
33 |
46 |
44 |
48 |
41 |
消費量 |
185 |
186 |
192 |
200 |
201 |
うち飼料用 |
140 |
139 |
144 |
150 |
149 |
資料:USDA「Feed Outlook」
ウ 穀物の輸出動向
2001/02年度のトウモロコシの輸出は、韓国、メキシコ向けなどが減少したこと から、前年度比2.9%減の4,776万8千トンとなった。なお、日本への輸出は前年度比 2.7%増の約1,479万トンで、全体に占める割合は(31.0%)となっている。
エ 穀物の価格動向
2001/02年度のトウモロコシの生産者販売価格は、飼料向けなどの国内需要が伸 びたことなどから、前年度をわずかに上回り、6.5%高の1ブッシェル当たり1.97ド ルとなった。
表16 トウモロコシ価格の推移
(単位:ドル/ブッシェル)
区分 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
生産者販売価格 |
2.43 |
1.94 |
1.82 |
1.85 |
1.97 |
資料:USDA「Feed Outlook」
【同時多発テロ後の食肉等への安全性確保への取り組みについて】一昨年の同時多発テロ発生を契機として、国内の食肉、家きん肉および鶏卵生産 における安全性確保の重要性、政府機関が果たす役割などについて、米農務省(USDA) 食品安全検査局(FSIS)は、その取り組み状況を次のとおり公表している。なお、 FSIS長官は公表にあたり、「同時多発テロ発生後、わが国の食糧供給時の安全性 確保が国民の最大関心事となっており、これはFSISの最重要課題である」と述べ ている。 1 食品安全・危機管理室(OFSEP)の創設 長官補佐を長とするFSIS長官直属の組織を創設した。この組織は、緊急事 に連邦と州との広範な連携が迅速かつ効果的に行えるようサポートし、また、被 害などを最小限に食い止るための方策を科学的見地から支援する。 2 FSIS版食糧安全保障プランの作成(2003年〜2007年) 食品をテロ行為用の武器として使用することを包括的に防止する計画を今後5 カ年で策定・実施する。OFSEPは、4半期ごとにその成果を報告し、毎年計 画を更新する。 3 食肉などを生産する工場における食品安全性確保のためのガイドライン FSISが所管する食肉工場などに対するガイドラインとして@安全性確保の ための計画管理(管理責任者の特定、計画の作成)A工場外部の管理(ガードマン の配置、外 灯の設置)B工場内部の管理(制限区域の明示、使用制限材料の管理・ 保管、在庫数量の 確認、勤務表のチェックなど)C入出荷時の管理(入出荷の際 の製品への封印、入出荷書類の管理、トラックへの施錠など)を示した。 4 FSISの検査能力などの向上 すべてのFSISの検査機関はISOの認証を取得し、検査能力および警備を強化する。 5 FSIS職員の研修の実施 すべてのFSIS職員に対して2年間の総合的な研修を実施し、食肉等の安全性確 保などのための職員の役割や責任に関する研修を実施する。 6 輸入食肉などの検査強化 新たな検査官ポストとして輸入サーベイランス連絡検査官(Import surveillance liaison inspector)を設置し、2003年3月に20名の検査官を港湾都市に配置する。こ の検査官は、施設全体のサーベイランスを管理し、検査体制の改善を図るとともに、 輸入食肉などの安全性確保に関し必要に応じ税関や動植物検疫所などとの連携を図る ことができる。 7 食糧安全保障ネットワークの構築 複数の州にまたがって食糧安全保障に関する事件が発生した場合に適切に対応する ため、連邦と州とのネットワークを発展・改善する。 8 食品供給におけるテロ攻撃に対する弱点の評価 既存の国産品に対する評価に加え輸入品に対する評価を実施する。 |
【2001年度の乳業メーカー販売額について】乳業メーカー販売額高における2001年度のランキングは、下表のとおりとなっているが、 乳業メーカーにおいても食肉パッカーと同様、企業合併・買収による再編、統合の活発 な動きが反映されている。上位社の概要はつぎのとおりである。 1位は、販売額97億ドル(1兆2,150億円、1ドル=125円)でディーン・フーズ社(本社: テキサス州ダラス)となったが、これは、度重なる乳飲料メーカーの買収により急成長したス イザ・フーズ社(前年度第1位)とディーン・フーズ社(同第3位)が2001年の12月に合併 し、知名度のあるディーン・フーズネームを社名に残したたことによる。これにより同社 は、全米に113の工場を持ち、乳飲料、クリーム、アイスクリームなどを製造する乳業メーカー 最大手になった。 2位は、販売額41億ドル(5,125億円)で、クラフト・フーズ・ノースアメリカ社(本社: イリノイ州ノースフィールド)となった。同社は、75年に存在した乳業メーカーであり、現在 もなお同じ会社名で経営が行われていることから、その主力商品であるプロセスチーズと ヨーグルトの認知度は高い。 これに続き、酪農協同組合(以下「酪農協」という。)組織であるランド・オレイクス (本社:ミネソタ州アーデンヒル)が31億ドル(3,828億円)を計上し、3位となった。同 組合は、約4,700戸の組合員を有し、生乳生産量も120億ポンド(544万トン)と全米生乳生 産量の7%を占めている。バターとチーズのトップブランドである同組合は、商品数も600点 を超える。 今回、販売額17億ドル(2,125億円)で7位となったデーリー・ファーマーズ・オブ・アメ リカ(本社:ミズーリ州カンサスシティー)も酪農協である。同組合は、97年に4つの地域 酪農協が合併した巨大酪農協で、東海岸から西海岸全土にわたり約1万5千の組合員数を有し、 全米生乳生産量の約21%に当たる345億ポンド(約1,565万トン)を取り扱っている。 2001年度の上位10社
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資料:「デーリー・フーズ」 注 :( )内は2000年度の順位
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