14年度の日本経済は「経済活動の停滞」「株価・地価下落と金融システム不安」という深刻な状況に直面した。株価下落は「企業収益力の悪化」を反映したものであり、金融システム不安は「不良債権の増大」によって生じたものであり、これらがもたらす将来不安が「雇用需要の脆弱さ」という形で表われている。この経済情勢を打開するにはわが国は、雇用不安や倒産などに伴う混乱を回避するための雇用セーフティネットの整備・拡充、不良債権処理の加速、産業再編の取り組みを同時に推進する必要があると指摘されている。GDPに目を向けると、平成14年1月を底に回復基調をたどったが、10月の金融再生プログラム発表による金融界の混乱と平成15年3月のイラク戦争勃発によって回復はストップした。一方、民間最終消費支出は平成14年7月〜9月は前年同期比をプラスに転じたものの民間設備投資は依然としてマイナス基調にあり、まだ、民間需要回復が本格的になったとはいえない。15年度の日本経済予測については、日本の景気に大きな影響を与える米国の景気が減税、金融緩和、ドル安、石油価格下落によって回復を遂げるか、個人消費に陰りがみえ、企業設備投資が減退するかによって大きく分かれることとなる。デフレ脱却には米国の景気回復によるアジアや日本の輸出環境が好転するという外需主導の景気回復とともに、政府による民間需要創出のための構造改革の推進と民間企業の自助努力による体質改善が望まれるところである(図1〜4)。 |