畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼飼養動向
16年2月のブロイラー飼養羽数は、1億495万羽(1.2%)と前年をわずかに上回って推移
 ブロイラーの飼養羽数は、平成12年にはわずかに増加したものの、以降3ヵ年連続で減少した。16年には、10,495万羽(1.2%)と前年をわずかに上回った。飼養戸数は、小規模飼養者層を中心に引き続き減少し、16年には2,778戸(▲2.1%)となった。1戸当たりの飼養羽数は、増加傾向で推移しており、大規模飼養者層が増えたことを反映し、16年は3.8万羽(4.1%)とやや増加した(図1、P.104)。

 年間出荷羽数を規模別にみると、「30万羽未満」の各階層の占める割合は、引き続き減少しており、「30万羽以上」の階層のみが増加を続けている。15年には、「30万羽以上」の階層が占める割合は、戸数では11.8%にすぎないが、年間出荷羽数では45.3%を占めている(図2)。

 都道府県別の飼養羽数をみると、鹿児島、宮崎、岩手の上位3県で約49.7%を占めている(図3)。

 

図1 ブロイラーの飼養戸数、羽数の推移
図2 年間出荷羽数規模別の出荷羽数構成比


資料:農林水産省「畜産物流通統計」
    「平成15年食鳥流通統計調査結果の概要」
 注:数値は各年の2月1日現在
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
   「平成15年食鳥流通統計調査結果の概要」
 注:1月から12月までの1年間に食鳥処理場へ出荷した羽数であり、飼養羽数とは異なる。

図3 ブロイラーの飼養羽数上位5県

 
 
資料:農林水産省「平成15年食鳥流通統計調査結果の概要」
 注1:ブロイラーとは、食鳥のうち、ふ化後3ヵ月未満の鶏をいう。
  2:16年2月1日現在
 

 

国内外で高病原性鳥インフルエンザが発生
 山口県で16年1月、国内で79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生した。その後、3月までに大分県、京都府でも発生し、全部で4件の飼養施設で、約27万5千羽の家きんが死亡または殺処分となった。

 京都府の事例では、農場内で発生が拡大したにもかかわらず、養鶏業者からの通報が行われなかったばかりか、感染鶏が出荷されたため、出荷先の諸施設にウイルスが拡散し、大きな社会不安をもたらした。

 また、国内での発生と前後して、東アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザの大規模な発生が確認され、韓国をはじめ、ベトナム、タイ、インドネシア、中国などからの鶏肉および生きた家きんなどの輸入が一時停止された。ベトナムやタイでは家きんのみならず人に対しても致死的な感染被害をもたらしたことから、高病原性鳥インフルエンザの発生は、家畜衛生はもとより、広く公衆衛生上の問題として、国民の大きな関心事となった。このため、鶏肉や卵を介して人に感染した事例が世界的にも報告されていないにもかかわらず、風評により、国内の鶏肉・鶏卵消費が大幅に減退し、発生地域のみならず、国内の養鶏産業全体に大きな影響を及ぼした。