畜産物の需給動向

 6 鶏卵 


▼卸売価格
15年度の卸売価格(東京・M)は、139円/kg(▲19.2%)と前年度を大幅に下回る
図10 鶏卵の卸売価格(東京・M)とひなのえ付け羽数

 鶏卵は自給率が約96%と高いため、鶏卵の卸売価格は生産量の変動が大きく影響する傾向にあり、生産者団体は鶏卵の計画的な生産を実施してきている。鶏卵の卸売価格の動き(対前年度増減率)を見ると、平成2年度、8年度、11年度とほぼ5年周期でピークを迎えている。1つのピークを過ぎると約2年で谷になり、その後約3年間で再びピークになる。この周期的変動には、ひなえ付け羽数が大きく影響している。高卵価に刺激され、え付け羽数が増加することによって、生産量が増加し、卵価の低落を招いている(図10、P.121、122)。

 12年度以降は、供給過剰と需要の低迷を背景に卸価格が大幅に下落し、15年度には139円(▲19.2%)と昭和50年度以降、過去最低の水準を記録した。

資料:農林水産省「鶏ひなふ化羽数」
   「鶏卵市場流通統計」(8年12月まで)
   農林水産省「鶏卵流通統計」(9年1月以降)

 

図11 鶏卵の卸売価格(東京・M)  11年度は、生産量は前年並みであったものの、賞味期限など表示の実施、M玉の外食需要の増加などから大幅に上昇した。12年5月以降は家計消費の低迷などの影響を受け、前年同月を下回って推移した。

 13年度は、ほとんどの月で卸売価格が低迷したため、13年4〜10月及び14年1、3月に鶏卵価格安定対策事業による補てんが行われた。

 14年度は、12月まで前年を上回って推移したものの1月は冬期としては低い141円となり、14年4〜8月、15年1、3月に標準取引価格が補てん基準価格(14年度は169円/kg)を下回っため鶏卵価格安定対策事業による補てんが行われた。

 15年度は、卸売価格が大幅に下落した影響で、すべての月において補てん基準価格(168円/kg)を下回り、鶏卵価格安定対策事業による補てんが行われた。そのため、年度後半には交付金の財源が枯かつする事態にまで陥った(図11、表)。

資料:農林水産省「鶏卵市場流通統計」(8年12月まで)
   農林水産省「鶏卵流通統計」(9年1月以降)
 注:9年1月以降は消費税を含まない。