畜産物の需給動向

 6 鶏卵 


▼消 費
16年度の推定出回り量は、261万トン(▲1.2%)とわずかに減少
図7 鶏卵の推定出回り量
 鶏卵の推定出回り量は、流通形態が主に国内産の生鮮品(殻付き卵)で占められていることから、生産量の動向とほぼ一致した動きを示している。近年、ほぼ横ばいで推移していたが、1 6年度は、2 , 6 0 9 , 5 0 4トン(▲1 . 2%)とわずかに減少した(図7、P.203)。
資料:財務省「貿易統計」
   農林水産省「鶏卵流通統計」
図8 鶏卵の家計消費量(1人当たり)
 1人当たりの家計消費量は、世界的にみても高い水準にあり、近年はほぼ横ばいで推移していた。しかし、1 6年度は鳥インフルエンザ発生の影響で消費が減退し、9 , 5 5 9 g/人(▲5 . 9 %) と前年度からやや減少した。(図8、P.148)。
資料:総務省「家計調査報告」

高騰が続いた卸売価格

 1 6年度の鶏卵卸売価格(東京・全農・M)はすべての月で前年同月を大幅に上回り、平成3年以来の高値となった。1 6年4月に1 4 4円で始まった卸売価格は、1 7年3月の時点で年初比8 5 . 4%高の2 6 7 円まで高騰した。

 鶏卵価格安定制度の補てん基準価格は、年度当初1 4 2円で決定されていたが、年度途中1 5 9円まで引き上げられた。しかし、鶏卵の標準取引価格は基準価格を大幅に上回って推移したことから、制度の発動は16年7月の1回のみにとどまっている。

 1 6年は、鳥インフルエンザの発生による消費の減退を受けて生産が抑制されたことや夏の猛暑による産卵率の低下などを背景に、鶏卵の生産量はわずかに減少した。その結果、冬場の鍋物需要など需要が拡大する時期にかけて、市場では鶏卵の品薄感が続き、価格は大きく高騰した。

「鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン」を公表

 農林水産省は1 6年1 1月3 0日、「鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン」を公表した。これは、業界のトレーサビリティシステム導入に向けた自主的な取組みを支援するもので、システムの導入を検討している関係者の参考となるような基本的事項などを明らかにした手引書となっている。

 本ガイドラインでは、専門家やこれまでの実証試験の知見を踏まえつつ、トレーサビリティシステム導入の進め方や留意点を示しており、ロットの概念、養鶏場やG Pセンターでの記録、保管方法など詳細に説明している。

 対象となる製品は「殻付きの食用鶏卵」、対象となる業種は鶏卵の生産・選別包装・流通・販売を担う企業、団体および個人で、各段階において養鶏場、G Pセンター、卸売業者などを念頭においている。