畜産物の需給動向 |
■■■ 3 豚肉 ■■■ |
▼輸 入 |
4年連続の増加、16年度は10.7%増 |
1 6年度の輸入量は前年度をかなりの程度上回る8 6万2千トン(1 0 . 7 %)となった。内訳は、冷蔵品、1 8万8千トン(5 . 6 %)、冷凍品6 7万4千トン(12.3%)となった(図6、P.171)。 豚肉の輸入量は、国内外でのB S Eの発生や鳥インフルエンザの発生に伴う牛肉・鶏肉の代替需要により、冷凍品を中心に増加傾向で推移してきた。そのため、4年連続で関税の緊急措置が発動され(各年8月から年度末まで)、基準輸入価格が引き上げられた。 また、1 2年から1 4年にかけて海外で口蹄疫が発生したことにより、それまで輸入主要国であった韓国などに対して輸入禁止措置がとられ、ここ数年のわが国の豚肉輸入主要国は、米国、デンマーク、カナダとなっている。デンマークは5年ぶりに米国を抜いてトップのシェアを占めた(図7、P.172)。 1 6年度は、第1四半期までの豚肉等の輸入量が発動基準数量を超えたことから、4年連続、7回目の関税の緊急措置が発動され基準輸入価格は、部分肉ベースで5 4 6 . 5 3円から6 8 1 . 0 8円となった。前年に引き続き8月1日の発動により7 月中の駆け込み輸入で7月は大幅な増加になった。(図8、P.172〜175)。 |
図6 豚肉の冷蔵品、冷凍品別輸入量
|
図7 豚肉の国別輸入量
|
|
|
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース |
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース |
|
|
図8 豚肉の冷蔵品、冷凍品別輸入量と基準輸入価格 |
|
資料:財務省「貿易統計」 注1:部分肉ベース 2:過去の関税の緊急措置の発動実績は、7年11月〜8年7月〜9年3月、9年4月〜6月、13年8月〜14年3月、14年8月〜15年3月、15年8月〜16年3月、16年8月〜17年3月の7回である。 このほか、生きている豚及び豚肉等についてSSG(特別セーフガード)がある。 |
|
||
図9 米国からの豚肉輸入量
|
米国産は、口蹄疫発生のため輸入禁止となった台湾産の代替として輸入量が増加し始め、冷蔵品を中心に輸入量を増加させ、現在、冷蔵品総輸入量の約7割程度を占めている。また、冷凍品もソーセージなどの原料用として輸入量を増加させてきた。 1 6年度は、冷蔵品が1 3 3 , 9 4 0トン(7 . 4 %)で総冷蔵品輸入量シェアの6 5%を占め、冷凍品・冷蔵品の合計では2 5 7 , 2 0 6トン(4 . 7%)と総輸入量の29.8%を占めた(図9、P.172)。 | |
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース |
||
|
||
図10 デンマークからの豚肉輸入量 |
デンマークは、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工仕向用冷凍品の最大輸入先国である。1 6年度は、冷凍品は2 6 4 , 7 1 5トン(1 3 . 5%)、冷蔵品との合計では2 6 4 , 9 9 7トン(1 3 . 5%)とかなりの程度輸入量を伸ばし、総輸入量の3 0 . 7 %を占めた。また、1 6年度には米国を抜いて5年ぶりに豚肉の最大輸入相手国となった(図10、P.172)。 | |
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース |
||
|
||
図11 カナダからの豚肉輸入量 |
カナダ産は、1 3年度までは冷蔵品、冷凍品ともに増加していたが、1 4年度以降は冷凍品の割合が大幅に増加し、米国産と競合しながら輸入量を増やしている。冷蔵品は38,790トン(12.1%)、冷凍品は1 4 9 , 7 1 8トン( 8 . 7%)で、合計では1 8 8 , 5 0 8トン(9 . 3%)で総輸入量の2 1 . 9%を占めた(図11、P.172)。 | |
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース |
||
|
||
図12 豚肉の調製品の輸入量 |
豚肉調製品(豚の肉またはくず肉のみから成るものを除く。)やソーセージ類は、関税の緊急措置が発動された場合でも、定率関税で輸入することができるため、増加傾向で推移している。1 6年度は、かた、もも調製品及びソーセージなど全般的に増加した(46.8%)(図12)。 | |
資料:財務省「貿易統計」 注:もも調製品:1602.41-090 調製品その他:1602.49-290 かた調製品:1602.42-090 ソーセージ:1601.00-000 |