畜産物の需給動向

 2 牛肉 


▼輸 入
17年度の輸入量は、45万8千トン(1.7%)と前年度をわずかに上回る

図8 牛肉の輸入量
図9 牛肉の国別輸入量



 輸入量は、ほぼ一貫して、増加傾向にあったが、13年度には、国内初のBSEが確認された影響による消費減退のため大幅に減少し、14年度にも引き続き減少した。15年度には回復基調に転じたものの、カナダや米国におけるBSE発生に伴う輸入停止措置の影響により16年度は大幅に下回り、17年度には458,104トン(1.7%)と前年度をわずかに上回った。  国別では、BSEの発生により一時停止していた北米産の輸入が17年12月12日に解禁されたものの、18年1月20日にせき柱を含む米国産子牛肉が発見されたことから、米国産が再び輸入停止となり、米国産はほとんど輸入されていない。輸入牛肉の約9割を占めている豪州産(▲1.0%)は前年をわずかに下回り、ニュージーランド産(14.2%)増加し、その他の国(112.8%)からは、大幅に増加した(図8、図9、図10、P.168,170)


図10 牛肉の月別輸入量と関税の緊急措置発動状況



米国産
豪州産

図11 米国産牛肉の輸入量

図12 豪州産牛肉の輸入量


 米国産は、特定部位の大量輸入が可能なこと(豪州産はフルセットが中心)、穀物肥育牛肉で日本の求める品質に合っていること等から、急速に輸入量を増やしてきた。

 しかし、13年度には、BSE発生に伴う消費減退から大幅に減少し、14年度にも引き続き大幅な減少となった。15年度には回復に転じたが、米国でのBSE発生に伴い、平成15年12月24日から輸入が停止された。17年12月12日に輸入解禁となったが、18年1月20日せき柱を含む米国産子牛肉が発見され、再び輸入停止をなり、17年度の輸入量は、663トンとなっている。(図11、P.170)。
 冷蔵技術の改良と穀物肥育牛肉の生産拡大などから、冷蔵品を主体とする豪州産の輸入量は、順調に増加してきた。しかし、13年度には、国内のBSE発生による影響から大幅に前年を下回り、14年度も引き続き減少した。15年度には国内の牛肉消費回復に伴い、輸入量も前年の同じ月を上回って推移し、米国産牛肉の輸入停止の影響により、16年には大幅に増加した。17年度は406,218トン(▲1.0%)と前年度をわずかに下回った(図12、P170)。


肉用子生産者補給金(17年度第3四半期)、15年ぶりに全品種交付なし
 17年度の肉用子牛生産者補給金の交付状況を見ると、第1四半期、第2四半期は乳用種のみ、第4四半期はその他の肉専用種についてのみ交付されたが、第3四半期は、5品種すべて保証基準価格を上回った。

 第3四半期の生産者補給金が全品種そろって交付されなかったのは、平成2年度第2四半期以来15年ぶりとなる。
 肉用子牛価格は、肥育コストに直結することから、枝肉卸売価格に強く影響される。17年度は、米国産牛肉の輸入一時停止措置が続いたことから、枝肉卸売価格は品薄高が続いた。このことで、肥育農家の導入意欲が高まり、肉用子牛価格は全品種とも高値で推移した。このことにより、第3四半期は、保証基準価格を上回った。

 

 
米国およびカナダ産牛肉が輸入再開

 平成15年に米国およびカナダでBSEが発生したことに伴い、米国産およびカナダ産牛肉の輸入が停止されていたが、食品安全委員会から、17年12月8日、厚生労働省、農林水産省からの諮問に対し、「米国及びカナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、わが国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価についての答申が出された。これを受けて、12月12日に輸入再開が正式に決定された。輸入停止以来約2年ぶりの輸入再開となる。

 答申では、輸出プログラム(全頭からのSRM除去、20カ月齢以下の牛など)の順守を前提に、米国およびカナダの牛に由来する牛肉などとわが国の全年齢の牛に由来する牛肉などのリスクの差は非常に小さいとした。また、付帯事項として、両省に対して、@米国、カナダが輸出プログラムの順守するよう万全を期すこと、A順守状況の検証結果の報告を、同委員会および国民に対して報告、説明をすること、B管理措置の順守が十分ではない場合など、人へのリスクを否定することができない重大な事態となれば、いったん輸入を停止することも必要−を付け加えた。

 しかしながら、18年1月20日にせき柱を含む米国産子牛肉が発見されたことから、米国産については輸入手続きが停止とされた。