畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼輸 入
17年度の輸入量は、前年度をかなり大きく上回り、43万3千トン(18.7%)

図7 鶏肉の冷凍品、冷蔵品別輸入量
図8 鶏肉の国別輸入量

 鶏肉の輸入量は、そのほとんどが冷凍品で、業務、加工向けなどの需要にあった安価で使いやすい製品が供給されてきたことなどから、13年度までは増加傾向に推移してきた。しかし、15年度以降は主要な鶏肉などの輸入先であるタイ、中国、米国で鳥インフルエンザが発生し、輸入の一時停止や制限措置が採られたことなどから、16年度は前年度をかなり大きく下回った。しかし、17年度は前年度を大幅に上回る433,451トン(18.7%)となった。国別にみるとタイ、中国、米国の代替輸入先として、平成15年度以降輸入が拡大したブラジル産が最も多く、次いで米国産となっている。(P.196,197)。


調製品
図9 鶏肉調製品の国別輸入量
 鶏肉調製品(焼き鳥、チキンナゲット、唐揚げなど)の輸入量は、安い素材を求める外食・業務用製品向けとして、中国産、タイ産を中心に増加傾向で推移していたが、世界的な鳥インフルエンザの発生により、15年度は前年度をかなりの程度下回った。しかし、16年度以降は、輸入が許可された指定工場で生産された加熱調製品の輸入が増大傾向にあり、平成17年度は337,444トン(24.2%)と2年連続で大幅に増加した(図9、P.197)。


国別輸入量
   
図10 中国産鶏肉の輸入量
図11 米国産鶏肉の輸入量

 中国産の輸入量は、国別で最大のシェアを占めていたが、13年度以降、鳥インフルエンザの発生でたびたび輸入一時停止措置がとられたため、大幅な減少が続いた。特に、16年度は925トン(▲97.9)に激減し、17年度も780トン(▲15.7%)とかなり大きな減少が続いている。
 冷蔵品については、日本へ短時間で輸送が可能であり、国産鶏肉の代替需要などもあって、増加傾向で推移していたが、13年度以降は鳥インフルエンザの影響でかなり大きく減少し、16年度以降の実績はない。(図10、P.197)。
 米国産の輸入量は、13年度以降は鳥インフルエンザなどの衛生問題により、たびたび輸入停止措置がとられたため、減少傾向で推移している。17年度は28,370トン(▲10.1%)とかなりの程度減少した(図11、P.197)。


図12 タイ産鶏肉の輸入量と輸入価格(CIF)
図13 ブラジル産鶏肉の輸入量と輸入価格(CIF)

 タイ産は、13年度以降は、中国産、米国産の度重なる輸入一時停止により、需要がタイ産にシフトすることとなり、第1位の輸入シェアとなった。平成16年1月以降、鳥インフルエンザの発生が続いていることから、16年度は大幅に減少し、17年度は54トン(▲21.5%)となった。(図12、P.197)。  ブラジル産は、15年度以降鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられたタイ、中国、米国の代替輸入先として輸入量を伸ばす傾向を強めており、17年度は394,325トン(22.0%)と最大の輸入相手国としての地位を固めた。(図13、P.197)。