畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼小売価格
17年度のもも肉小売価格(東京)は、前年度をわずかに下回る

図21 鶏肉の小売価格(もも肉)
 
 鶏肉の小売価格(もも肉・東京)は、14年度に国産志向に支えられ、卸売価格は年度後半値下がりしたにもかかわらず、小売価格は高い水準を維持した。15年度に入ってからは前年同期とほぼ同水準で推移していたが16年1月の国内での鳥インフルエンザ発生以降は低下傾向となった。17年度も鳥インフルエンザの発生が続いたが、123円/100g(0.8%)と前年度をわずかに上回った(図21、P.198)。



鶏肉調製品の輸入の伸びが顕著に

 世界的な鳥インフルエンザ発生の影響で、わが国の鶏肉輸入量が減少傾向にある中、中国、タイからの鶏肉調製品の輸入は大幅に伸びている。鶏肉調製品の輸入量は一貫してかなりの増加が続いていたが、平成15年度は鳥インフルエンザの影響で前年度比7.9%減の20万2千トンとかなりの程度減少した。しかし、その後は増加基調を回復し、16年度が前年比34.2%増の27万2千トン、17年度が24.2%の33万7千トンと二年連続で大幅に増加している。

 わが国では、食生活の多様化を背景として外食や中食などの業務用、コンビニのレジ周り商品などを中心として炭火焼き鳥、から揚げなどの鶏肉調製品の需要が増加している。また、高価格で推移する牛肉の代替として鶏肉および鶏肉調製品の需要が増大している。

 鳥インフルエンザやニューカッスル病などの家きん疾病が発生している国からでも、一定以上の温度で加熱するなど加工場の衛生処理条件が合致すればわが国の農林水産大臣が指定した加工場で加熱処理された鶏肉調製品の輸入が可能となっている。17年度の鶏肉調製品の輸入量を国別に見ると、中国産が前年比29.5%増の18万5千トン、タイ産が同22.0%増の14万9千トンといずれも大幅に増加している。シェア別に見ると中国産が12年度の59.3%(9万6千トン)から54.9%(18万5千トン)と落ち込んだのに対し、タイ産は同29.6%(4万8千トン)から44.0%(14万9千トン)と14ポイント以上シェアを伸ばした。

 タイとのFTA交渉は、17年9月に行われた両国首脳会談で大筋合意に至っているが、2002年におけるタイからの鶏肉および鶏肉調製品の対日輸出金額は農水産品の中でも第一位および第二位にランクされており、タイ産鶏肉調製品の対日輸出の増加傾向は今後も続くと思われる。