畜産物の需給動向

 1 概況 


17年度の畜産物の消費量は、鳥インフルエンザの影響から回復した鶏肉がかなり増加

図1 畜産物の需要量の推移
図2 1人1年当たり供給純食料の推移



 牛肉の需要量は、15年12月の米国のBSE発生による牛肉の輸入一時停止措置の影響を受けて16年度は前年度を10.5%、17年度は同0.3%下回った。鶏肉の需要量も国内外における高病原性鳥インフルエンザの発生により、16年度は前年度を2.3%下回ったが、17年度は回復し、前年度を6.3%上回った。一方豚肉は、これらの代替需要などにより、16年度の需要量は前年度比3.6%増、17年度同0.1%増とそれぞれ増加した。
 「食料・農業・農村基本計画」(17年3月閣議決定)においては、27年度における望ましい食料消費の姿として牛乳・乳製品95キログラム(うち飲用39キログラム、乳製品55キログラム)、牛肉7.7キログラム、豚肉8.8キログラム、鶏肉9.1キログラム、鶏卵16キログラムとしており、牛乳・乳製品の増加を見込んでいる(図1、2、P.160)。


豚肉加工品仕向量に占める国内物のシェアは10年間で半減

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合の「食肉加工品等流通調査」によると、平成17年度の豚肉の加工品仕向肉量は、405,910トンと前年度を3.8%下回った。その内訳を見ると、国内物74,510トン、輸入物331,402トンとなり、それぞれ前年度を5.5%、3.4%下回った。

 国内物については、と畜頭数の減少などに伴う生産量の減少や卸売価格が高水準で推移したことを反映したものとなっている。

 さらに、輸入物についてもその主な原料となるうで、ももなどの部位が高値で推移したことなどから減少した。
 豚肉の加工品仕向肉量は、減少傾向で推移しているが、輸入物のシェアは近年一貫して増加しており、17年度は81.6%となり、15年度以降8割を超えている。この結果、国内物のシェアは7年度の36.7%から17年度の18.4%となり、10年間で半減した。

 このことから、ハム、ソーセージなどの食肉加工品生産量も減少傾向で推移したため、加工品の輸入量が増加している。ハム、ベーコン、およびソーセージ類の輸入量は過去10年間で年率15%を超える伸び率を示している。


図3 家計消費量の推移(食肉、鶏卵)
図4  家計消費量の推移(牛乳、バター)



 畜産物の家計消費量(全国1人当たり)についてみると、牛肉は15年度に北米におけるBSE発生の影響により前年度を下回り、16年度に入っても米国などからの輸入一時停止措置が継続したことから、前年度を6.4%下回った。引き続き17年度も前年度を0.2%下回った。

 豚肉は、15年度に前年度をわずかに下回ったものの、16年度は牛肉、鶏肉の代替需要から再び増加に転じ、前年度を上回った(3.5%)。17年度もその伸び率は鈍化したものの、前年度を1.7%上回った。鶏肉は15年度に国内外における高病原性鳥インフルエンザの発生により減少し、前年度を下回ったものの、16年度は回復傾向で推移し前年度を上回った(1.4%)。17年度も回復傾向で推移し、前年度を3.6%上回った。また、鶏卵は近年安定的に推移していたが、高病原性鳥インフルエンザの発生による供給量の減少などから、16年度は前年度を下回った(5.9%)。17年度は順調に回復し、前年度を3.1%上回った(図3、P.161)。
 牛乳およびバターの家計消費(全国1人当たり)についてみると、牛乳は他の飲料との競合などから減少し、15年度は前年度比1.5%減、16年度1.7%減、17年度2.8%減と3年連続で減少した。バターも9年度以降減少傾向で推移しているが、16年度に前年度を2.6%上回ったものの、17年度は前年度を2.7%下回った(図4、P.161)。


図5 畜産物の生産量の推移
図6 畜産物の自給率の推移



 畜産物の生産量は、16年度は、牛肉・鶏肉がそれぞれ前年度を0.6%、0.2%上回ったものの、豚肉は前年度を0.9%下回った。一方、17年度は、鶏肉が前年度を4.1%上回ったが、牛肉、豚肉が前年度をそれぞれ2.2%、1.7%下回った。

 鶏卵の生産量は、16年度に鳥インフルエンザの影響から前年度を2.0%下回り、17年度も同0.5%下回った。
 牛乳・乳製品の生産量は16年度に前年度を1.4%下回ったものの、17年度は前年度並みとなった(図5、P.160)。

 食肉の自給率は、微減傾向で推移しているが、17年度(速報)で54%となり、前年度を1ポイント下回った。牛肉、鶏肉とも輸入一時停止措置などの影響を受けた前年度をそれぞれ1ポイント、2ポイント下回る43%、67%となった。

 豚肉、鶏卵については前年度を下回るそれぞれ1ポイント下回る50%、94%となったが、牛乳・乳製品は前年度を1ポイント上回る68%となった(図6、P.160)。