畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼輸 入
輸入量は、5年連続の増加で87万9千トン(1.9%)に

図6 豚肉の冷蔵品、冷凍品別輸入量とCIF
図7 豚肉の国別輸入量


 17年度の輸入量は前年度をわずかに上回り87万9千トン(1.9%)となった。内訳は、冷蔵品は、21万7千トン(14.9%)、冷凍品66万2千トン(▲1.7%)となった。(図6、P.184)

 豚肉の輸入量は、国内外でのBSEの発生や鳥インフルエンザの発生に伴う牛肉・鶏肉の代替需要により、とくに業務・加工向けの冷凍品を中心に増加傾向で推移してきたが、17年度は、冷凍品を主体とするデンマークからの輸入量がかなり大きく減少したため微増にとどまった。

 また、17年4月から6月までの輸入量が関税の緊急措置の発動基準数量に満たなかったことから過去4年連続で8月1日から発動されていた関税の緊急措置発動は回避された。これにより、17年度は月毎の増減が小さく毎月6万トンをベースとした輸入量となった。

 国別輸入量の推移をみると米国が29万トン(13.4%)、デンマーク23万トン(▲14.4%)、カナダ19万トン(0.0%)と続き、16年度米国を抜いてトップのシェアを占めたデンマークは、再び2位となった。デンマークの減少はEU域内流通の増加などが原因でその減少を米国が補った。また、輸入量を最も大きく伸ばしたのはチリで前年比39.3%増の6万トン(冷凍品)と、着実に輸入シェアを拡大させている。(図7、P.185)



図8 豚肉の冷蔵品、冷凍品別輸入量と基準輸入価格

 17年度は、第1四半期までの豚肉等の輸入量が288,909トンとなり、発動基準数量の307,305トンを下回ったことから5年連続の8月1日からの関税の緊急措置は回避された。
その結果基準輸入価格は、1年を通して、部分肉ベースで546.53円となった。(図8、P.186〜188)。



米国産
デンマーク産
   
図9 米国からの豚肉輸入量

図10 デンマークからの豚肉輸入量


 米国産の豚肉は、国内で需要の高い冷蔵品の特定部位を均一な品質で大量に輸入出来ることなどから、冷蔵品総輸入量の約7割程度を占めている。また、冷凍品もソーセージなどの原料用としてうで、ももの輸入量も増加している。

 17年度は、冷蔵品が156,353トン(16.7%)で総冷蔵品輸入量の72%を占め、冷凍品・冷蔵品の合計では291,771トン(13.4%)と全輸入量の33.2%を占めた(図9、P.185)。

デンマークは、ハム、ソーセージおよびベーコンなどの加工仕向け用冷凍品の最大輸入先国である。17年度は、冷凍品が226,455トン(▲14.5%)、冷蔵品との合計では226,712トン(▲14.4%)と前年度の輸入量をかなりの大きく下回ったが、総冷凍品輸入量の34.2%を占めた。

 13年度以降4年連続で前年度を上回って推移していたが、EUの域内流通の増加などを背景に、5年ぶりに前年度を下回った。(図10、P.185)


カナダ産
調製品
   
図11 カナダからの豚肉輸入量

図12 豚肉の調製品等の輸入量


 カナダ産は、米国と競合する冷凍品が徐々に増加する傾向にあったが、17年度は141,601トン(▲5.4%)と前年度をやや下回った。
 また、冷蔵品は14,15年度と前年を下回って推移したたが、16年度以降輸入量を伸ばすとともに、17年度は過去最高の4万7千トンとなり、合計で18万9千トンとほぼ前年並みとなった。(図11、P.185)

 豚肉調製品(豚の肉またはくず肉のみから成るものを除く。)やソーセージ類は、豚肉に緊急措置が発動され基準輸入価格が引き上げられた場合でも、定率関税で輸入することができるため、増加傾向で推移している。17年度は、加工仕向けのうで、ももなどの部位の価格が高水準にあったことなどから、豚肉調製品や、ソーセージ類を輸入する動きが顕著に表れた。特にかた調製品、ソーセージ類がそれぞれ前年度に比べ43.6%、20.6%と大幅に増加した。(図12)