海外編 |
■■■ I 米国 ■■■ |
図1 農産物販売額(2006年度)
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図2 畜産物販売額(2006年度)
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3. 畜産の動向 |
米国は年間8,000万トン強の生乳を生産する世界最大の酪農国である。しかしながら、国内に巨大な消費市場を抱えていることなどから、国際乳製品市場における米国の地位は比較的低いものとなっている。 |
酪農の主な制度には、加工原料乳価格支持制度と連邦生乳マーケティングオーダー制度(FMMO)がある。加工原料乳価格支持制度は、米国農務省(USDA)の1機関である商品金融公社(CCC)が、加工原料乳の支持価格水準に見合う価格でチーズ、バターおよび脱脂粉乳を買い上げることにより、加工原料乳の価格を間接的に支持する制度である。 |
ア.酪農経営体数 |
表2 酪農経営体数、飼養頭数の推移 |
図3 酪農経営体数及び飼養規模の推移 |
イ.飼養頭数と生産量 ウ.経産牛1頭当たり乳量は、70年代中頃以降を見てもほぼ毎年増加傾向で推移しており、2006年では、前年比2.0%増の9,050キログラムとなった。 |
表3 生乳・乳製品の生産量 |
図4 生乳生産量と1頭当たり乳量の推移 |
エ.地域別生産動向 |
(5) 乳製品の政府買い上げ 2006年の商品金融公社(CCC)による余剰乳製品の買い上げは、脱脂粉乳で2万8千トンの買い上げが実施された。 |
表6 乳製品の政府買い上げ数量の推移
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ア.肉用牛繁殖経営体数 イ.飼養頭数 |
図6 種類別と畜頭数(2006年)
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ア.生産動向 |
表8 牛肉需要(枝肉換算)の推移 |
イ.輸出入動向 |
図7 牛肉の輸出量と相手国 |
ウ.消費動向 |
米国の養豚産業は、アイオワ州やイリノイ州を中心とするコーンベルト地帯において、伝統的に穀物生産や肉牛経営の副業として営まれてきた。一方、ノースカロライナ州やオクラホマ州でのインテグレーションの出現が、養豚産業に対し、生産・流通などの面で大きな変化をもたらしてきた。 |
図9 カナダからの生体豚輸入頭数の推移 |
図10 豚肉の輸出相手国(2006年)
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ア.肥育豚価格 イ.豚肉価格 (イ)豚肉小売価格 |
表12 飼育豚、豚肉の価格の推移 |
米国の養鶏産業は、飼料穀物の大生産国という利点を生かし、生産から流通までの一貫したインテグレーションの進展により、極めて効率的な生産が行われている。また、不需要部位のもも肉を中心として、鶏肉生産量の約2割を輸出すると同時に、米国内では、消費者の健康志向からむね肉を中心として消費を大きく伸ばしている。 |
2005年のブロイラーふ化羽数は、前年同様にブロイラー価格が高水準で推移したことから、前年比1.6%増の94億9千万羽となった。 |
2006/07年度のトウモロコシの輸出は、メキシコ向けが大幅に増加(前年度比38.4%増の877万トン)した一方、日本、中国、韓国向けなどが減少したため、全体では前年度比0.4%減の5,399万トンとなった。なお、日本向けの輸出は、前年度比5.3%減の1,510万8千トンと、輸出量全体の28.0%を占めている。 |
(4) 穀物の価格動向 |
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2006/07年度のトウモロコシの生産者販売価格は、飼料および輸出向け需要は前年を下回った一方、燃料用エタノール原料向け需要が増大したことなどから、前年度比52.0%高のブッシェル当たり3.04ドルとなった。 |
表16 トウモロコシ価格の推移 |
米国農務省(USDA)は2006年9月13日、「将来の米国農業の発展に向けた基盤強化」と題した米国農業政策に関する分析資料を公表した。これは、次期農業法の作成段階における透明性の確保、また、同法に米国民の意見を最大限に反映するため、同省が同年5〜8月にかけ四回にわたり公表してきた、同法の改正に向けた主要な政策課題に関する分析資料の五回目かつ最終版となるものであり、これまでの資料と同様、その後の農業関係者による同法改正に向けた議論の際、広く活用されることとなった。 新農業法をめぐる5つの論点 米国の農業政策は、おおむね5年ごとに行われる農業法の改正により大枠が定められる。2002年5月に制定された現行農業法の失効を2007年9月に控え、USDAは2005年3月から同年末にかけ、全米48州の52カ所で農業者との意見交換会を開催し、2006年3月には、これらの意見交換会で農業関係者から出された意見などを41本の論点にまとめた意見概要を公表していた。 |
米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)は2006年6月、乳製品の製造コストの上昇などを踏まえ、連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度におけるクラスV(チーズ・ホエイ向け)およびクラスW(バター・粉乳向け)の生乳価格の算定方法(具体的には加工経費係数)を修正し、最低取引価格を引き下げるよう規則の変更を提案した。 乳業団体はチーズ向け価格のさらなる引き下げを提案 米国内の乳業メーカーなどで組織される国際乳製品協会(IDFA)は10月10日、チーズには生乳中の9割の乳脂肪しか含まれないことなどを理由に、計算方式を変更してクラスVの価格をさらに引き下げるよう、USDA/AMSに意見を提出したことを公表した。 一方、米国内の酪農家の8割弱が加盟する全国生乳生産者連盟(NMPF)は10月4日、クラスVおよびクラスWに関する規則変更により、自動にクラスTおよびクラスUの最低取引価格も引き下げられるという現行制度への懸念を表明し、USDA/AMSに対してクラスTおよびクラスUについて新たな算定方法を定めるよう求めるとともに、ジョハンズ米農務長官(当時)に対して緊急に公聴会を開催するよう求めたことを明らかにした。 |
USDA・DOE、1,750万ドルの財政支援を実施 ジョハンズ米農務長官(当時)およびボドマン同エネルギー省長官は2006年10月11日、セントルイスで開催した再生可能燃料推進会議において、米国の海外への石油依存度を縮小するため、トウモロコシをはじめ、大豆ミール、セルロースなどからのバイオ燃料の生産などに関する調査・開発計画に対し、総額1,750万ドルの資金を提供することを公表した。 米大統領の先端エネルギーイニシアティブ推進の一環 再生可能燃料推進会議は同月10〜12日に、USDAおよびDOEの共催により、ブッシュ米大統領が同年初めの一般教書演説で掲げた、先端エネルギーイニシアティブ(Advanced
Energy Initiative、AEI)の推進を目的として開催された。このAEIは、米国における自動車燃料、また、一般世帯・商業施設への電力供給手法の転換により、環境汚染を削減し、安価で、かつ代替・再生可能なエネルギー源の商業化を加速することを柱としていた。 |