畜産物の需給動向

 8. 輸出 

▼概 況

 政府は、農業総産出額の減少や少子高齢化などによる国内市場の縮小が懸念されることから、新たな市場の開拓が重要であるとし、農林水産業が21世紀にふさわしい戦略産業に成長することを目指している。このため、農林水産物・食品の輸出額を2013年には1兆円規模とする目標が示された。また、2005年4月、国産の食品等の輸出を推進することを目的に、農林水産物等輸出促進全国協議会が設立され、官民が一体となって取り組みが進められている。畜産物に関しても品質の高さや安全性などが評価されるとともに、経済の発展による富裕者階級の拡大などからアジアを中心に海外においてその需要が高まっている。

 当機構としても、上記協議会に参加するとともに、ホームページにおいて「畜産の情報」や「野菜情報」などに掲載された輸出促進に関する情報や、機構が支援している国内食肉の海外における需要・販路拡大を図るための「国産食肉等輸出促進事業」などの事業を紹介している。(http://alic.lin.go.jp/international/export/index.html

 2008年度まで過去10年間の主要な畜産物の輸出状況を同統計から概観したい。なお、文中のグラフのデータは財務省「貿易統計」からであり、各項目横に今回使用した統計番号等を示した。

 また、農林水産省の取りまとめた我が国の農林水産物・食品輸出額の推移は次の表のようになっている。この中の農産物に畜産物は含まれ、2008年の食肉及び牛乳乳製品などの輸出合計金額は342億円となっており、農産物輸出額の約8パーセントを占めており、農林水産物全体では伸び悩み傾向の中、前年に比べて5割近い増加となった。


表1 我が国の農林水産物・食品輸出額の推移