海外編 |
中国の経済は、96年から2000年までのデフレ時代を経て、昨今の経済成長率は10〜13%という水準を維持している。その要因としては、工業生産の拡大、海外からの投資拡大や国民生活水準の向上による消費の伸びなどが挙げられる。2007年の経済成長率は、前年に引き続いて中国政府が「科学的な発展観」に基づき投資と消費の関係を合理的に調整するとした、いわゆるマクロコントロール政策による景気の引き締めなどがあったものの、投資や貿易などに支えられ、前年を1.5ポイント上回る13.3%と5年連続で10%以上の高い伸びを示した。2007年の都市部登録失業率は、国有企業改革の影響などで上昇を続けた2003年までに比べ、好調な経済と雇用創出により、前年を0.1ポイント下回る4.0%となった。 なお、中国は世界最多の13億2,129万人の人口を有しているが、その約55%は農村部に住んでおり、都市部との貧富の格差が著しいのが実態である。最近は、都市部への大規模な人口流入による諸問題に加え、同一地域内における格差問題なども表面化し始めている。 2007年の消費者物価上昇率は、住宅、自動車、通信関連などの需要が旺盛で、過熱投資に基づく工業品の供給過剰もあったものの、食肉などを中心に価格が大幅に上昇したことなどから、前年を3.3ポイント上回る4.8%となった。 この背景には、(1)2006年上半期に豚の価格が下落を続け、その損失軽減のため、養豚農家が母豚のと畜や子豚の安売りなどを行った影響から、2007年上半期に至って豚の飼養頭数および出荷頭数が減少したこと、(2)豚の主産地で発生した豚繁殖・呼吸器障害症候群(Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome:PRRS)などの影響で、母豚の流死産が多発し、豚の飼養頭数減少に拍車が掛かったこと、(3)世界的なトウモロコシ価格の高騰などの影響から、国内外の飼料価格など生産資材の価格が持続的に上昇し、生産コストが増加したこと、(4)大洪水などにより、生産地と消費の間の輸送路の分断が少なからず発生したこと、(5)原油高によるガソリン価格などの高騰により、輸送コストが増加したこと―などから、食肉生産量の3分の2を占める豚肉価格が記録的に高騰したことがある。 |
貿易は、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に伴う関税品目の約7割の輸入関税の引き下げ、国内の経済成長や生産力の向上、為替相場の影響などから、2002年以降輸出、輸入とも大きく増加しており、2007年は輸出額、輸入額とも前年をそれぞれ25.9%、20.8%上回る大幅な伸びを示し、貿易収支は2,618億ドルの黒字となった。 |
表1 主要経済指標
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中国は、日本の約26倍に当たる960万平方キロメートルの国土を有しており、そのうち2007年の耕地面積は前年比0.03%減の1億2,174万ヘクタール(中国国土資源部「2007年中国国土資源公報」による)であった。 また、農家経営規模を農家人口1人当たり経営耕地面積で見ると、ここ数年は全体として増加する傾向にある。しかし、退耕還林政策(後述)などにより耕地面積が減少する一方、農村部の常住人口は年々増加しているといわれ、実態は、農家人口1人当たりの耕地面積は年々減少しているものと推測される。識者によると、このような乖離(かいり)が生ずる要因として、耕地の現有面積の統計上の問題などが挙げられている。 |
農林牧漁業の総産出額および部門別の生産額の推移を見ると、総産出額は85年から95年の10年間で大幅な増加を見たが、95年以降は比較的緩やかな増加で推移している。 農林牧漁業の生産額の分野別構成比では、農産物は80年には全生産額の75.6%であったが、2007年には50.4%と低下し、畜産物が18.4%から33.0%、水産物が1.7%から9.1%へと増加しており、国民所得向上による消費構造の変化がうかがえる。 |
表2 耕地面積と農家人口(農村部)
1人当たり経営耕地面積の推移 |
中国の酪農は、古くは中国北部や西部居住の少数民族地域の遊牧民が、黄牛(東南アジアから中国北部にまで分布する黄褐色の牛の総称)やヤクの乳を利用して乳製品に加工する自給自足型の農業であったが、改革開放政策が実施された以降、急速に発展している。また、経済発展に伴う生活水準の向上による都市部を中心とした食生活の西洋化や、中央・地方政府などによる栄養価値に関する普及啓発などもあり、牛乳の消費も拡大している。国連食糧農業機関(FAO)によると、2007年の中国の生乳生産量(牛のみ)は3,282万トンで世界第3位(全世界のシェア5.9%)となっているものの、生産拡大に向けた乳牛の改良や飼養管理、衛生管理、飼料確保、酪農家の集約化に加え、コールドチェーンほか流通体制の整備など、今後に向けての課題も多い。 |
国家評議会は89年、酪農・乳業を初めて国家経済の発展を推進するための重要な産業と位置付け、融資、技術、インフラ支援などの政策を確立した。さらに97年、国務院は「全国栄養改善計画」により酪農・乳業を重点的発展産業とするとともに、2000年には、小・中学生(学制の違いにより、日本の小・中学生とは必ずしも一致しない)に対する飲用牛乳の摂取を促進し、児童・生徒の体位向上と牛乳・乳製品の消費拡大などに資するため、「学生飲用乳計画」を実施した。その後も、酪農・乳業企業を重要な発展企業として支援することが決定されるとともに、生乳生産基地の発展計画などが相次いで実施に移されている。 なお、中国では学校給食の普及率が低いことに加え、その食習慣から、児童・生徒の多くは朝食を十分に摂取しておらず、午前10時ころになると多くの者に血糖値の低下が見られる。このため、学校給食と学生飲用乳の提供は切り離して考えられ、牛乳が午前中に提供されている学校が多いとされている。 |
学生飲用乳の提供風景
(雲南省昆明市:2時間目の休み時間) |
ア.飼養頭数 |
図1 乳牛飼養頭数と生乳生産量の推移
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表3 乳用牛飼養頭数の推移
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中国の乳用牛は、一般に3分の2がホルスタイン種およびその交雑牛などで、3分の1程度がシンメンタール種、在来牛である黄牛タイプの三河牛種・草原紅牛種などの純粋種であるといわれている。これらのうち主要な乳用牛は、黄牛雌牛とホルスタイン雄牛の交雑種に、さらにホルスタイン雄牛を累進交配して作出された中国黒白花牛(Chinese Black and White)と呼ばれる品種で、中国では85年以降、ホルスタイン種の血統が87.5%以上のもの(=ホルスタイン雄牛を三代以上交配したもの)を中国ホルスタインと呼んでいる。しかし、乳牛の改良や飼養管理技術などが先進国に比べてまだ遅れていることや、乳肉兼用種も飼養されていることなどから、乳牛の生産性はまだ低く、中国の1頭当たり年平均生乳生産量は約3,500〜4,200キログラムとされている。 |
イ.生乳生産量 |
表4 牛乳需給の推移
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ウ.地域別生産動向 |
なお、飼養頭数の最も多い地域である内蒙古自治区(乳牛飼養頭数251万2千頭、全国シェア20.6%)、新彊ウイグル自治区(同210万5千頭、17.3%)および河北省(同145万8千頭、12.0%)の3省・自治区で飼養頭数シェア49.9%、生乳生産シェア45.3%を占めるが、特に内蒙古自治区の生乳生産量(前年比4.7%増)は、2003年に黒龍江省を抜いて以降、全国第1位の座を揺るぎないものとしている。 また、天津市(67万2千トン)、北京市(62万2千トン)、上海市(22万トン)などの大・中都市郊外でも生産が行われ、生産規模や飼養管理水準の高さに加え、能力の高い輸入乳用牛の導入などもあり、近年急速な成長を見せている。 |
内蒙古・フフホト市郊外の放牧風景
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ア.消費動向 中国国家統計局による2007年の都市部における1人当たり牛乳・乳製品消費量は、前年比2.6%減の24.87キログラムとなった。ただし、都市部における牛乳・乳製品消費量の伸びは、その主要品目である牛乳類(中国で鮮乳・純牛乳などと呼ばれているもので、日本の統計上は、牛乳や加工乳、乳飲料など「飲用牛乳等」と分類されているもの)が、需要の伸びの落ち着きなどにより鈍化している(2007年の1人当たり消費量:前年比3.1%減の17.75キログラム)ことから、ここ数年は全体に頭打ちの傾向にある。 一方、農村部における消費量は、年を追うごとに徐々に増加しており、2007年の1人当たり牛乳・乳製品の消費量は、同11.7%増の3.52キログラムとなり、5年前の2002年と比較すると2.2倍にまで増加した。しかし、たんぱく源を食肉、卵、水産物に求め、牛乳・乳製品に対するなじみが薄いという食文化の伝統や所得面の理由などから、絶対量としては依然として少ないものとなっている。 |
図2 1人当たり牛乳・乳製品の消費量の推移
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表5 1人当たり牛乳・乳製品の消費量の推移
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イ.乳製品需給 2007年の粉乳の需給について見ると、全粉乳の消費量は前年比6.2%増の113万7千トンと引き続き増加し、生産量も同11.7%増の115万トンと伸びを示したものの、生産量の伸びが消費量を上回ったことから、輸入量は同20.3%減の5万9千トンとなった。全粉乳は、還元乳やヨーグルト、アイスクリーム、焼き菓子などの原材料として用いられるが、2006年末から2007年後半に乳製品の国際価格が急騰する一方で、中国国内の強い需要にけん引されて国内生産量が増加したことから、国内の全粉乳ユーザーは、国際相場よりも安価とされる国産品を使用する方向にシフトしているといわれる。 これに対し、脱脂粉乳は、2004〜2005年にかけて中国各地で発生した粉乳の安全性をめぐるさまざまな事件によって、2年連続で消費量が減少したことから生産量も減少を続けたほか、2005年には輸入量も減少に転じた。その後、粉乳の品質管理の向上などにより、2006年の消費量はわずかに増加した。中国では、脱脂粉乳は国内生産量が少なく、輸入量とほぼ半々で国内需要を賄っているため、国際相場の変動が消費に大きな影響を与えるとされる。このため、乳製品の国際価格急騰を背景に、2007年の消費量は同19.0%減の9万4千トンにとどまった。 |
表6 全粉乳需給の推移
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表7 脱脂粉乳需給の推移
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中国では、脱脂粉乳を溶いて飲む習慣は比較的新しいもので、大都市の年配者が健康上の理由で消費するのが主流であるといわれている。米国農務省(USDA)は、脱脂粉乳の生産量は一時的には減少するものの、堅調な国内需要と国際価格の下落を背景に、今後は徐々に増加基調を示すと予測している。 中国海関総署によると、2007年の牛乳・乳製品の主要輸入相手国はニュージーランド(NZ)、米国、フランスおよびオーストラリア(豪州)などで、これら4カ国が中国の牛乳・乳製品輸入量に占める割合は8割弱とされる。品目別には、粉乳類やホエイなどの輸入量が多いが、伸び率では、チーズの輸入量が前年比3割以上の増加となった。また、輸出については、香港特別行政区、台湾、タイ、シンガポールおよびアンゴラなどアジア・アフリカ地区向けが多く、これら5カ国・地域向けが、中国の牛乳・乳製品輸出量の6割強を占めている。品目別には、粉乳類や液状乳の輸出量が多く、香港、台湾向けのウェイトが大きい。 |
図3 牛飼養頭数と牛肉生産量の推移
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表8 牛飼養頭数の推移
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なお、中国では野草地などの放牧地が不足しているため、過放牧による土壌流出などの環境問題も発生しており、牛飼養頭数の大幅な拡大を阻害する要因となっている。こうした背景もあり、中国では99年から、過剰な開墾で表土の流失が著しい傾斜耕地や砂漠化・アルカリ化などが深刻な地域の耕地を林地または草地に戻す「退耕還林政策」が実施されていたが、国務院は、耕地の予想以上の減少懸念などを背景に、2007年8月9日付け国務院通知をもって、第11次5カ年規画の期間(2006〜2010年)内に実施予定の約133万ヘクタール規模の退耕還林について、2006年分として配置済みの約26万7千ヘクタールを除き、当面実施しないとした。 |
2007年の牛肉生産量は、前年を6.4%上回る613万トンとなった。主要な生産地区の生産量を見ると、河南省82万1千トン(全国シェア13.4%)、山東省69万2千トン(同11.3%)、河北省57万7千トン(同9.4%)、吉林省47万6千トン(同7.8%)、内蒙古自治区39万4千トン(同6.4%)、遼寧省38万2千トン(同6.2%)、黒龍江省33万2千トン(同5.4%)、新彊ウイグル自治区31万4千トン(同5.1%)などとなっている。 1人当たり牛肉消費量は、2003年以降、4〜5キログラム前後で推移しており、2007年は前年比7.0%増の4.6キログラムとなった。 |
表9 牛肉需給の推移
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牛肉輸入量は、WTO加盟に伴う関税率の引き下げから、2002年には2万6千トンと前年を4割強上回った後、2004年以降は減少ないし横ばいとなったが、2007年は北京オリンピック(2008年8月開催)に向けた好景気などを背景に、前年比2.7倍の8千トンとなった。主な輸入先は豪州、NZとなっており、輸入牛肉は、国産と比較して高品質なため、主に大都市の富裕層や高級ホテル向けなどに供給されている。 2007年の牛肉輸出量は、内需の拡大などから8万1千トンと前年を1割下回った。主な輸出先はヨルダン、クウェート、レバノン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなど中東諸国、香港特別行政区および韓国であった。 |
2007年の牛肉卸売価格は、著しい経済成長に伴う畜産物消費構造の変化や豚肉価格急騰などを背景とした牛肉消費の伸びなどに支えられ、前年比20.2%高の1キログラム当たり19.78元となった。しかし、中国国家統計局による1人当たりの消費量は、都市部で豚肉18.21キログラムに対し2.59キログラム、農村部で同じく13.37キログラムに対し0.68キログラムと、依然として低い水準にある。 |
表10 牛肉価格の推移
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豚肉は、中国の食肉総生産量の3分の2を占めており、歴史的にも最も好まれている食肉である。FAOによると、2007年の中国の豚肉生産量は6,115万トンと世界第1位であり、そのシェアは、全世界の5割強を占めている。しかし、年間と畜頭数と飼養頭数との比は1.28で、欧米諸国では1.5以上となっているのに対し、近年その生産性は向上しているものの、依然として欧米水準には達していない。また、国民の赤肉志向と生活水準の向上に伴い、脂肪の多い中国在来種と赤肉の多い外来種との交雑による肉質改善が取り組まれている。 2006年上半期に豚の価格が下落を続け、その損失軽減のため、養豚農家が母豚のと畜や子豚の安売りなどを行った影響から、2007年上半期に至って豚の飼養頭数および出荷頭数は減少した。また、豚の主産地で発生したPRRSなどにより母豚の流死産が多発し、豚の飼養頭数の減少に拍車を掛けたものの、2007年後半以降、飼養頭数は徐々に回復した。これにより、2007年の豚飼養頭数は、4億3,990万頭と前年を5.1%上回った。 |
図4 豚飼養頭数と豚肉生産量の推移
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表11 豚飼養頭数の推移
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中国では、従来から農家の副業として2〜5頭程度の豚を飼養し、有機肥料としての堆肥(たいひ)利用が行われている。近年は大規模な専業経営の養豚農場も都市近郊を中心に増加しているものの、このような副業経営が出荷頭数に占めるシェアは4分の3と、依然として豚肉生産において大きな地位を占めている。 豚の飼養頭数を地域別に見ると、中央平原地帯である四川省5,295万8千頭(全国シェア12.0%)、河南省4,185万5千頭(同9.5%)、湖南省3,772万頭(同8.6%)、山東省2,656万5千頭(同6.0%)、雲南省2,457万6千頭(同5.6%)、湖北省2,290万6千頭(同5.2%)、広東省2,275万1千頭(同5.2%)などとなっており、7省で全体の52.1%を占めている。 |
2007年の豚肉生産量は、出荷頭数の減少などにより、前年を7.8%下回る4,287万8千トンとなった。生産量は、90年から95年にかけて58%増加したが、近年は安定的に推移している。主要な生産地区の生産量を見ると、四川省408万5千トン(全国シェア9.5%)、湖南省348万5千トン(同8.1%)、河南省339万トン(同7.9%)、山東省300万1千トン(同7.0%)、湖北省236万9千トン(同5.5%)、広東省235万4千トン(同5.5%)、河北省225万5千トン(同5.3%)などとなっている。 |
表12 豚肉需給の推移
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1人当たり豚肉消費量は、2003年以降、32〜35キログラム前後で推移しており、2007年は供給量の減少や価格急騰の影響などもあり、前年比7.7%減の32.3キログラムとなった。 2007年の豚肉輸入量は、国内供給量の減少を背景に、19万8千トンと前年の2.2倍となった。主な輸入先は米国、カナダ、フランス、デンマーク、アイルランド、台湾などとなっており、主として大都市の富裕層や高級ホテル、レストラン向けなどに供給されている。 2007年の豚肉輸出量は、35万トンと前年を41.2%下回った。主な輸出先は香港特別行政区、韓国、キルギスタン、ベトナムなど近隣諸国が中心となっている。また、香港向けを主体として、2007年は160万9千頭(うち香港向け149万2千頭:シェア92.7%)の生体輸出も行われている。 |
2007年の豚後肢肉の卸売価格は、前年比54.4%高の1キログラム当たり16.77元となった。豚肉価格高騰の原因については、「1.一般経済の概況」で詳しく述べたので、そちらを参照されたい。 |
表13 豚肉価格の推移
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2007年の家禽(かきん)飼養羽数は、50億2千万羽と前年を3.7%上回った。養鶏産業はインテグレーションによる急成長から、98年以降供給過剰に陥り、価格が低迷したため、輸入鶏(ブロイラー)から、国内需要が高く中国人の好みに合う風味や歯ごたえのある鶏肉が生産できる在来鶏、いわゆる地鶏への生産転換が国内向けに行われている。在来鶏と輸入鶏との交配による品種改良も盛んに行われており、鶏肉生産の約半分がこの改良種により行われている。 2007年の鶏肉(ブロイラー)生産量は、前年比9.1%増の1,129万1千トンとなり、近年一貫して増加傾向で推移している。 |
鶏肉輸出は、2001年後半以降、家畜衛生や飼養管理という困難な問題に直面している。すなわち、鳥インフルエンザ、ニューカッスル病など家禽感染症の発生に加え、抗生物質の残留問題などにより、EUや日本などにおいて中国産鶏肉などの輸入一時停止措置が講じられた。このため、鶏肉輸出量は2002年以降減少を続けたが、2005年は上半期を中心に香港などへの輸出が回復基調となって増加に転じた。 |
表15 鶏肉需給の推移
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しかし、2005年下半期に一部地域で発生した鳥インフルエンザの影響などで、2006年は上半期の生産収益が大幅に減少して農家の飼養意欲が低下し、その後の需要の高まりにより下半期には生産が回復した。これにより、2007年は前年比11.2%増の35万8千トンとなった。主な輸出先は香港特別行政区、マカオ特別行政区のほか、バーレーン、イラク、アゼルバイジャンなど中東を含む西アジアが中心となっているが、中国の鶏肉輸出量は、生産量の約3%を占めるにすぎない。 なお、2006年3月、米国は中国産の加熱処理済み家禽肉の市場を開放したが、その対象は米国またはカナダから輸入された生鮮家禽肉を中国で加工したものとされる。しかし、中国国内でと鳥処理された鶏肉のUSDA承認工場が国内になく、中国産鶏肉の米国向け輸出に結びつかないことや、輸入生鮮肉の加工後の再輸出自体に中国業界があまり興味を示さなかったことなどから、鶏肉の米国向け輸出は減少傾向で、最近数年間はほとんど輸出がないに等しい状況にある。 |
鶏の生体卸売価格は、2005年下半期の鳥インフルエンザ発生の影響などで2006年上半期は下落を続けたが、堅調な鶏肉需要などに支えられ、5月になって底上げし、12月には年内最高を記録した。その後、豚肉価格の急騰に伴い、中国では豚肉の代替効果が最も強いといわれる家禽肉の需要が増加したこと、飼料価格高騰の影響などから、2007年は前年比41.6%高の1キログラム当たり12.21元となった。また、2007年の鶏肉(丸どり)卸売価格は、同様に30.2%高の同10.87元となった。 |
表16 鶏肉価格の推移
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図5 鶏肉需給と卸売価格の推移
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