ALIC/駐在員トピックス

海外駐在員トピックス

平成16年(2004年)10月分


 
◎ 欧州委、BSEのヤギについてさらなる調査を依頼 
  【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月28日発】】
◎ 欧州委、タイからの猛禽類の不法輸入で、鳥インフルエンザ感染の警戒を呼びかけ 
  【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月26日発】】
◎ アヒルの野外飼養禁止へ(タイ) 
  【シンガポール駐在員事務所 平成16年10月21日】
◎ ブラジル政府、遺伝子組み換え大豆の作付け・販売を暫定的に承認 
  【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成16年10月18日発】
◎ 鳥インフルエンザ対策緊急予算を承認
  【シンガポール駐在員事務所 平成16年10月13日】
◎ 遺伝子組み換え体に係るラベル表示は順守
  【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成16年10月13日発】
◎ EU、特定危険部位(SRM)を一部見直し
  【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年10月11日発】
◎ 欧州委、2003/04年度生乳供給量を公表
  【ブリュッセル駐在員事務所 平成16年10月5日発】


◎ 欧州委、BSEのヤギについてさらなる調査を依頼

【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月28日発】

 欧州委員会は10月28日、フランスの研究グループがヤギの中に牛海綿状脳症(BSE)とは区別がで
きない検査結果を示すものを発見したという報告を受け、専門家によるパネルにおいて評価を受けるた
め、フランスの研究グループから得たデータをEUのTSE参照研究所(CRL:Community Reference 
Laboratory)に送付したことを発表した。分析結果が出るまでには、2週間程度かかると見込まれて
いる。
 2002年にフランスにおいて、EUの伝達性海綿状脳症(TSE)の検査プログラムとして行われたヤ
ギについてのTSE検査において、通常のスクレイピーとは異なる型のTSEに罹患したことが疑われ
るヤギが初めて確認された。その後この疑いのあったヤギの脳を使用し、さらなる科学的な研究が行わ
れてきたが、フランスの研究グループによると、このヤギの脳は、BSE陽性であるとの結論となった。
EUの専門家パネルが、イギリスのウェイブリッジにあるCRLの調整の下分析し、フランスの研究グ
ループから得たデータについて、今回の発見の意味するものや更なる調査の必要性について欧州委員会
にアドバイスを行うこととなる。なお、専門家パネルや欧州食品安全機関(EFSA)からの意見が出
るまでは、欧州委員会としては新たな対策を提案しないとしている。
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◎ 欧州委、タイからの猛禽類の不法輸入で、
                         鳥インフルエンザ感染の警戒を呼びかけ

【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月26日発】

  欧州委員会は10月24日、10月18日にバンコクを発ち、18日にウィ−ンに入り、その日のうちにブリュ
ッセルに到着した乗客のうち、特定の航空機を利用した人に対し、インフルエンザの症状(吐き気、発
熱、悪寒)が出た場合は医師の診断を受けることなどの注意を促している。これは、10月18日にブリュ
ッセル国際空港の税関において、乗客がタイから2羽の猛禽類を不法で持ち込んだことが判明し、この
猛禽類からH5N1型の鳥インフルエンザウィルスが検出されたためである。ベルギー衛生当局は、こ
の件に関し、鳥インフルエンザに感染している恐れのある乗客を探し出すことについて欧州委員会に協
力を要請した。
  このような呼びかけを行っているのは、動物から人への鳥インフルエンザの感染の危険性は非常に少
ないものの、この猛禽類が、手荷物として航空機の客室に持ち込まれたため、念のための注意喚起であ
る。発見された猛禽類は、同空港内の隔離施設に収納されており、欧州内の家きんへの感染の危険性は
ない。現在EUでは、アジアでの鳥インフルエンザ発生以降、同地域からの生きた家きんなどの輸入を
一時停止している。
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◎ アヒルの野外飼養禁止へ(タイ)

【シンガポール駐在員事務所 平成16年10月21日】

 タイ政府は、アヒルの野外での飼養を全面的に禁止することとした。これは、アヒルが鳥インフルエン
ザウイルスに感染した場合、鶏と比べて抵抗力があり、生きたままでウイルスを伝播する可能性があるた
めである。同政府は、アヒルとその卵の買い上げ費用30億バーツ(78億円:1バーツ=2.6円)とウィン
ドレスの飼養施設建設に対する補助などの予算化の作業に着手したとされている。なお同国には350万羽
のアヒルと2万カ所の飼育場があり、離職者への対応も課題となっている。
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◎ ブラジル政府、遺伝子組み換え大豆の作付け・販売を暫定的に承認

【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成16年10月18日発】

 ブラジル政府は10月15日、2004/05年度において遺伝子組み換え(GM)大豆の作付け・販売を条件付き
で承認する暫定令第223号(2004年10月14日付け)を公布した。

 現在連邦議会では、遺伝子組み換え体の作付けや販売などを規定するための法律が審議継続中であるが、
リオグランデドスル州などではGM大豆の作付け時期を迎えていたためそれに対応した措置であり、ロドリ
ゲス農相は同月15日コミニュケの中で、「政府は数週間前、生産者が安心してGM大豆を栽培する合法的な
手段を提供することを約束し、それを守った。“合法的に大豆栽培を可能とする環境を実現できたことが
もっとも大切なことだ”」としている。
 
 なお当暫定令の概要は、@生産者が自ら利用するために自家増殖し保管していた2004年産GM大豆種子は
同年12月まで作付けが認められるが、GM大豆種子として販売することや州外に所有する農場で利用するこ
とは禁止、A2005年に収穫されるGM大豆の販売は2006年1月31日までとするが、60日間の延長が可能、
BGM大豆の作付け・販売は、2004年12月31日までに誓約書に署名し指定機関に提出することによって可能
−などとなっている。
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◎ 鳥インフルエンザ対策緊急予算を承認

【シンガポール駐在員事務所  平成16年10月13日発】

  タイ政府は閣議で鳥インフルエンザ対策として9億バーツ(24.3億円:1バーツ=2.7円)の緊急予算
を承認した。対策内容はウイルス研究費、予防、監視、国民への周知などに充てられるとされた。一方、
要望があった3億バーツ(8.1億円)に相当する家きん用鳥インフルエンザワクチン開発予算は承認され
なかった。政府は10月から鳥インフルエンザ集中対策を行っており、鳥インフルエンザ再発をコント
ロール出来なかった責任で、タクシン首相は先週の内閣改造により農業相と保健省次官を更迭している。
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◎ 遺伝子組み換え体に係るラベル表示は順守(ブラジル)
【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成16年10月13日発】

 ブラジルでは現在、遺伝子組み換え体の栽培や販売などを規定するための法律が連邦議会において審議
継続中であり、実際は2003/04年度のGM大豆の作付け・販売を条件付きで承認した暫定令第131号(2003
年9月25日付け。なおこの暫定令は後に法令第10814号となる)に基づいて、GM大豆が流通している。

 このような中、10月8日ブラジル法務省は、検査した製品すべてにおいて遺伝子組み換え体(GMO)の
混入率が0.1%以下であったことを発表した。8月末にサンパウロ州、パラナ州など9州の消費者保護団
体が34サンプルを収集し、それらを試験場で分析した結果を法務省が今回公表したものである。

 ブラジルではGMOの混入があることを消費者に知らせるため、大統領令第4680号(2003年4月24日付け)
によりGMOの混入率が1%以上の製品はラベル表示する義務があるが、今回の検査結果によれば、法令は
順守されている。
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◎ EU、特定危険部位(SRM)を一部見直し

【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月11日発】

 EUでは、特定危険部位(SRM)を変更し、9月13日から適用している(EC/1492/2004)。今回の変
更は、従来SRMと指定している脊柱のうち、頚椎の棘突起、胸椎の棘突起、腰椎の棘突起、頚椎の横突
起、正中仙骨稜をSRMから除外するものである。今回のSRMの変更に係る部分の規定を、従前のもの
と比較すると表1のとおりであり、EUにおける現時点におけるSRMは表2のとおりである。

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◎ 欧州委、2003/04年度生乳供給量を公表

【ブリュッセル駐在員事務所  平成16年10月5日発】

 欧州委員会は10月1日、2003/04年度(2003年4月〜2004年3月)のEU加盟15カ国の生乳供給量の速
報値を公表した。これによると、生乳生産割当枠(クオータ)に対する生乳供給量は、108万9,324トン超
過し、これに伴う課徴金が3億8,809万ユーロ(約527億8千万円:1ユーロ=136円)になる。

 EUの生乳生産は、1984年から加盟各国別にクオータを定め、これを超過した分についてペナルティー
として生乳指標価格の 115%の課徴金を課す制度となっている。

 今回の発表による農家が乳業者へ出荷する「出荷クオータ」についてみると、EU全体ではクオータ1億
1,778万トンに対し、生乳供給量は1億1,831万トンと約53万トン超過した。これを加盟国別にみると、9カ
国でクオータを107万8千トン超過し、その課徴金は3億8,403万2千ユーロ(約522億3千万円)となる。
これは前年を約22万5千トン上回る。最も超過量が多い国は、イタリアで、前年より超過量を約15万トン
減少させているものの、超過量は46万9千トン、課徴金1億6,691万ユーロ(約277億円)である。イタリ
アは、1995/96年度以降毎年クオータを超過している常連国となっている。
 イタリアに次ぐ超過は、ドイツで37万トン、課徴金1億3,180万ユーロ(約179億2千万円)、オースト
リアで8万8千トン、課徴金3,138万ユーロ(約42億7千万円)と続いている。
 出荷クオータを超過しなかった国は、ギリシャ、スペイン、フランス、ポルトガル、フィンランド、ス
ウェーデンの6カ国であった。

 農家が直接消費向けに販売する「直接クオータ」ついてみると、EU全体として、生乳供給量がクオー
タを超過していないが、国別にみると、イギリス、オランダ、ルクセンブルグの3カ国が超過した。イギ
リスは、8,704トン超過の課徴金310万ユーロ(約4億2千万円)、オランダは、2,684トン超過の課徴金
96万ユーロ(約1億3千万円)、ルクセンブルグは、10トン超過の課徴金3,563ユーロ(約48万円)である。

 なお、課徴金は1トン超過につき、356.27ユーロ(約4万8千円)である。

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