ALIC/駐在員トピックス
平成17年(2005年)6月分
◎ 米国農務省、2例目は米国産牛であったことを公表 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月29日発】 ◎ 米国農務省、2例目のBSE患畜確認を公表 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月24日発】 ◎ 米国農務省、BSE疑陽性牛の脳サンプルを英国へ送付 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月17日発】 ◎ 米国農務省、過去のBSE擬陽性例について追加検査を実施 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月13日発】 ◎ ブラジルのMS州で発生した鶏病からニューカッスル病ウイルス(NDV)を同定 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月8日発】 ◎ ブラジル農務省、MS州で発生した鶏病の原因発表を1日延期 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月7日発】 ◎ NZフォンテラ、05/06年度の支払乳価は引き下げの見込み 【シドニー駐在員事務所 平成17年6月7日発】 ◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で鶏に病気が発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月1日発】
◎ 米国農務省、2例目は米国産牛であったことを公表 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月29日発】 米国農務省(USDA)は6月29日、今回のBSE患畜に関する疫学的調査の進捗状況を公表し た。今回の陽性牛が生産されたと考えられていたテキサス州の牛群の2頭と当該牛の間でDNA分 析により直接関係が確認され、米国産牛であることが判明した。USDAは、当該牛のサンプルと 調査の対象となっている牛群の血液サンプルのDNAの比較分析を行っていた。なお、飼養者の名 称などは公表されていない。 飼養者は、当該牛は約12歳で、テキサス州の牛群内で生産され飼養されたと述べているとされる。 テキサス州ウエイコ(Waco)のペットフード施設へ搬送され、ダウナーと報告されたことからサー ベイランス対象となり、スクリーング検査で疑陽性となった時点で他の4頭とともに焼却処分され た。飼養者は、当該牛は交雑種(brahma-cross)であったと述べているとされる。 昨年11月に疑陽性との結果が得られた時点で当該牛のトレースバックを開始したが、免疫組織 化学的検査の結果が陰性と判明したため当該作業は中止された。その後ウエスタンブロット法によ る検査で陽性との結果を得てから作業が再開され現在に至っている。 OIEガイドラインに基づき、当該牛と同一年に生まれた牛のみならずその前後一年以内に生ま れた牛および直近二年以内に当該牛から生産された牛について、テキサス州政府から移動制限がか けられている。ただし、移動制限の対象頭数は不明。当該牛の月齢が正確に把握できない場合には、 飼料規制が実施された1997年以前から当該牛群で飼養されたすべての家畜を対象に調査を拡大する 予定。なお、当該牛の飼料給与歴については、米国食品医薬品局(FDA)とともに調査中である。
◎ 米国農務省、2例目のBSE患畜確認を公表 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月24日発】 ジョハンズ米国農務長官は6月24日、英国ウェイブリッジにある獣医研究機関から、BSE確認 検査を行っていた当該牛について陽性との最終結果を得たと公表した。 当該牛は、米国がBSE対策のため1997年夏に導入した飼料規制前に生まれ、2004年11月のスク リーニング検査の結果疑陽性とされた。その後、当該牛については、免疫組織化学検査(IHC) とウエスタンブロット法(WB)により相反する結果が出ていたため、当該牛の脳サンプルは、英 国ウェイブリッジの研究機関へ送られていた。 そして今週、ウェイブリッジの研究所では、スクリーニング検査、IHC、WBにより確定診断 が行なわれるとともに、USDAにおいてもそれと同時に追加的な検査が実施されていた。 米国農務省(USDA)のクリフォード主席獣医師は、@同省が実施しているBSEサーベイラ ンスについて、スクリーニング検査における疑陽性例はこれまで3例のみしかえられておらず、同 省がIHCにより確定診断を実施したのはこの3例に過ぎず、今回の結果がUSDAによるサーベ イランスの結果を否定するものではないこと、AUSDA連邦獣医局検査施設の担当者が持参したIH Cの標本について英国の専門家も陰性との診断を支持したとした。 ジョハンズ長官は、USDAの科学者に対し、国際的な専門家の協力も仰ぎ、新たなBSE検査 実施要綱の検討を指示した。
◎ 米国農務省、BSE疑陽性牛の脳サンプルを英国へ送付 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月17日発】 米国農務省(USDA)は6月16日、ウエスタンブロット法(WB)による追加検査の結果陽性 となった当該牛の脳のサンプルを、USDA連邦獣医局検査施設(NVSL)の職員が英国ウェイ ブリッジにある研究所へ携行するため米国を出発したと公表した。 USDA動植物検査局(APHIS)は、これまで英国ウェイブリッジの研究所と、今回の免疫 組織化学検査(IHC)とWBによる相反する結果および今後のウェイブリッジとUSDAにおけ る追加検査の計画について協議してきた。ウェイブリッジの研究所では、今回の例がBSEである か否かを確定診断するためにスクーリーニング検査(Prionics Western Blot)、IHC、国際獣 疫事務局(OIE)も認めているWB(NaTTA Western Blot)の3つの検査を行う。また、USD Aは、今回のIHCとWBとで相反する結果が得られた理由を探求するためにスクリーニング検査 (BioRadおよびIDEXX)、IHCおよびWBを実施する予定である。 なお、本件についてジョハンズ農務長官は同日、「われわれはウェイブリッジの研究所からの最 終結果を受けた場合には、その結果をきちんと公表するつもりである。」と述べた。
◎ 米国農務省、過去のBSE擬陽性例について追加検査を実施 【ワシントン駐在員事務所 平成17年6月13日発】 米国農務省(USDA)は6月10日、過去のBSEサーベイランスにおいてスクリーニング検 査の結果擬陽性とされ、免疫組織化学検査(IHC)により陰性との確定診断が行われた3例につ いて、ウエスタンブロッド法(WB)による検査を行ったところ、昨年11月に擬陽性とされた1 例について陽性との結果を得たと公表した。今回の追加試験は同省の監察官事務所(OIG)の勧 告に基づいて行われた。USDAはIHCとWBの2つの検査において異なる結果が得られたため、 資料をOIEが指定している国際的な同定施設である英国の研究所に送るとともに、USDAとし ても追加試験を行う予定であるとしている。検査結果が判明するまでには2週間を要する見込み。 なお、USDAはこれまで擬陽性例については陽性との結果が出ない限り出生地などの情報を公 開しないとしてきたが、問題の牛は肉用種の老齢牛の歩行困難牛(ダウナー)であり、輸入牛であ るとの情報はないとしている。
◎ ブラジルのMS州で発生した鶏病からニューカッスル病ウイルス(NDV)を同定 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月8日発】 6月8日ブラジル農務省(MAPA)農牧防疫局(SDA)は、サンパウロ州カンピーナスにあ る国の研究機関(LANAGRO)がジャラグアリ郡の養鶏場から採取したサンプルから、病原性 の特性を持たないニューカッスル病ウイルス(NDV)を同定したと発表した。この研究機関の分 析結果は、大脳内病原性指標(ICPI)が0.41を示しているとのことである。 SDAによればこの検査結果が意味するところは、今回検出されたNDVは他の要因が重ならな ければ死因にはなり得ないとのことで、現在も他の病原体についてLANAGROは検査している。 またSDAによれば、国際獣疫事務局(OIE)への通報はICPIが0.7以上となっており、今回 のケースは該当しないとのことである。 なおLANAGROはすでに鳥インフルエンザの可能性を打ち消していたが、鳥インフルエンザ についての寒天ゲル内沈降(AGID)試験の結果は陰性であった。 さらにSDAは、「病気が発生した地域ですでに開始されている家畜・車両・人の移動制限、車 両の消毒、発生農場近隣の養鶏場の調査などの監視体制は継続されており、今のところこの地域に おいて新たな発生は見られない」としている。
◎ ブラジル農務省、MS州で発生した鶏病の原因発表を1日延期 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月7日発】 ブラジル農務省(MAPA)は、マットグロッソドスル(MS)州で発生した鶏病の原因につい て6月7日に公表するとしていたが、予定当日に原因は発表されず、以下のコミュニケが18:53に 公表された。 「MS州カンポグランジから46キロメートル地点にあるジャラグアリ郡で発生した鶏の死因につ いて、サンパウロ州カンピーナスにある国の研究機関(LANAGRO)の検査結果は、MAPA 農牧防疫局が明日(6月8日)、報道機関に対し公表する。なお時刻は10時以降の予定である。 ジャラグアリ郡の養鶏場において、呼吸器系の疾病により約17,000羽が殺処分されたが、現場は 隔離されかつ地域内の家畜の移動は管理下におかれている。なお、LANAGROは既に先週から 鳥インフルエンザの可能性を打ち消している。」
◎ NZフォンテラ、05/06年度の支払乳価は引き下げの見込み 【シドニー駐在員事務所 平成17年6月7日発】 ニュージーランド(NZ)の巨大乳業メーカーフォンテラは5月27日、2005/06年度の生産者に 対する支払乳価(乳固形分ベース)について、2004/05年度比15%安となる1キログラム当たり 3.85NZドル(296円:1NZドル=77円)とする見通しであることを発表した。計画では、05年 6月から06年1月までを2.70NZドル(208円)、その後、毎月引き上げを行い、06年8月に最大 の3.85NZとしている。なお、04/05年度の支払乳価については、乳製品の国際市況高騰などを背 景に度重なる引き上げを実施した結果、1キログラム当たり4.50NZドル(347円)となっている。
◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で鶏に病気が発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年6月1日発】 5月31日ブラジル中西部に位置するマットグロッソドスル(MS)州の動植物衛生当局(IA GRO)が発表したところによると、ジャラグアリ市の養鶏場の鶏に病気を発見したため、必要 な措置を取ったとのことである。農場主は先週の水曜日(5月25日)に病気を発見し、すぐにI AGROに通報している。 またIAGROは検査結果を待つ間、病気を拡大させないため17,000羽をすでに殺処分したと 発表している。なお「症状から見た場合、様々な病名が考えられるので、この問題について断定 的に話すことはできない」とし、検査結果が出るまで慎重な報道を要請している。なぜなら、こ の地域の107の生産者は皆中小規模なので、報道により彼らの生産活動(=生計)が妨げられるこ とを心配しているからである。 また同日の現地報道は、血液および内臓のサンプルがサンパウロ州カンピーナスにある国の研 究機関に送付されており、数日後に鳥インフルエンザか否かが判ると報じている。 このような中、6月1日ブラジル農務省(MAPA)はコミュニケを出し、「MS州都カンポ グランジから46キロメートル北部に位置するジャラグアリ郡の養鶏場で呼吸器系の病気が発生し たことが報告された。その検査結果は6月7日火曜日に公表する」としている。 なおMAPA管理下の研究機関(LANAGRO)では、鳥インフルエンザの可能性は低いと 見ている。