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I 畜産物の需給動向(平成15事業年度 年報 畜産編)

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最終更新日:2008年12月2日

1 概況

14年度の畜産物の消費量は、牛肉が回復、豚肉は代替需要で増加

平成13年9月のわが国におけるBSEの発生により13年度の牛肉の需要量は大幅に前年度を下回った(▲16.1%)が、14年度に入り、回復傾向で推移し、前年度を2.2%上回った。また、豚肉は、牛肉の代替需要などにより、13年度は前年度比2.2%増、14年度5.1%増と5年連続で前年度を上回った。
「食料・農業・農村基本計画」(12年3月閣議決定)においては、「望ましい食料消費の姿」を実現することを見込んでいる。22年度における望ましい食料消費の姿は、牛乳・乳製品については1,318万トンと伸びを見込んでいるが、食肉については534万トン、鶏卵については252万トンと見込んでいる。なお、食料・農業・農村基本法において、食料・農業・農村をめぐる情勢の変化、施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね5年ごとに見直しをすることとされており、その見直し作業が15年度から開始されている(図1、2)。
畜産物の家計消費(全国1人当たり)についてみると、牛肉は13年度のBSE発生により需要が減少したことから、前年度を大幅に下回った(▲24.1%)が、14年度は回復傾向で推移した。しかし、15年度は15年12月の米国におけるBSE発生の影響により再び前年度を下回った(▲3.7%)。豚肉は10年度以降連続して前年度を上回り、さらに13年度以降はBSEによる牛肉の代替需要により増加した。15年度は、牛肉の消費が回復傾向で推移する中で豚肉の家計消費量は減少傾向となったものの、年度後半の米国BSEの発生や高病原性鳥インフルエンザの発生による代替需要により、ほぼ前年度並みとなった。鶏肉は12年度までほぼ横ばいで推移したが、13年度からBSEによる牛肉の代替需要によりやや増加した。15年度後半には、国内外における高病原性鳥インフルエンザの発生により減少(▲5.3%)したため、15年度全体でもやや減少した。また、鶏卵は安定的に推移しており、15年度は前年度をわずかに下回った(図3)。
牛乳およびバターの家計消費(全国1人当たり)についてみると、牛乳は8年度以降減少傾向であったが、14年度は前年度をやや上回った(4.6%)が、15年度は冷夏の影響などから減少した。バターも9年度以降減少傾向で推移しており、15年度は前年度をやや下回った(図4)。
畜産物の生産量は、食肉はおおむね微減傾向で推移している。13年度はBSEの影響による肉用牛の出荷自粛もあり前年度をわずかに下回ったが、14年度は牛肉、豚肉、鶏肉ともに前年度をそれぞれ10.6%、1.2%、1.1%上回った。
鶏卵の生産量は、近年横ばいで推移している。
牛乳・乳製品は近年、減少傾向で推移したが、14年度は前年度わずかに上回った(図5)。
食肉の自給率は、微減傾向で推移し、14年度(速報)で53%となり、前年度並みとなった。牛肉は輸入量の減少により前年度を3ポイント上回る39%、豚肉は代替需要の増加に伴う輸入量の増加から2ポイント下回る53%、鶏肉は中国、タイなどからの輸入一時停止措置などから前年度を1ポイント上回る65%となった。
鶏卵については前年度と同様96%となった。
牛乳・乳製品については、微減傾向で推移していたが、14年度は前年度を1ポイント上回る69%となった(図6)。


図1 畜産物の需要量の推移

図1 畜産物の需要量の推移
図1 畜産物の需要量の推移

資料:農林水産省「食料需給表」、「食料・農業・農村基本計画」


図2 1人1年当たり供給純食料の推移

図2 1人1年当たり供給純食料の推移
図2 1人1年当たり供給純食料の推移

資料:農林水産省「食料需給表」、「食料・農業・農村基本計画」


図3 家計消費量の推移(食肉、鶏卵)

図3 家計消費量の推移(食肉、鶏卵)
図3 家計消費量の推移(食肉、鶏卵)

資料:総務省「家計調査報告」


図4 家計消費量の推移(牛乳、バター)

図4 家計消費量の推移(牛乳、バター)
図4 家計消費量の推移(牛乳、バター)

資料:総務省「家計調査報告」


図5 畜産物の生産量の推移

図5 畜産物の生産量の推移
図5 畜産物の生産量の推移

資料:農林水産省「食料需給表」、「食料・農業・農村基本計画」


図6 畜産物の自給率の推移

図6 畜産物の自給率の推移
図6 畜産物の自給率の推移

資料:農林水産省「食料需給表」、「食料・農業・農村基本計画」

2 畜産物の安定価格等

畜安法、暫定措置法並びに特別措置法の規定により、農林水産大臣は、食料・農業・農村政策審議会(13年度の政策価格等諮問時までは畜産振興審議会)に諮問の上、毎年、当該年度の開始前に畜産物の安定価格等を定めて告示することになっている。第1〜第5表は農林水産省告示による畜産物の安定価格等の年度別推移を示したものである
15年度については、補給金単価として10.74円/kgが、加工原料乳の限度数量は210万トンと定められた。16年度については、補給金単価として10.52円/kgが、加工原料乳の限度数量は210万トンと定められた。平成12年度までの指定乳製品の安定指標価格は第2表のとおりであるが、13年度から廃止された。


第1表 加工原料乳の保証価格、基準取引価格、補給金単価及び生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度の推移
区分 加工原料乳 生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度
保証価格 基準取引価格 補給金単価
価格 対前年度比 価格 対前年度比 価格 対前年度比 数量 対前年度比
円/kg % 円/kg % 円/kg % 千トン %
年度 12 72.13 98.3 61.83 98.8 10.30 95.4 2,400 100.0
13 - - - - 10.30 100.0 2,270 94.6
14 - - - - 11.00 106.8 2,200 96.9
15 - - - - 10.74 97.6 2,100 95.5
16 - - - - 10.52 98.0 2,100 100.0
  • 注:1 加工原料乳の保証価格及び基準取引価格は、消費税込みの価格である。
  • 2 加工原料乳の基準取引価格は、加工原料乳の生産者が加工原料乳を乳業者に販売する場合の工場渡し価格について定めたものである。

第2表 指定乳製品の安定指標価格の推移
区分 バター 脱脂粉乳 全脂加糖れん乳 脱脂加糖れん乳
価格 対前年度比 価格 対前年度比 価格 対前年度比 価格 対前年度比
円/kg % (円/25kg) % (円/24.5kg) % (円/25.5kg) %
年度 12 910 97.7 13,090 100.0 8,111 98.8 7,333 100.0
13 - - - - - - - -
14 - - - - - - - -
15 - - - - - - - -
16 - - - - - - - -
  • 注:1 指定乳製品の安定指標価格は、指定乳製品の生産者が指定乳製品の需要者に販売する場合の倉庫渡し価格について定めたものである。
  • 2 価格は、消費税込みの価格である。

15年度における指定食肉の安定価格について、豚肉については第3表のとおりで、安定基準価格は、皮はぎ法により整形したもの365円、湯はぎ法により整形したもの340円と前年度と同価格となり、安定上位価格については、皮はぎ法により整形したもの480円、湯はぎ法により整形したもの445円とともに前年度と同価格となった。牛肉については、第4表のとおりで安定基準価格780円、安定上位価格1,010円といずれも前年度と同価格となった。
16年度においては、豚肉については安定基準価格及び安定上位価格は、いずれも前年度と同価格となった。牛肉についても同様に安定基準価格及び安定上位価格は共に前年度と同価格となった。


第3表 指定食肉(豚肉)の安定基準価格及び安定上位価格の推移
区分 皮はぎ法により整形したもの 湯はぎ法により整形したもの
安定基準価格 安定上位価格 安定基準価格 安定上位価格
価格 対前年度比 価格 対前年度比 価格 対前年度比 価格 対前年度比
円/kg % 円/kg % 円/kg % 円/kg %
年度 12 365 98.6 485 98.0 340 98.6 450 97.8
13 365 100.0 480 99.0 340 100.0 445 98.9
14 365 100.0 480 100.0 340 100.0 445 100.0
15 365 100.0 480 100.0 340 100.0 445 100.0
16 365 100.0 480 100.0 340 100.0 445 100.0
  • 注:1 指定食肉(豚肉)の安定基準価格及び安定上位価格は、畜安法施行規則(昭和36年農林省令第58号)第3条第1項第1号の豚半丸枝肉である。
  • 2 価格は、消費税込みの価格である。

第4表 指定食肉(牛肉)の安定基準価格及び安定上位価格の推移
区分 去勢牛肉(省令規格「B-2」及び「B-3」)
安定基準価格 対前年度比 安定上位価格 対前年度比
円/kg % 円/kg %
年度 12 785 98.7 1,020 98.6
13 780 99.4 1,010 99.0
14 780 100.0 1,010 100.0
15 780 100.0 1,010 100.0
16 780 100.0 1,010 100.0
  • 注:1 指定食肉(牛肉)の安定基準価格及び安定上位価格は、畜安法施行規則(昭和36年農林省令第58号)第3条第2項第1号の牛半丸枝肉である。
  • 2 価格は、消費税込みの価格である。

15年度における指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格は第5表のとおりであり、黒毛和種、褐毛和種、その他の肉専用種、乳用種の品種及び肉専用種と乳用種の交雑の品種の5区分の保証基準価格及び合理化目標価格は、いずれも前年度と同額に据え置かれた。
16年度においては、乳用種の保証基準価格が129,000円と前年度から2,000円引き下げられたが、それ以外の指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格についてはいずれも前年度と同額に据え置かれた。


(単位:円/頭)
第5表 指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格
区分 黒毛和種 褐毛和種 その他の肉専用種
保証基準価格 合理化目標価格 保証基準価格 合理化目標価格 保証基準価格 合理化目標価格
年度 12 304,000 267,000 280,000 246,000 200,000 141,000
13 304,000 267,000 280,000 246,000 200,000 141,000
14 304,000 267,000 280,000 246,000 200,000 141,000
15 304,000 267,000 280,000 246,000 200,000 141,000
16 304,000 267,000 280,000 246,000 200,000 141,000

第5表 指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格
区分 乳用種の品種 肉専用種と乳用種の交雑の品種
保証基準価格 合理化目標価格 保証基準価格 合理化目標価格
年度 12 131,000 80,000 175,000 135,000
13 131,000 80,000 175,000 135,000
14 131,000 80,000 175,000 135,000
15 131,000 80,000 175,000 135,000
16 129,000 80,000 175,000 135,000

注:価格は、消費税込みの価格である。