〜遺伝子組み換えばれいしょについて産業用途限定で栽培を承認〜
3月2日付でEU委員会が公表したプレスリリースによると、遺伝子組み換えばれいしょである「Amflora」の栽培について、用途を限定した上で承認された。承認されたAmfloraの用途は、製紙、繊維などの産業用でん粉向けおよび副産物のパルプの飼料利用となっている。今後は各加盟国が実際に作付けるかどうか選択することとなる。
Amfloraの取り扱いについては、食品用などのばれいしょへの混入を避けるため、(1)作付け、収穫、輸送、保管、出荷すべての段階における分別、(2)Amfloraを作付けた農地における、翌年の非遺伝子組み換えばれいしょの作付け禁止、(3)指定されたでん粉工場への単独の輸送と専用製造ラインでの生産− が義務付けられている。ただし、食品用などへの偶発的な混入は0.9%までを上限に許容されることとなっている。
通常のでん粉には、アミロースとアミロペクチンが含まれているが、Amfloraを原料とするでん粉は、アミロペクチンのみで構成されており、通常のでん粉よりも含有率が20%ほど高い。このため、製紙、繊維などの産業用途に好ましい性質をもつとされている。
〜09年のばれいしょでん粉の輸出量は増加、価格は下落〜
EUのばれいしょでん粉の輸出は、原料となるばれいしょが2006年秋に不作であったことおよび2007年からの穀物価格高騰による作付転換が影響して、2007年および2008年は、それぞれ26万9000トン(2004年から2006年の平均比26.3%減)、25万9000トン(同29.0%減)と低い水準であった。
しかしながら、2009年は、ばれいしょの豊作を受けて、前年比58.1%増の41万トンとなっている。相手国別に見ると、中国が最も多く5万7000トン、米国(5万2000トン)、次いで韓国(3万4000トン)、台湾(2万1000トン)、タイ(2万トン)となっている。
価格(FOB価格)については、06年下期から上昇傾向となり、07年の平均価格は、前年比47.1%高のキログラム当たり0.50ユーロ、08年は、同8.0%高の同0.54ユーロとなった。しかしながら、その後下落し、09年の平均価格は、前年比33.3%安の0.36ユーロとなった。(注:1ユーロ=122.71円、平成22年2月平均値)
なお、Potato Councilによると、EUにおける2009年度(10月〜9月)のばれいしょの単収(青果用および加工用)は、前年度とほぼ同程度となっている。