でん粉は細胞の中にあるので、でん粉を含む植物材料をよく磨砕し、でん粉が水より重いことを利用して、水の中に沈殿させて分離させます。とうもろこし、イネなどのイネ科作物の種子ではでん粉とタンパク質がくっついているので何らかの方法でこれを分離する必要もあります。
でん粉の用途として、大きく3つあげられます。1つめはでん粉の高分子としての性質を利用するものです。片栗粉やコーンスターチのように料理としての利用も多いですが、工業的にも重要なものです。2つめは、でん粉を分解して得られる物質(デキストリン、異性化糖など)を利用するものです。3つめは、でん粉を分解して得られる糖を発酵してアルコールを作るものです。
近年では、アメリカ合衆国を中心にコーンスターチの相当量が自動車の燃料となるエタノールを作るために使用されています。アメリカ合衆国における2006年のとうもろこし生産量は、2億1800万トン、そのうち4分の1程度の5500万トンがエタノールの生産に利用されました。2005年の日本のとうもろこしの輸入量が1700万トンですから、エタノールに利用されたとうもろこしの量に驚かされます。
後者の2つの用途では、でん粉を分解あるいは発酵して利用するために、でん粉自体の特性はあまり重要ではなく、安価で多量に生産されるコーンスターチからの利用が最も多くなっています。