水産練製品は食品工業で使用されるでん粉の用途として大きな割合を占めている。かまぼこ、ちくわといった水産練製品には、原料比で3〜10%程度のでん粉が使用される。使用されるのは、主に馬鈴薯でん粉である。
水産練製品は、魚肉をミンチにかけ、まず水晒しを行う。水溶性のたん白質や不純物を除く。残ったものが塩溶性のたん白質であるミオシンである。このミオシンに食塩とでん粉を加えてらいかいし、成型して加熱して製造する。水産練製品の特徴は独特の弾力である。弾力は「足」と呼ばれ、かまぼこでは命である。この弾力の元がミオシンとでん粉である。ミオシンは塩溶性であるので、食塩を加えると溶解する。そこにでん粉を入れ、加熱すると、ミオシンは熱変性して固まるが、そのミオシン分子の中にでん粉分子が入り込み、糊となる。変性ミオシンと糊化でん粉の複合体こそが、「足」の元である。
馬鈴薯でん粉は、他のでん粉と比べて熱による膨潤度が高く、糊化した後の保水力も高いので、水産練製品の製造に最適である。