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海外のでん粉需給動向

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最終更新日:2010年8月4日

海外のでん粉需給動向

2010年8月

調査情報部

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海外のでん粉需給動向

◆タイ◆

タピオカでん粉価格高騰止まらず、トン当たり620米ドルまで急伸
 
 タイタピオカでん粉協会(Thai Tapioca Starch Association)によると、7月27日のタピオカでん粉価格(バンコクにおけるFOB価格)は、前年比117.5%高のトン当たり620米ドルと史上最高値を更新した。6月22日に同510米ドルを記録した後、7月6日には555米ドルを付け、そこからさらに大幅に急伸した。干ばつに加え、キャッサバへのコナカイガラムシによる被害※は、未だ沈静化のめどが立っておらず、現地では原料不足から操業を停止する工場もある。また、中国やインドネシアの引き合いの強さも価格高騰の要因である。
 
 タイ農業協同組合省農業経済局の3月末時点での見込みによると、2010年度(10〜9月)のキャッサバ生産量は、干ばつの影響や虫害によって、単収が前年度比2.56%減のライ当たり2971キログラム(1ライ=0.16ヘクタール)と落ち込む上、この虫害を嫌った農家がほかの作物へ転換していることから、収穫面積も前年度比4.72%減の717万ライと減少し、前年度比7.16%減の2130万5000トンと予測されている。また、同省は、農家が適切な害虫駆除を怠った場合は、この生産量をさらに下回ることも想定され得るとしている。(1米ドル=89.48円、平成22年6月末日TTS相場)
 
※虫害の概要などについては、本誌2010年4月号「タイのタピオカでん粉をめぐる最近の事情」を参照されたい。
 
 
 
2010年5月のタピオカでん粉輸出量は、2010年になって初の前年割れ
 
 2010年5月におけるタピオカでん粉輸出量は、前年同月比5.5%減の12万3600トンで、2010年になって初めて前年割れとなったが、1〜5月の累計では、前年同期比57.6%増の90万4900トンと依然前年の水準を大幅に上回っている。
 
 1〜5月における主な輸出先国は、中国が最も多く前年同期比30.9%増の23万300トンと全体の約1/4を占めている。次いで、インドネシア22万400トン(前年同期の約14.4倍)、台湾12万500トン(前年同期比0.5%減)、マレーシア10万3000トン(同53.2%増)、日本4万800トン(同4.8%減)であった。インドネシアについては、天候不順によりタピオカでん粉生産が減少していること、また、中国については、製紙業などにおける需要の増加や、とうもろこしのでん粉仕向けを制限する政策により需給のひっ迫が続いていることが、これら2カ国向け輸出量増加の要因となっているとみられる。
 
 一方、2010年5月におけるタピオカでん粉の輸出価格(FOB)は、前月比7.5%高のキログラム当たり0.43米ドルと続伸した。前年同月比では65.4%高と、需給ひっ迫を反映して依然高止まりの状況である。また、1〜5月の平均では、前年同期比57.7%高のキログラム当たり0.39米ドルとなっている。
 
 
 
2010年5月の化工でん粉輸出価格は前月並み
 
 2010年5月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比12.3%減の5万4400トンであった。1〜5月の累計では、前年同期比8.1%増の30万500トンとなった。輸出先国別では、日本が最も多く前年同期比14.1%増の11万8600トン、次いで、中国(同30.2%増の4万4200トン)、インドネシア(同23.3%増の3万4500トン)、韓国(同6.5%増の1万5600トン)、台湾(同44.3%増の1万4500トン)と上位をアジア諸国が占めている。
 
 一方、2010年5月の輸出価格(FOB)は、キログラム当たり0.66米ドル(前年同月比22.2%高)と前月並みであったが、日本向けは前月比4.8%安の同0.59米ドルと値を下げた。1〜5月の平均では、前年同期比18.9%高のキログラム当たり0.63米ドルとなっている。
 
 
 
 

◆米国◆

米国農務省、2010年度のとうもろこし生産量および在庫予測を下方修正
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が7月9日に公表した7月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2010/11穀物年度(2010年9月〜2011年8月。以下、「2010/11年度」)のとうもろこし生産量は、前月の予測(133億7000万ブッシェル、1ブッシェル=25.4キログラム)から1億2500万ブッシェル引き下げられ、前年度を1.0%上回る132億4500万ブッシェルと下方修正された。
 
 これは、6月30日に同省全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した2010/11年度のとうもろこしの作付面積の調査結果において、アイオワ州やネブラスカ州など主要生産州で減少し、前回の数値より93万エーカー減少したことが要因となっている。なお、エーカー当たりの収量は据え置かれている。
 
 2010/11年度のとうもろこし国内消費量については、前月の予測値に据え置かれた一方、輸出量は国内供給がややタイトになったことから5000万ブッシェル減少すると見込まれている。また、2010/11年度期首在庫は、USDA/NASSが6月30日に公表した四半期毎の在庫調査の結果から、1億2500万ブッシェル下方修正された。これらにより、期末在庫は2億ブッシェル下方修正されて13億7300万ブッシェルとなった。
 
 このように需給が前月予測と比べタイトになったことから、2010/11年度の生産者販売価格は前月の予測より上値、下値ともにブッシェル当たり0.15ドル上方修正され、3.45〜4.05ドルになると予測されている。
 
 
 
 
 
 
2010年5月のコーンスターチ輸出量は前年大幅超
 
 2010年5月におけるコーンスターチ輸出量は、前年同月比55.4%増の1万4900トンと前年の水準を大幅に上回り、1〜5月の累計でも、前年同期比40.3%増の5万4700トンとなった。輸出先国としては、カナダが最も多く(前年同期比9.7%増の1万2700トン)、次いで、インドネシア(前年同期の約20倍となる8400トン)、メキシコ(前年同期比14.4%減の7000トン)、英国(同比15.6%減の6700トン)、中国(前年同期の約13倍となる3100トン)となっており、タピオカでん粉と同様、インドネシアと中国におけるでん粉需要が大幅に増加している。
 
 また、5月の輸出価格(FOB)は、前月比6.5%高のキログラム当たり0.49米ドル(前年同月比21.0%安)と、とうもろこし価格が軟調であったことから、前年よりも低い水準で推移した。なお、1〜5月の平均では、前年同期比19.1%安のキログラム当たり0.51米ドルとなっている。
 
 
 
 
2010年5月の化工でん粉輸出価格は、前月より値を下げる
 
 2010年5月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比31.4%増の3万7000トンであった。1〜5月の累計では、前年同期比17.4%増の17万4900トンとなり、輸出先国としては、コーンスターチと同様、カナダが最も多く(前年同期比9.4%増の3万2600トン)、次いで、メキシコ(同33%増の2万5500トン)、日本(同2.1%減の2万3100トン)、ドイツ(同45.1%増の2万トン)、英国(同17.7%増の8800トン)となっている。
 
 5月の輸出価格(FOB)については、前月比1.2%安のキログラム当たり0.83米ドル(前年同月比2.4%安)、日本向けについても前月比4.3%安の0.66米ドル(前年同月比6.5%高)と前月からわずかに値を下げた。また、1〜5月の平均では、前年同期比3.5%安のキログラム当たり0.82米ドルとなっている。
 
 
 
 

◆EU◆

2010年4月もばれいしょでん粉輸出量は前年大幅超、1〜4月で前年の9割増
 
 2010年4月におけるばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比112.4%増の5万2700トンと、2009年産ばれいしょが豊作であったことから、前月に続き、前年の水準を大幅に上回った。1〜4月の累計では、前年同期比89.6%増の20万4400トンとなり、輸出先国としては、中国が最も多く(前年同期比の約7倍となる5万7100トン)、次いで米国(同29.0%増の2万2900トン)、韓国(同43.9%増の1万5500トン)、台湾(同154.6%増の1万4200トン)、タイ(同73.2%増の1万600トン)となっている。タイ産タピオカでん粉、米国産コーンスターチと同様、中国の伸びが目立っている。
 
 また、4月の輸出価格(FOB)は、前月並みのキログラム当たり0.32ユーロ(前年同月比22.0%減)とほぼ横ばいで推移している。1〜4月の平均では、前年同期比26.2%安のキログラム当たり0.31ユーロとなっている。(1ユーロ=109.31円、6月末日TTS相場)
 
 
 
 
2010年4月の化工でん粉輸出量も前年の水準を上回り、1〜4月で前年の2割増
 
 2010年4月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比18.6%増の3万6300トンであった。1〜4月の累計では、前年同期比22.0%増の13万5800トンとなり、輸出先国としては、トルコが最も多く(前年同期比58.1%増の2万8500トン)、次いで、中国(同88.7%増の1万4600トン)、スイス(同2.2%増の1万3000トン)、ロシア(同19.5%減の1万1000トン)、米国(同26.1%増の1万600トン)となっている。
 
 また、4月の輸出価格(FOB)は、前月比1.4%高のキログラム当たり0.74ユーロ(前年同月比7.5%減)とほぼ横ばいで推移した。1〜4月の平均では、前年同期比10.6%安のキログラム当たり0.72ユーロとなっている。
 
 
 

◆中国◆

2010年5月の天然でん粉輸入量は、前年の水準を大幅に上回り、1〜5月では、前年の4割増
 
 2010年5月における天然でん粉の輸入量は、前月の8万9000トンを上回る9万8000トン(前年同月比36.1%増)と2カ月ぶりに前年の水準を上回り、1〜5月の累計では、前年同期比41.4%増の43万4000トンとなった。この内訳は、タピオカでん粉が35万2000トン(前年同期比17.3%増)と大半を占め、ばれいしょでん粉が7万8000トン(前年同期の13倍)であった。タピオカでん粉の輸入先国は、タイ(26万1000トン)、ベトナム(9万トン)となっている。
 
 5月の輸入価格(CIF)については、タピオカでん粉は前月比3.2%安のキログラム当たり0.41米ドル(前年同月比48.7%高)、ばれいしょでん粉は前月並みの0.44米ドル(前年同月比13.5%安)となった。
 
 一方、輸出量は前年を下回る水準で推移しており、5月は、前年同月比17.9%減となる3万2000トンであった。1〜5月の累計では、前年同期比28%減の13万1000トンで、このうちコーンスターチが10万6000トンと大半を占めている。
 
 5月の輸出価格(FOB)については、コーンスターチが前月並みのキログラム当たり0.39米ドル(前年同月比30.6%高)となった一方で、サゴでん粉が同32.8%高の同1.00米ドル(同54.9%高)と大きく値を上げた。
 
 
 
 
 
 
2010年5月も化工でん粉輸入量は大幅増で、1〜5月では前年の約2倍に
 
 2010年5月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸入量は、前月に引き続き、前年の水準を大きく上回る前年同月比29.3%増の1万6300トンとなった。輸入先国別では、タイ8800トン、オランダ2500トン、米国1900トンとなっている。1〜5月の累計では、天然でん粉と同様、前年の水準を大きく上回る前年同期比84.1%増の8万9000トンとなっている。
 
 また、5月の輸入価格(CIF)については、キログラム当たり0.83米ドル(前年同月比10.8%高)と、続落した。1〜5月の平均では、前年同期比2.5%高の同0.82米ドルとなった。
 
 一方、2010年5月における輸出量は、前年同月比26.3%減の9300トンとなった。輸出先国別では、韓国が最も多く3000トン、次いで、日本2100トン、マレーシア1100トンであった。1〜5月の累計では、前年同期比29.4%減の4万1000トンと前年の水準を下回っている。
 
 5月の輸出価格(FOB)については、前年同月比24.0%高のキログラム当たり0.62米ドルと、前月の同0.59米ドルから値を上げた。1〜5月の平均では、前年同期比26.0%高の0.62米ドルであった。
 
 
 
 
 
 
 
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