(3)−1貿易管理制度
EUにおけるバイオエタノールの輸出入については、2つのHSコードが主に使用されており、無変性エタノールが220710、変性エタノール(*注1)が220720となっている。ガソリンとの混合物については、その割合に応じてほかのHSコードが使用されている。なお、バイオディーゼルについては、脂肪酸アルキルエステル(fatty-acid mono-alkyl esters)のHSコードが使用されているが、その化学組成によってほかのコードが使用されることもある。
関税は、無変性エタノールが1リットル当たり0.192ユーロ(約21円、1ユーロ=109.31円、6月末日TTS相場)となっており、変性エタノールは同0.102ユーロ(約11円)である。英国およびオランダ以外の加盟国は、国内産業を保護するため、変性エタノールより関税の高い無変性エタノールに限ってガソリンとの混合を認めている。業界関係者の中には、エタノール混合物が、その混合割合によっては、「その他化学物質(HSコード3824)」と分類され、6.5%の従価税となる(1リットル当たり約0.025ユーロ、約3円)という抜け穴を指摘する声もある。
また、EUは、エタノール輸入に関しての特恵貿易制度を有している。一般特恵関税制度(Generalized System of Preferences)、EBA(Everythig But Arms(*注2))及びコトヌー協定(*注3)に基づくものである。これらの対象となる国は、無税でEUにエタノールを輸出できる。
また、このほかにエジプトとノルウェーも、EUへの無税輸出が認められている。
(*注1)加工・混合などの手段により飲用に適さないようにされたエタノール
(*注2)後発開発途上国50カ国で生産される武器以外の全産品(Everything but Arms)に無税、割当制限なしで市場参入を認める措置。
(*注3)EUとアフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP諸国)との間で2000年6月に結ばれた国際協定。
(3)−2輸入の動向
2009年におけるEUのバイオエタノール輸入量は9億リットルと、前年の11億リットルから約20%の減少となった。これは、ブラジルからの輸入減に加え、高い在庫率、国内生産量の増加、世界的な需給ひっ迫によるものである。
2010年については、ブラジル国内市場での需要増や域内での生産量増加などからさらに減少し、7億6000万リットルと見込まれる。